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『光る君へ』感想あらすじレビュー第31回「月の下で」陰キャ全開で大胆不敵な女

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第31回「月の下で」
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斉信だけでなく、実資まで公任を説得する

すると今度は、藤原実資まで公任のもとへやってきました。

「これは不思議な眺めだ」と言う実資に対し、「私どもはもとより仲間だ」と友達アピールをする斉信。

何か急ぎの御用でもあるのか――そんな公任の言葉に対し、実資はおもむろに説明を始めます。

今回の人事は、道長が中宮太夫からさらに出世したからのものであり、公任の実力不足ではない。

まったくもって斉信と同じ慰めの言葉だけに、二人の態度を訝しむ公任。

実資はこうも続けます。

「内裏に公任殿がおらぬと調子がでぬ」

「それも今、私が」

斉信も不思議がっています。

「あ、そ」

バツの悪そうな実資。

「誰かに頼まれたのか?」

さすがに公任がそう言い、「私の気持ちである」と答えるのですが、これまた斉信と同じなんですね。いったい何事なんだ。

公任は鬱陶しそうにしながら、ついにはこう告げました。

「会いに行くなら今ですぞ」

ダラダラしていると学びの会が始まってしまうとかなんとか……すると実資はハッとして「ではこれにて」とそそくさと立ち去り、斉信も「今のはなんだ」と不思議がっています。

「実資殿も隅にはおけぬ」

公任がそう言うと、斉信が「えっ、そうなのか?」と驚いています。公任は、素っ気ないようで観察眼があるんですね。

このあと実資は女とでくわし、色目を使われております。

「今日は忙しいゆえ……」

なんだよ、そういう用事だったんですか。これみよがしに昭和レトロ、トランペットの響きが印象的なお色気BGMがかかっています。

なんだかんだで、公任よりも実資のセクシーシーンが多いのはどうしたことか。

公任は、打毱で肌を見せて話題をかっさらっておりましたが、実はそれくらいしか艶やかな場面がないともいえます。

水晶みたいに透き通っていて冷たい。

先ほど三浦義村を例に挙げましたが、NHKドラマでは、山本耕史さんと町田啓太さんの使い方が被っているようにも思えます。

お二人とも土方歳三を演じました。

今後は、近藤正臣さんや成田三樹夫さんのようなキャリアになるのでしょうか。

お二人ともこれから末長く時代劇でクールなキャリアを重ねていきそうで、素晴らしいことです。

そんな実資の横をまひろが通り過ぎてゆきます。

実資が「ハナクソのような女」だと思ったこのまひろが、今は道長が求める宝と化しているのです。

ここで公任と実資が出てきて、さらにまひろまでも顔を見せたことにも意味があるのかもしれません。

斉信は『枕草子』で描かれた通り、ドラマでもききょうとの深い仲が出てきました。

出世の利害はさておき、性格はフィーリング重視の「リア充」枠に思えます。

一方で、公任、実資、まひろは「陰キャ」枠に思えます。

そういうめんどくさい理詰め枠だからこそ、何か通じ合うものが見出せるのかもしれませんよ。

 

あかねは『枕草子』にグッと来ない

まひろは学びの会に向かう途中であかねを捕まえて『枕草子』の感想を再確認します。

何を言ったか覚えていない……彼女はそう面倒くさそうに答えながら、「ともかく惹かれなかった」と説明しています。

まひろはその理由を問い詰めます。

「艶かしさがないもの」

気が利いてはいるけれど、人肌のぬくもりはない。だから胸に食い込んでこない。巧みだと思うだけ。

そしてあかねは一首、読み上げます。

黒髪の
乱れも知らず
うち臥せば
まづかきやりし
人ぞ恋しき

黒髪が乱れることも構わずにうち伏せていると、この髪を撫でた人のことが恋しく思えてくる

肌のぬくもりと香りまで漂ってきそうな歌を詠むあかね。

そんなあかねに『枕草子』を貸して欲しいとまひろは頼み込むのでした。

まひろは思い出しています。

「皇后の影の部分が見たい」というまひろの意見をききょうは否定しました。華やかなお姿だけを人々の心に残したいのだと。

ここで、まひろが熱心に読んでいる『枕草子』は、根本先生が書いております。

右肩上がりの溌剌とした書体です。

 

道長は妻たちの心を見つめていない

道長が彰子のところへ行くと、彰子は瓢箪に顔を描いていました。

「ずいぶん寒くなった」と語りかけながら隣に座り、「敦康親王はどうしているのか」とさらに尋ねると、なんでも笛のお稽古をしているそうで。

不便はないかと道長が尋ねると、彰子は逆に聞き返してきました。

「父上と母上はどうかなさったのか」

思わず驚いてしまう道長。ご心配いただくようなことはないと慌ててごまかすものの、彰子にはバレているようにも思えます。

実は彼女には洞察力がある。周りをじっと観察している。

そんな個性が浮かんできました。

実は彰子が察知した通り、道長と倫子の間には、隙間風が吹いています。

土御門にいる倫子の道長を見る目は冷たい。疑うような光がある。

道長は高松殿にいる源明子のもとにいました。

明子は土御門の頼通、つまりは倫子の子が従五位で元服したと聞いて悔しがっているようで、明子の産んだ巌君と苔君もそろそろ元服だと言い出します。

「月日が経つのも早い」

道長がそう話をそらそうとすると、我が子にも頼通に負けぬ地位を与えて欲しいと訴える明子。

明子は醍醐天皇の孫。

倫子は宇多天皇の曾孫。

血筋では自分が上だと示す明子に、道長はうんざりしたようで、「土御門の家には世話になって恩がある」と言い放つ。

そして、それがどれほど後押ししてくれたかわからぬかと苛立っています。

私には血筋以外何もないと仰せなのか――そう焦る明子。

「そうではない」と道長は言いながら、内裏で子ども同士が競い合うことがないようにすべきだと語ります。

明子が地位を狙えば、息子たちもそうなって争いが起きてしまう。ゆえに気をつけるようにと釘を刺しました。

道長にとっての理想は、異母兄・道綱と自分のような関係なのでしょうね。

ムッとしている明子ですが、いざ道長が起き上がって帰ろうとすると謝り、引き留めようとします。

「はなせ。また参るゆえ」

「殿!」

かくして二人は別れてしまいます。

そして道長は、倫子のもとにも、明子のもとにも戻らず、内裏で泊まることが増えたのでした。

ちなみに来年大河の予習でも。

江戸城大奥では、将軍が同衾する際には、そばに監視役がつきます。

ここでの明子のように、閨でおねだりをされると支障があるためです。

もうひとつ。

道長が内裏に泊まるということは、一人で眠るのかというとそうとも限りません。

女房と同衾しても、特に数のうちにも入らないだけ。

そうした女房は「召人」(めしうど)と呼ばれます。

まひろが内裏にあがったら、そういう手段もできるということです。

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