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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第1回「どうする桶狭間」】
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どうするギャグセンス
前の項目とかぶりますが、笑いのセンスがおかしい。
もちろん戦国時代を再現しているわけでもないし、現代のセンスからも遠いように思えます。
ウケ狙いのためにピロピロしたBGMを流されても、どう反応したらよいのでしょう?
このドラマのノリって、おじさん構文を思い出すんですよね。
滑ったセンスで親近感をアピールしてくるけど、まったくもって受け付けない……。
◆ “おじさん構文” なんで引かれるのカナ?(-_-;) (→link)
どうする家父長制
2023年1月2日、Eテレで『100分de名著』「フェミニズム」が放送されました。
ここで『鎌倉殿の13人』の三浦義村が取り上げられました。
なぜあいつは源頼朝の女である亀に手を出そうとするのかと。
確かに義村はそうです。亀だけでなく、義時が思いを寄せていた八重にも手を出そうとしています。義時の妻・のえとも親密に陰謀を企てていました。
番組では、あれは義村が女好きだからそうするのではなく、家父長制をわかりやすく体現する男だからだと説明されていました。
男が家を支配する家父長制では、女は財産です。
父が、財産である娘を、別の男に与えることで関係を結ぶ。そう女性をモノ扱いすることに家父長制の本質があると。
義村の場合、頼朝や義時の所有物ということで価値のあがった「女」を手にすることで、獲物を狩る感覚なのです。わかりやすい男だと上野千鶴子氏は解説していました。
今年の大河でも、家父長制の説明はつきます。
瀬名の扱いです。
瀬名の結婚については、母の巴はただのうるさいだけの障害物です。巴は娘の結婚を邪魔しようとするものも、決定権はあくまで父の氏純にあります。
その氏純の、さらに上にいる主君である今川義元が、瀬名の所有者を決めています。
「トロフィー」となった瀬名を争う元康と氏真。家父長制をほのぼのと描く時代錯誤感には感動すら覚えました。
どうしてNHKは『100分de名著』と『どうする家康』を同時に作れるのでしょう。
昨年の大河はジェンダーを意識していましたが、今年はそうではないようです。それでこそ大河だと喜ぶオールドファンもいるでしょう。
しかし冷静に考えて欲しい。古臭い家父長制は、ドラマのプロットすら陳腐にしてしまう弊害を……。
家父長制を肯定的に描く21世紀のドラマなんて、まるでミンストレルショー(白人が顔を黒く塗り、黒人をおもしろおかしく演じたもの、差別的な時代錯誤エンタメの代名詞)です。
『鎌倉殿の13人』の場合は、義村を皮肉って描いていましたが、今年は青春の一ページ扱いですからどうにもならない。
どうする説明台詞
小栗旬さんは言いました。
三谷幸喜さんの大河台本は、説明台詞がほとんどないから素晴らしいと。
このことの意味を噛み締めています。
同じ大河でも『どうする家康』は説明台詞だらけです。
「ここが岡崎城かー」
いくらなんでも、こんな台詞を言わせなくてもよいでしょう。
どうする将の器
このドラマの元康よりも、小栗旬さんの方が将としての器があると認識しました。
小栗さんはスタッフの顔と名前を一致させて、それでやる気を引き出すよう工夫していたのです。
一方でこちらの元康。
本多忠勝のことすらろくに認識せず、説明されるまでわからないってどれだけ無責任なのでしょう?
三河の状況にも疎い。まったく将としての器がない。
こんなボンクラをどうして家臣団は支えるのか。理解できません。
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