漫画『NARUTO』にせよ、映画や小説あるいはドラマに登場する「伊賀・甲賀」にせよ。
歴史作品の中でも人気は常にトップクラス!であり、そこで今回注目したいのが大河ドラマでも時折目立つ「女忍者」です。
劇中での彼女らはどのような存在だったか?
今回は2006年以降の作品に絞って注目。
今年は、セクシーな「女大鼠」が話題を集めていますが、
果たして彼女は過去の女忍者と比べてイケてるのか、イケてないのか。
2000年代以降の大河ドラマに登場したオリジナル女忍者たちを振り返りながら、ランキングを考えてみましょう!
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2006年『功名が辻』
一夫多妻制の印象が強い戦国時代。
夜8時からのNHKで、それが露骨に描かれるのは避けたいからなのか。大河では「正室一人の主人公」が増えていったと指摘されます。
2006年に放送された『功名が辻』もそう。
上川隆也さん演じる山内一豊と、仲間由紀恵さん演じるその妻・千代が仲睦まじく――そんなストーリーかと思いきや、“よろめく”主人公も描かれるのですからわけがわからない。
お相手は甲賀の女忍者・小りん(こりん)。
長澤まさみさん演じる小りんが一豊を誘惑して、一夜を共にする。それだけでなく「一豊の子を産もうか」という話にまでなります。
当時の山内一豊と千代の間には子がいませんでした。
正妻が懐妊しないとなれば、別の女性に産ませてでも跡継ぎを得る――戦国時代は、他人の腹を借りるようなケースは珍しくありません。
そこで小りんが、という話になったのですが、この計画は一豊が断り、千代の懐妊により実現しませんでした。
いま冷静に振り返って、しみじみと思います。
原作にあるとはいえ、この、ご都合主義的に挿し込まれた展開は一体なんだったのか?
謎の美女が突如現れ、男性の主人公にセクシー誘惑って、エロ妄想も甚だしくてアホらしくなる。
サービス要員の女性を出すにしても、女忍者である必要があったのか。忍者に対して失礼ではないか。
制作サイドにとって、とにかく使い勝手がよい。女忍者はご都合主義のシンボルでした。
2007年『風林火山』
2023年大河ドラマ『どうする家康』で、眞栄田郷敦さんが眼力の強い武田勝頼を熱演して話題になりました。
そのお父上・千葉真一さんは、一度だけ大河ドラマに出演した経験があります。
2007年の『風林火山』です。
そしてこの作品には、千葉さんの息女であり、眞栄田郷敦さんの異母姉にあたる真瀬樹里さんも女素破(女忍者)として出演していました。
真田幸隆の配下である葉月です。
葉月は、実においしい役でした。
真瀬樹里さんはアクションが得意です。鋭くキレのある動きで、目つきも鋭く、油断ならない存在感を発揮。過酷な任務も高いプロ意識でこなす。
人物像の設定も秀逸です。
「武田との戦いで家族を失い、真田の素破になった」という設定は地に足がついています。
真田の忍者は「真田十勇士」はじめ定番の人気設定。そうした目配りも効いた実に粋な役目と言えましょう。
葉月は『風林火山』でも人気のあった伝兵衛と恋に落ち、その妻となりました。
Gackt起用でザワついた大河ドラマ『風林火山』はやはり名作!もう1度見るべし
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2009年『天地人』
大河ドラマ史に残る最低の忍者――それが『天地人』の初音でしょう。
再び長澤まさみさんが演じられていますが、むろん彼女が悪いわけではありません。
あくまで制作サイドの問題。
2006年の『功名が辻』から、わずか3年後に主人公周辺をうろつく女忍者を同じ人物に演じさせるのですから、あまりに芸がない。
二番煎じ臭が漂い、「またかよ……」と嘆いた大河ファンも少なくなかったでしょう。
しかも、です。
原作では真田幸村の”姉”だった設定を“妹”にしたことで、凄まじい失敗をしています。
そのときのドタバタがまだ以下の記事に残されているのですが、
◆大河ドラマ『天地人』で長澤まさみ演じる役設定が急遽変更(→link)
要は、10歳以下の初音と、主人公の直江兼続が肉体関係を結んでしまうという設定になってしまったのです。
そもそも真田昌幸の娘であれば、それなりの嫁ぎ先があり、忍者にすることが不自然極まりなく、その時点で制作スタッフが歴史に関心がないことが明白でした。
直江兼続も「妻が一人」という特徴があります。
夫婦愛の強さというより、兼続から見て格上の家に婿入りして箔をつけた、事情が関係していると思われます。
それを無理に恋愛路線にして、結婚前からイチャイチャさせただけならまだしも、「もっと、お色気要素を入れようぜ!」という思惑ありきで、オリキャラ女忍者の初音が登場。
兼続にちょっかい出させるのですから、どうしようもありません。
妻は一人だよ! でもたまには他の女とイチャつかせてあげようぜ。それが世間の要望だから!
とでも考えたんですかね。
これだったら側室が複数人いても、礼節のある人物像のほうがはるかにカッコ良いではありませんか。
ともかく、この女忍者には
「初音の元に天下がついてくる♪」
という、いま思い出しても恥ずかしくなる設定まで付けられていました。
本能寺の変のあとは、突如、明智光秀のもとに現れ、首を絞める展開になってましたからね。
なお『天地人』では、お涼という女性も登場していまして。
木村佳乃さんが演じる千利休の娘で、兼続に惚れ、一方的に告白する設定なのですが、彼女は茶道だけでなく柔術にも通じているという設定。
とある酒宴の席で、酒癖の悪い福島正則が兼続にしつこく絡み、お涼にまで因縁をつけてくると、「正則を投げ飛ばす」という技まで見せてくれます。
どうでもいい。心の底からどうでもいいと画面を殴りたくなるような役目。
演じられた御二方が気の毒でならない『天地人』の女忍者と女茶人格闘家でした。
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