大河ドラマ感想あらすじ

魅せる女忍者ランキングat大河ドラマ!今年の女大鼠は何位に入る?

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2023年『どうする家康』

『どうする家康』では、女大鼠以外に武田方の間者として千代も登場します。

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今回は女大鼠に絞って考察。

まず、その名前、もちろん本名ではないでしょう。

大鼠の娘だから女大鼠――あだ名にしても、正直、センスは感じられない。

なぜか?って、いかにも怪しく、まるでリアリティが感じられないところです。

忍者はその仕事柄、決して目立つような真似をしてはいけないはず。

つまりは誰にも覚えてもらえないような平凡な名前のほうが逆にリアリティを感じさせるわけで、『麒麟がくる』の菊丸なんかはその典型でしょう。

それを「おんなおおねずみ」だなんて、ギャグかと思ってしまう程。

思わず、昭和のコントかよ!とツッコミたくなります。そもそも『どうする家康』はリアリティよりもマンガチックな演出を重視しているため、制作サイドとしては狙い通りかもしれませんね。

なんせ、衣装からして、隠し芸大会かと思うほどベタです。

黒装束の忍者――そんな見せ方はあまりに古くて嘘くさいため、基本、最近の大河ドラマでは見かけません。

BBC版関ヶ原こと『ウォリアーズ』には出てきましたが、まぁ2007年の作品ですし、イギリス受けを狙って敢えてベタにしたのでしょう。

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それが『どうする家康』では、どうか?

誰がどう見ても忍者とわかる、堂々の黒装束ではないですか!

では制作サイドにはどんな意図があるのか?

そこは不明で、アクションシーンも何度かありましたが『風林火山』の真瀬樹里さんや『鎌倉殿の13人』の山本千尋さんと比べると、動きはキレや派手さが乏しく、マンガチックなバトルが印象的です。

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女オリキャラは恋愛してこそだろ!

『どうする家康』からは、そんな意識も感じられます。

女大鼠は、服部半蔵とペアで行動することがほとんどです。

服部半蔵が徳川家康の嫡男信康を介錯した回では、女大鼠が瀬名の腹を刺しました。腹を刺しても致命傷にはならないので、介錯としてはどうかと思います。

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要するに、彼女は半蔵のコピーであり、単独で動くキャラクターではないということですね。

そしてお約束の恋愛もねじこまれました。

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『どうする家康』では、女性人物が劇的に死ぬことで、盛り上がるよう誘導している場面も多くあります。

そして半蔵との関係性を踏まえると、彼女の行く末も見えてくる。

伊賀越えで死――。

伊賀越え最大の功労者は、服部半蔵です。

その半蔵の影で、ペアとなる女大鼠が散る――ドラマを盛り上げるためにも、非常に美味しい役所でしょう。

穴山梅雪も命を落としますので、その横にいる千代も何らかの混乱に巻き込まれて死ぬのか、偽装か。阿茶局あたりになって家康の隣に侍るような展開に……ならないことをむしろ願うばかりです。

 


2020年代後半は新たな女忍者像を

残念ながら『どうする家康』の女忍者は古臭い。

『鎌倉殿の13人』で進めたセンスを十年間は後退させられました。

女性のオリジナルキャラクターが、お色気恋愛要員扱いされることが定番だった2010年頃までの大河ドラマと同じ。

その枠からはみ出したヒロインが出てくると、バッシングが待ち受けています。

例えば『真田丸』の“きり”は、恋愛描写もありましたがアッサリしていて、持ち前の好奇心で動きまわる人物像でした。

2000年代で立て続けにお色気女忍者を演じさせられた長澤まさみさんを逆手に取った役に思えるタイプです。

しかし、だからでしょうか、きりは前半、執拗なまでにバッシングを受けました。

『麒麟がくる』の駒もそうです。

彼女は身につけた医術を用いて民を救おうとする、儒教の仁を司るような女性でした。

しかし、足利義昭ら権力者に民衆の救済ように訴えると、愛人になっただの、でしゃばりだの、散々叩かれたものです。

そして迎えた『鎌倉殿の13人』のトウ――彼女は恋愛お色気いっさい無しで、自己実現とシスターフッドを体現する新しい女性像になりました。

凄まじい進歩です。

大河にもまだまだ良心はある……と思いきや、今年の『どうする家康』は、なぜ、こんなことになってしまったのか?

いかにも怪しげでバカバカしい名前を使い、意味ありげな表情をして、黒装束を着ている。

そのくせアクションはピリッとしていない。

チープで陳腐、こんな古臭い忍者像を今さら見たくもありません。

制作サイドは深く考えず、「女で忍者だとこんなもんでしょ!!」というノリで、

・お色気恋愛要員

・ペアとなる男性の写し鏡

・派手に死んで見せ場を作る

そんなネタ素材だと考えているのでしょう。

『どうする家康』は「シン・大河」だの、「令和の感覚」だのを看板に掲げていましたが、一体何をどうしたらそんなことが言えるのか。

大河ドラマが着実に歩んでいた道を、十年以上も後退させる、時代錯誤感に溢れています。

2024年大河『光る君へ』、2025年大河『べらぼう』では、おそらく女忍者や女刺客は登場しないでしょう。

次に出てくる可能性があるとすれば2026年以降ですね。

そのときにはもう、バカみたいなお色気セクシー要員にすることだけは止めて欲しい――切実にそう願うばかり。

最後に、私なりのランキングを付けて終わりとさせていただきます。

 


大河ドラマの女忍者ランキング(刺客込み)

6位 初音・真田幸村の姉(当初は妹)『天地人』※殿堂入り作品にすべきかもしれません

5位 女大鼠・伊賀 『どうする家康』

4位 千代・武田 『どうする家康』

3位 小りん・甲賀の女忍者 『功名が辻』

2位 葉月・真田幸隆の配下 『風林火山』

1位 トウ・善児の弟子 『鎌倉殿の13人』


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文:小檜山青
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