相撲の女人禁制

歌川国貞の相撲絵/wikipediaより引用

寺社・宗教

大相撲で土俵の女人禁制は歴史的に奇妙だ~協会に求められる改革とは

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モンゴル相撲では?

ちなみに、女人禁制は日本の相撲だけではなく、モンゴル相撲ブフ)にもかつてはありました。

選手が自発的に願掛けや縁起担ぎで女性への接触を避けていたものです。

もっともこれは過去の話であり、現在若い力士はこだわりがありません。

また、あくまで力士側の縛りであり、女性の行動に制限を加えるものではありませんでした。

レスリング系競技としては世界最大人口であるブフは、女性にも広く門戸を開いています。

かつては男性の戦士だけに許された装飾品を身につけることも、現在は許されています。

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宝塚の場合はどうなの?

宝塚歌劇団の場合、舞台のメンテナンスや挨拶のために男性が舞台にあがることはあります。

過去には宝塚歌劇団には男性の劇団員もいました。

昭和20年(1945年)からの8年間、「男子部」が存在したのです。

ただし、ファンや女子生徒が「宝塚に男は合わない」と強く反発したため、表舞台に出ることなく廃止されました。

要するにカラーにあわないということで、廃止されているのです。

宝塚歌劇団が男性がいないことと並べて適切なのは、ウィーン少年合唱団あたりでしょう。

相撲の女人禁制と比較することはまったくのナンセンスです。

また、宝塚歌劇団は宝塚の地名を冠しただけの劇団であり、宝塚市が主催するものではなく、公益財団法人でもありません。

日本で導入された相撲の女人禁制は、本来は品格を向上させるためのものでした。

しかし明治から150年もの時が流れ、このルールはすでに時代遅れでしょう。

理不尽な慣習を残すのは、本末転倒としか言いようがありません。

前述の通り、変革こそ相撲の良き伝統です。

21世紀にあわせて、自分たちが変わってこそ競技も末永く残していけるのではないでしょうか。


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文:小檜山青

【参考】
土屋 喜敬『相撲 (ものと人間の文化史)』(→amazon
大相撲歴史新聞編纂委員会『大相撲歴史新聞―角界の出来事まるごとスクープ!』(→amazon

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