相撲の女人禁制

歌川国貞の相撲絵/wikipediaより引用

寺社・宗教

大相撲で土俵の女人禁制は歴史的に奇妙だ~協会に求められる改革とは

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土俵際に医師を常駐させればいいじゃないの

箇条書きにして、歴史的な問題点をまとめてみましょう。

相撲における女人禁制は古くからの伝統ではなく、明治以降の品格向上のためのものである

・女人を穢れとみなす信仰は、神道ではなく仏教由来なのに「神事」とはおかしい

・仏教だとしても、偽教典由来で根拠なし

とまぁ、歴史的に見ても、根拠はありません。

そもそも伝統と神事と仏教の話がごちゃ混ぜになってるし……。

こうしたことを踏まえて、騒動の問題点を整理してみましょう。

・どうしようもない理由で女性を排除するのは差別である

・観客の誤った認識を優先し、人命を危険にさらした

・救命措置をした人に対して、あるまじき無礼

・そこまで女人禁制をするのであれば、男性医師を待機させておくべき

女人禁制を徹底させたいなら、土俵際に医師を常駐させておけばいいじゃないですか。

 

女性市長の土俵上あいさつ拒否

兵庫県宝塚市の中川智子市長が、土俵上での挨拶を日本相撲協会から断られておりました。

◆相撲協会:女性市長の土俵上あいさつ拒否 大相撲宝塚巡業(→link

なんでも「伝統への配慮」を理由に土俵への立ち入りを禁止されたようで。

この対応から

「塩を撒いたのは、悪運を祓うためである」

という説明がかなり苦しくなったのではないでしょうか。

穢れなければ塩をまく必要はなく、逆に塩を撒かなければならない状況があったとすれば、アナウンスで注意されたように女性が入ったからでしょう。

まぁ、誰が見てもそう思う場面ですわな。

 

「女人禁制」は江戸時代「勧進相撲」からの伝統?

勧進相撲とは、寺社・仏像の建立・修繕などのために寄付を募るための相撲興行です。

しかし、現在の相撲興行は、勧進とまるで無関係であり、スポーツとして行われています。

勧進とは関係がないならば、なぜ「女人禁制」の場所で人々が暮らせるのでしょう。

過去、相撲は観客のニーズやテレビ中継にあわせて、伝統を変えてきました。

それなのに「女人禁制」だけを「勧進相撲の伝統」という理由で残す理由がサッパリわかりません。

本当に伝統を変えていけないのであれば、相撲は現在でも神社境内等で行われているはずでは?

相撲は豊作を祈る神事。土俵に女性をあげると豊穣の女神が嫉妬し、凶作となってしまう、と?

2023年現在も、その理屈を信じなければならない理屈はないでしょう。

それはさておき、相撲型、レスリング型の競技は世界各地にあります。

力比べを行ううちに自然派生してゆくスポーツの一種とみなすのが自然です。

記録に残る最古の相撲取り組みは、垂神天皇のこんな思いつきがきっかけとされています。

「野見宿禰と当麻蹴速って、どっちが強いか試してみない?」

全然神事じゃないんですよね。

要するに、神事というのは後付。

伝統とは、非合理性や差別を正当化するためのものではないはずです。

現在の相撲は、スポーツと神事を都合よく使い分けているように思えてなりません。

近代のスポーツは、差別と戦う一面があったはずです。

自分たちの都合でその理念をねじまげて、それでいながらスポーツであると見なされたいと願うのは、あまりに身勝手ではないでしょうか。

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