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『光る君へ』感想あらすじレビュー第33回「式部誕生」一皮剥けたリーダー道長

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第33回「式部誕生」
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作家は実体験だけで書くわけでもない

自宅で物語の続きを読むまひろ。

惟規は「面白いよ、それ!」と大きなリアクション。このトボけた弟にもわかりやすい、少しいやらしくてコミカルな場所なのでしょう。

しかもこうきた。

「大勢の男と睦んでないのによく書ける!」

それを言いますか。

まひろは睦まなくても書けると反論します。

しかし、いとは心配そうだ。下品な殿御たちの話を帝が喜ぶのか……と。

さらに惟規はこう聞いてきます。

「中宮様はうつけだと皆言っている。皇后定子様は聡明で中宮はうつけだと。それは本当か?」

奥ゆかしいだけでご意志はしっかりあると返すまひろ。

怖い顔をする姉に対して、惟規は「怒るなよ」と言うしかできません。

まひろが、中宮の話でこうも怒るということは、心を掴まれつつあるからでしょう。

このやりとりも面白いものがあります。

惟規の理論を展開するならば、モテモテの人が世界最高の恋愛小説を書くことになりますよね。

ところがそういうわけでもありません。

紫式部と『源氏物語』もそうともいえるし、イギリスの恋愛小説の女王とされるジェーン・オースティンも、生涯独身です。

要は観察眼と想像力ですね。

 


道長は弓馬の台頭を懸念する

道長は除目の通り「伊勢守に平維衡を任じた」と帝に報告しつつ、速やかに交代するよう付け加えています。

さらには身内にも厳しく接してきたとも思えぬ帝の判断に異議をさしはさみ、名に傷がつかぬとよいと批判。

帝は反省し、そこまでゆゆしき間違いとも思えない……と口ごもります。

道長はお上に初めて申し上げると前置きしながら、言いました。

「今は寺社ですら武装し、武力で土地を取り合っている。さらに国司になるようなものが弓矢を専らにするようになればどうなのか」

武力を盾にして、朝廷を蔑ろにする者が出てくる。血で血を洗う世にならぬよう、この国のためを思えばこその諫言だと険しい表情の道長。

すばらしい。見る見るうちに聡明になってきました。

例えばこの時代の貴族であれば誰もが好きな『長恨歌』は、ただの悲恋としてだけではなく、背後にある安禄山の脅威も読み解けます。

武装した国司が、本朝の安禄山になったらどうするのか――そんな教訓にできる。そこまで到達した道長はすばらしい。

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道長は三男でマイペースだったものの、執務の中で磨かれてきたように思えます。

まさに大器晩成型なのでしょう。

柄本佑さんが見事に演じられ、彼あっての道長だと思えます。

帝も心打たれ、伊勢守交代に同意するのでした。

 


中宮が求めるもの

まひろが再出仕しました。

背後で「やめたんじゃないの?」と言われても我が道を突き進む。

思えば清少納言は、悪口に参ってしまい、里に下がったものでした。

紫式部はもっと早々と里に下がったため、両者を比較するとメンタル強者は清少納言とされてきました。

しかし本作では、本人がめんどくささを炸裂させて里下がりをしていて、何を言われようと受け流しているので、紫式部がとんでもないメンタル強者に見えてきます。

吉高由里子さんだからこそ、こうも強く見えるのでしょう。

まひろは帝に渡す物語の続きができたので、左大臣に渡すと中宮に報告しています。

「帝がお読みになるもの、私も読みたい」

「えっ」

口を開いた中宮に、思わず驚くまひろ。

「帝がお気に召された物語を知りたい」

しかしその手には続きしかありません。

そこでまひろはこれまでの展開を口で説明することにします。

中宮からすると、光源氏はどうしても敦康親王と重なってしまうようにも思えますが、中宮は微笑み、こう言います。

「帝みたい」

中宮にとって、帝は光り輝くように美しい人でした。

主人公の名前を聞かれたまひろが「光る君」と答えると、中宮はさらに「その皇子は何をするの?」と問いかけます。

「何をさせてあげましょう?」

まひろの逆質問に対し、中宮は少し微笑みながら「ん〜……」と考えています。

定子は満開の桜のように美しかったけれども、彰子のほころび始めた梅のような美しさも素晴らしいではないですか。見上愛さんの魅力がこぼれてきます。

道長は、まひろから続きを受け取り、心の底からこう言います。

「大儀であった」

編集者のように聞こえる声音でもあります。一通りページをめくって「これで終わりか?と聞くと、まだ続くとまひろが不敵に言い切る。

そのうえで、これまでわがままを申したけれど、お許しいただくならば藤壺に戻り、中宮様の御ために力を尽くしたいと言います。

驚く道長。

ありがたいけれど、よく気の変わるわからん女だと返します。

するとまひろが「中宮様の好きな色は空のような青だ」と、以前の出来事で知った彼女の一面を説明します。

驚きながら聞き返す道長。

中宮には、表に出てこないお言葉がたくさん潜んでいるのかもしれない。

そんな彼女ともっと話してみたいとまひろは嬉しそうにしています。やはり心惹かれるものがあるんですね。

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