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【三国志美女の時代考証・イラストの描き方】
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美女のデコルテ問題
前述の通り、本サイトで三国志の記事に用いるイラストは、小久ヒロ氏にお願いしております。
発注する段階で小久氏と検討したのが「デコルテ問題」でした。
首筋から胸元辺りまでの表現をどうするか。
「乳袋」なんて用語もありますが、美女のイメージともなればその点も気になりますよね。
萌えるなら、あくまでそこは自由と前置きをしつつ、あくまで時代考証で考え、気になるのがこれです。
「そもそも中国では伝統的に胸の大きな女性を美女の条件としたのだろうか?」
こういうとき、参考になるのは18禁モノ。
手っ取り早いのは、その手の絵画や文学作品です。
胸についての言及はないわけではないものの、顔やもっと別の箇所の描写と比較すると、そこまで事細かに追及される要素ではないようです。
纏足が登場した後では「三寸金蓮(小さな金色の蓮)」、纏足への言及がともかく重要視されるようになります。
纏足は骨を砕くため、常に肉が腐っていてかなり臭かったそうですが、フェチズムはそれを超越。
纏足をした小さな靴に酒を入れて飲む。そんなプレイがかつてあったものでした。
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『三国志』と纏足は無縁ですのでこの辺にしまして、セクシーだと思う箇所は認識によって変わるものであります。
そもそも、古今東西の女性美はあくまでバランス重視であり、不均衡で極端な状態は好まれません。
ただ、中国には、明確にデコルテがゴージャスな美女が好まれていたと言える時代があります。
楊貴妃の唐代です。
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彼女はライバルの妃から、
「あのデブがよぉ!」
と陰口を叩かれていたほどふくよかでした。
映画で唐代美女を演じたチャン・ツィイーやファン・ビンビンは、当時の基準だと痩せすぎではないかとは思えます。
唐代のふくよか美女路線は、唐三彩の女性像や数々の美術品にも残されております。
そうした作品を見て、現代人のみならず、後代の人々はこう突っ込んでいたものです。
「唐代の人ってぽっちゃり好きすぎィ!」
中国では伝統的に、ぽっちゃりセクシー美女を「楊貴妃(幼名・玉環)」、スレンダー美女を前漢・成帝皇后「趙飛燕」と呼びました。
これを「環肥燕瘦」と呼んだものです。
ヒロインが複数いると、ぽっちゃりとスレンダーが揃っていたりする。その典型例が『紅楼夢』のぽっちゃり薛宝釵と、スレンダー林黛玉です。
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そんな唐代を舞台としようと、映像化作品ともなればスレンダー美女を起用するものです。
しかし、時代考証にこだわりたいのか、それともただの誰かの好みなのか、ともかくデコルテがすごすぎてあらすじを追えない作品も存在します。
『王妃の紋章』です。
コン・リー以下、胸を基準にして選んだのではないか?と思うほど、デコルテが豊満になっております。背景にいる名もなき女官まですごいことになっています。
黄金のギラギラした色彩感覚とデコルテを追いかけるだけで精一杯になるかもしれませんが、ともかく見ていただきたい作品……いや、別にセクシーだからということでもなくて。
デコルテは強調したい。けれども、時代考証をしたい!
そんな絵を描く皆様にこそ、以下の点にご注目いただきたいのです。
胸元を出すにせよ、中国の伝統的な衣装となりますと、キャミソールやチューブトップを着せるわけにもいきません。
肩をそのまんま出すと、ちょっとよろしくない。
肩を隠して胸の谷間を出す。
そのテクニックが、この映画には詰め込まれています。
時代背景としては『三国志』からは少しずれるので、そこは注意が必要ですが、勉強になることは確か。時代考証をしつつ、胸を出したいならぜひご覧ください。
そうそう、もう一つ。
中国といえば「チャイナドレス」というイメージは強いものですが、あれは満州族の旗袍(チーパオ)由来だから「違う」ということが定着しつつあります。
今は満州族の影響がない漢服ブーム時代です。
チャイナドレスのような衣装を『三国志』の人物に着せることはよろしくないことをご注意いただければ、と。
メイクはどうするか?
では、メイクをどうするのか?
顔のパーツは?
これはなかなか興味深い問題ではあります。
時代劇ともなれば、放映当時の流行が反映されているものです。
中国の時代劇や映画でも、1980年代ともなれば眉毛がしっかりしたヒロインが登場したものです。
※当時の中華圏美女といえばジョイ・ウォン(王祖賢)『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』
中国での美女といえば「蛾眉」。蛾の触覚のような眉毛なのですが、その基準にしても時代によって異なるでしょうし、ご自身が美しいと思う眉毛の形でよろしいのです。
顔のパーツは、そういうものです。
ただ、メイクとなると、いささか工夫が必要です。
中国の伝統的な化粧は【紅・白・黒】の三色中心だとご理解いただければよいかと。
時代によって若干の違いは出てくるものの、それ以外の色を使いすぎると時代ものらしさが薄れますので、緑色のアイシャドー、オレンジ色の口紅、パープルの頬紅などは避けておくのがよいでしょう。
口紅の場合、マット系として、グロスのような光沢も消した方がよろしいかと思います。
もっとも、悪役であるとか、何か怪しげな術を使う設定であれば、むしろアリ。
眉毛にせよ、メイクにせよ、『三国志』はそこまで難しくありません。唐代は難しいし、なぜこんなものが流行したのか?と不思議に思えるものもあります。
◆グロス効果をさせない
◆紅・白・黒
このあたりを押さえておけば、それっぽくなるとは思えます。
今は、中国伝統色を取り上げたサイトや、アプリもありますので参考にされると良いでしょう。
日本の伝統色資料も、ある程度は使えると思います。
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