武田軍が撤退したあと、武田信玄は謎の山奥で座っています。
瀕死の病人ならば寝床にいるべきではないか?
と、本作にそんな常識が通じるわけもなく、この調子ですと最終回辺りでの家康退場はどうなることやら……。
そしてこれまた、父親が死にそうな時に、ド派手な陣羽織を着たまま動揺する勝頼。
スカジャンみたいなセンスのデザインは、量販店で売っている宴会コスプレ衣装のようで親近感すら湧いてくるほどです。
そしてコロっと信玄が死にました。
みんなウキウキワクワク♪ 家康は「人が死んで喜んじゃダメ」なんて、現代小学生のいい子ちゃんみたいな発言をしていますけど、こういう場面で見たいのは
巨星、堕つ――
といった、物語の大きな展開を示唆するような、重厚な表現ではありませんか。それが大河ドラマに期待する見どころでは?
信玄が、弱い君主は悪だから滅びろだのなんだの語っていましたが、その言葉は本作そのものに向けたほうが良い気がしています。
あらすじ:ちょっとえっちなおじさん構文バージョン
武田信玄が、孔明の罠(※空城の計・史実で諸葛亮は使っていません)を、避けてた、前回( ◠‿◠ )
マジで、家康チャンも、信玄も、株が上がったヨネ( ´ ▽ ` )
名前を間違えた、伏線回収が、マジ神回wwww 広次ロスで、オイラ、号泣しちゃった(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
金平糖を、奪った義昭を、信長が、カッコよく、追放しますた( ´∀`)ざまあwwww
そのころ、家康チャンは落ち込んでいて( ; ; )
そしたら、風呂に、泡が似合いそうな、美女ハケーン!・:*+.\(( °ω° ))/.:+
火遊びしちゃった♪( ´▽`)
温泉街ではムフフって、この頃からナンダネ( ´ ▽ ` )
家康チャンの、浮気に、ぷんぷんしちゃった、瀬名チャンにハァハァ\(//∇//)\
スゴイ大河ダネ!♪(´ε` )
どうするオープニング
作り手も自信満々だというオープニング。
◆「どうする家康」OPタイトルバック“更新”当初から予定 演出統括も絶賛「ゴージャスな一発」第3弾は?(→link)
というと、悲壮な覚悟が見え隠れしていて、何度見ても心を動かされた『鎌倉殿の13人』のオープニングを今も思い出します。
それに引き換え今年の大河は、出だしからして拍子抜け。
根本的な発注の仕方が間違っているのではないでしょうか。
色合いが重厚になったと言いますが、それ以前の問題というか……紋様が丸みを帯びたような、ちょっとゆるふわなタッチにされていて、それがどうにも受け付けない。
タイトルロゴもそう。武士の持つ勇壮さやあらたまった雰囲気を雑に崩した結果、ただ単にデッサンが崩壊しただけのようにも思えてくる。
こういう映像を作る人は、日本の文様に興味も愛着もないのでは?
いや、人一倍愛着を持っています!と言われたら、ごめんなさいと答えるしかありませんが、それでもアレンジの仕方がおかしいと感じてしまう。
テーマ曲も含め、ここ十年でも最低ランクのオープニングだと思います。
どうする毒親・信玄
信玄、最期の台詞がトンチンカンな内容で、何を言いたいのか?困惑してしまいす。
具体的には以下の箇所です。
・(勝頼に向かって)お前は強いよ、俺より強い!
→ならばなぜ「死を隠せ」と言う必要があるのか? 代替わりして強くなるなら、逆に喧伝した方が脅威になるはず
・お前に全てを注ぎ込んで育ててきたよ
→嫡男は義信であり、勝頼と比べて格差があったと指摘されます。嫡男扱いされていなかった勝頼は、急遽、相続が回ってきたときに不利益が生じたともされているのに、急にどうした感がすごい
・お前には期待しているよ
→信玄は、義信の後の後継者は嫡孫(義信の子)にするつもりだったという見方もあります
フィクションだからいいのだー!と開き直るのも自由ですが、それにしたって物語の整合性が取れていないことはまずいでしょう。
なぜ武田家がこんな風に描かれてしまうのか。
確かに勝頼が暗愚だった説は古く、否定されていますが、だからといって勝頼が無茶苦茶優秀で強かったとはなりません。
本人の力量ではないマイナス要因があったと指摘される程度でしょう。
暗愚の反対は超絶有能――そんな8ビットな思考回路で歴史劇を描かれてもわけがわかりません。
そして……信玄がいた場所に、人骨が野晒しにされていたのは何なのか???
信玄が骨になった?
墓もあるのに、そんなわけありませんよね。
人骨+琵琶法師セットで諸行無常と言いたいとしても、それは一体いつの時代のトンデモJAPAN表現なのやら。
とにかく唐突で無茶苦茶です。
どうする摩利支天
大河ドラマ『風林火山』のキーアイテムが摩利支天像でした。
それを踏襲するかのように、摩利支天の像を持っていた家康。
小道具担当者は作っていておかしいと気付かなかったのでしょうか。懐に入れるにはデカすぎることを。『風林火山』の像はここまで大きくありません。
仏像をキーアイテムにすることは、『鎌倉殿の13人』でもありました。
源頼朝が髻(もとどり)に入れていたとされる仏像です。
大きさは2寸、だいたい6センチと伝わっています。持ち運ぶならばその程度の大きさになりますよね。
それがこの摩利支天像は作りも粗いし、何の加護も感じない。ただのガラクタにしか見えません。
美術品の作り方がどうにも甘い気がします。
どうする信玄の訃報
信玄の死は、武田軍が偽装しようとした形跡があり、各勢力は情報網を駆使してそれを見破ることに尽力しました。
『麒麟がくる』では、農民に偽装していた菊丸が、信玄の死をそっと光秀に伝えていた。
武田の動きがおかしい。何かある――そう探り、断片的な情報を集めているからこそ真実だとわかる。
あの作品はそんな慎重さがありましたが、今年は情報網がザル。
なんならスマホでも出てくるんじゃないかと思うほど。
『家康のスマホ』でも作っているつもりなのでしょうか?
どうする義昭追放
このドラマの義昭はなんだったのか。
金平糖を分捕り、下劣な振る舞いをし、蹴られて追放される。わけのわからん酔っ払いオジサンでした。
本作は亡くなっていない人物だろうが、出番が終わるとそれきりになります。
おそらく義昭も今後再登場はないのでしょう。
それにしても、このドラマは『麒麟がくる』の逆張りこそ正義と言いたげですね。
あの作品では、義昭を犯罪者扱いする態度に光秀が困惑していました。
それが今回は……信長が義昭に刃を突きつけ、蹴り飛ばす下劣さは何なのか。
武士としてのメンタリティがまるで表現できていません。刀は抜いたら誰かを斬って鞘に収めてこそ――それが武士の美学でしょう。
ただのチンピラじみた脅しで刀を抜くものではありません。
信長の動きが、いちいち“チャンバラ”じみているのもどうしたものか。時代劇に映えることを意識した、大衆演劇じみた動きです。古武術の時代とはとても思えません。『麒麟がくる』では、ちゃんと古武術の動きだったのに。
どうする伏線回収
以前も書きましたが、昨今「ドラマ通」SNSアカウントでは「伏線回収www」とはしゃぐことが定番となっています。
「神回ww」とつければなおのことよしで、こんなニュースが流される。
伏線というのは、作劇のうえでは特別なことでもない。
それに隠してあるから初めて「伏」線となるのに、それをどういうわけか、ドヤ顔で「どう?wこれがあとでこうなるんだよww」と見せる側も、見る側も、目配せし合うのが「伏線回収ww」になっている。
見え見えだし、どういう展開になるのか想像がつく。ましてや歴史物であるからには結果がわかっているのに。
『鎌倉殿の13人』では、和田義盛が畠山重忠にこっそり近づこうとして、すぐに見破られる場面がありました。
本作のように出来の悪い昨今のドラマは、そういう状態なんですよね。
伏兵は「伏せて」いるから伏兵です。
それでもネットで盛り上がって、提灯コタツ記事が出たら良いのでしょうか?
はなからそういう反応狙いでやっているのが見え見えで嫌になる。
なまじ複雑だったり、週跨ぎをする本物の「伏線」は、指摘すると考えすぎだのデタラメだの言われることすらありますし……。
本題に入りますと、義昭追放の時の光秀の「伏線ww」がバカバカしすぎる。
「義昭なんて知らねーしw 裏切り? まさか! 私は真面目に信長様に従うんですぅ、裏切るつもりはありません!」
常にそういう下劣さと、尻尾を千切れんばかりに振る忠犬じみた不気味さだけを見せてくる。
こんな忠臣なのに裏切るとかww でも義昭を裏切ったww これが伏線でしょwww……と盛り上がるSNS、ネットニュースまで見た瞬間に思い浮かんで、私は憂鬱でした。
どうするセクハラ
秀吉がわざとらしくお市にセクハラをする――もう無茶苦茶です。
長政の男子・浅井万福丸はカット。
市と秀吉の関係性を描くうえで、万福丸を無視するとはどういうセンスでしょう。
お市にゲスエロ視線を見せている秀吉ですが、かりにも主君の妹ですよ。それを皆が見ている前で貶めるって、どういうことでしょうか?
これも伏線回収の弊害でしょうよ。
お市が抱いている娘が、秀吉の妻になって、子を産むんだよw それが家康相手のラスボスになるww 伏線スゴイwwww……とでも喜ぶと?
そんなことは歴史が好きならば小学生でも知っている話で、伏線になんてしろものではない。
どうする狙いすぎセクシー女
お万は狙いすぎというか、おじさんの考えたえっちなお姉さん妄想全開でひたすら不気味でした。
箇条書きで突っ込みますね。
・主君の風呂場に入るにしては事前の確認が甘すぎやしませんか。武器を隠し持った女に殺されたらどうする!
・家康にしても、思ったことをベラベラと全部話してセキュリティ意識がなさすぎる
・髪の毛を結うはずが、前に回ってわざとらしく顔を寄せてくるのは何?
・アホみたいな「天があなたを守ってくれるんですぅ、私はあなたに憧れているんですぅ」アピール
こういう女が存在すると思える人がある意味羨ましいぐらいに、とにかくリアリティがない。
どうするヘアメイク
毎回ダメ出ししている気がしますが……お万はスチル写真を見た瞬間から、どうしてこんなメイクにするのかと呆然としていました。
メイクはどうにかならなかったんですか。
いくら風呂の世話をするからとはいえ、何であんなメイクなのでしょう?
まったく魅力がない。わざとらしい前髪も何が何やら。
演じる方は悪くない。役者の魅力を殺すかのような、制作サイドの罪が深すぎる。
どうする衣装
このドラマ、衣装のセンスがどんどん悪くなっています。
勝頼のスカジャン陣羽織にも絶望しましたが、それ以外も酷くて、和服の伝統をまるで踏まえていないと思います。
やたらと薄い色が多く、それだと要するに「染料も使えないほど貧乏です」になってしまう。
逆に「汚れたら捨てるほどリッチです」というエコロジー精神に反するアピールになるかも。
色の薄い服は汚れ易いから、倹約精神があって、かつ体を動かす身分だと濃い色を身につけることもあるわけですが、そのどちらでもないのが本作です。
お万の衣装は、なんなんでしょうね……もう、色合いからして下劣で気持ち悪い。
そして妙なことに、本作の衣装はまず模様がない。あったとしても、伝統的な模様ではない。
和装の模様をどうするか?
これは武者絵を描く絵師以来、ずっとクリエイターの頭を悩ませてきた問題です。
『麒麟がくる』を例にあげましょう。『どうする家康』ではついに出てこなかった朝倉義景です。
彼は梅のような薄紅色の衣装でした。東洋の伝統では、この手の配色も女性特有のものではありません。
むしろ男性がこういう色を着こなしていると、東洋時代劇らしさが出てきて素敵です。そして雅な模様も入っていると。
そして、そうした色合いを選ぶのも、乱世を生きるには柔弱で、いざという時の判断を誤る義景の個性に見合っていました。
『どうする家康』はどうか?
そうですね、たとえば信康のミントグリーンの衣装は「俺、チョコミン党!」とでも主張しているみたい♪
そう思ってしまったら、どういつもこいつもアイスクリームの好きなフレーバーをアピールしているように見えてきました。
抹茶味とか、チョコレートとか。そう考えるとかわいい……ってなりますかね? いやいやいや。
和服の構造や、魅力を理解していないと思われることもあり、信玄のモコモコ陣羽織はじめ、ラインがピシッとしていない衣装も目立ちます。
シルエットの美しさが、あのモコモコで台無し。
信長の陣羽織もゴミ袋のような質感で、これまた台無し。
せめて和服の構造を踏まえた上で作れないのでしょうか。
NHK大河スタッフが和服の構造を知らないなんてこと、あってはならないけれども……。
そんな本作の衣装でよいところといえば、他の大河で使い回しをしないところだろうとは思います。
なまじデザイナーの個性が強いとそうなりますが、これは強みを一つ捨てることでもあります。
ストック衣装の使い回しは大河や朝ドラの強みで、ファンはそれを把握していたりする。
そういう伝統よりも作家性を重んじた結果、本作は迷走している。
大河の衣装センスの悪さが際立っている一因として、朝ドラ『らんまん』の影響もあるかもしれません。
青年が身につける藍染の股引き。新橋芸者の粋な着物。そしてヒロインが来ている朝顔柄の浴衣。和装の魅力を思う存分引き出していて、朝から圧倒されます。
そういうものがNHKの強みだと思いますが、朝ドラがあれだけ完璧なのに、大河では一体何が起きているのでしょう。
どうする聴覚
本作はBGMもチグハグしていて入り込めない。
三方ヶ原で出陣する時はまるで遠足。
夏目の死への旅立ちもウキウキワクワク。
お万とのイチャイチャは、女刺客が企んでいるよう。
そして発声もどうにかなりませんか。
声を顰めている場面で、滑舌が悪すぎて全く聞き取れません。字幕がないと理解できないレベルです。
本作は、誰かが何かを話している最中に、その言葉を遮る場面が多くて、かなり不愉快になってきます。
同じ脚本家の『レジェンド&バタフライ』もそうだったので、クセなのかもしれません。
回想シーンでわざとらしく流れる合戦のサウンドエフェクトもウンザリ。何もかもが耳に悪いドラマです。
どうする漢籍
家康の部屋の漢籍の積み方にリアリティがまるでありません。
ともかく冊数が少ない。
昔の漢籍は巻数が非常に多いため、あの程度の冊数で「勉強してますぅ」アピールをされても薄ら寒いだけなのです。
映る範囲だけに置けばいい、そんなSNSの背景か何かと勘違いしていませんか?
それにしても、嫌な予感が的中しました。
前回出てきた「空城の計」が、諸葛亮の得意技にされていたら嫌だなぁと。『三国志演義』でしか使っていないのに……と思ったら、案の定、こんなニュースが出ていて、誤解が広がりそうでいたたまれません。
◆酒井忠次が機転利かす 「これは孔明の罠だ」 「空城の計」にSNS沸く(→link)
どうするすべてが無駄遣い
半蔵の仕事が、お万の妊娠報告ですか……。
お万がらみのすべてが無駄で、もう何もかもが虚しい。
『鎌倉殿の13人』の亀は、北条視点から見ればそれなりに重要なんですけどね。
お葉も、お万も、家康の妻の中では重要度が低い女にばかり、どうして時間をかけるのでしょう。
どうするあほたわけ
瀬名チャンが「あほたわけ!」と叫ぶの萌え〜〜〜とでも言いたいのかもしれませんが、有村架純さんにこんなことをさせないで欲しい。
昨年の北条政子との落差が……。
どうする非嫡出子の認識
信康と亀の立場はどうなるの!
こういうケチの付け方が、ちょっと戦国時代のお勉強を頑張った子供のようで痛々しいです。
瀬名がお万を追い出したというのは確かにそうなのですが、お万の立場の子が、信康を脅かすという認識は変です。亀の地位にも関係ない。
一応、現代人っぽく浮気を嫉妬させないために、アリバイみたいなセリフを言わせたのでしょう。
脚本段階でどうにかできなかったのでしょうか。
お万の子は、活用のしようがある。そういうドライな判断を二人がせず、メソメソネチョネチョ言い合っても困ります。
このドラマって、『鎌倉殿の13人』における女性の立場と、現代人の目線をゴチャゴチャと混ぜてしまって、何が何やらわからなくなっています。
平安時代後期から鎌倉時代初期と、戦国時代後期ではジェンダー観も異なる。
ジェンダー観からの歴史の見直しが今一番熱いくらいなのに、どんしてこんな時代錯誤的で、間違っていて、無茶苦茶な場面を流すのか。
歴史なんかどうでもよくて、作り手の萌え要素をぶちまけたいだけに思えます。
そういうのは二次創作でお願いしますよ。
どうする戦のない世
お万のセリフもどうなのか。
女が為政者になれば戦がなくなる? って、そういうことではないでしょうよ。
地球の裏側では、織田信長と同年代のエリザベス1世が、スペイン艦隊を退けております。
「女性ならではの目線」というのは、褒めたつもりでもジェンダー観から入れるべきではありません。
一体いつの時代のジェンダー観なのか? 他にまっとうなドラマがNHKにあるのに、肝心の大河でこの調子では……。
そもそも、男女問わず、当時の人は「平和な世の中」をどう定義していたのか。
『鎌倉殿の13人』の場合、義時の少年時代はとりあえず平和でした。
和田義盛が嘆いたように“木簡を数えていたころの小四郎”は乱世を知らなかった。そんな彼らは泰平の世を目指すとなれば、進歩しつつ、そこへ戻すことを考えればよいのです。
では、家康周辺は?
彼らは生まれた時から乱世です。親の代も、祖父の代も……何代も乱世が続いています。
そういう時代に「平和な世の中にしたい」と語ったところで、男女問わず、ピンとこない。
これを踏まえた上で物語を始めたのが『麒麟がくる』でした。
あのドラマでは第1回放送で駒が、戦のない世には麒麟がくると語り、それを聞いた光秀がハッとした顔になります。
儒教朱子学が説く麒麟が到来する世の中は、戦がない――そこへ向かって、光秀は進む。
平和な世を知らないからには、教義を読み解き、自分なりの奮闘をするしかないのです。
それから数年でこれですよ。
「女子の優しい目線があれば平和が訪れるの!」
って、もう何もかもが嫌だ……このドラマには、麒麟は来ない……。
どうする夫婦
それにしても、家康と瀬名が語り合う場面が一番辛いかもしれませんね。
なぜかというと、成長がまるでないから。
二人はドラマ登場から何年たったのか。
見た目も精神もずっと同じじゃないですか。
どうするVFX
季節感もなければ、壁すら碌にない、使い回し場面はどうにかなりませんか。
雨風が絶対に吹き込まない、のざらし城って何でしょうか?
おまけにLEDスクリーンを使っていると見ていてバレバレなのは、どうしたものでしょう。
どうする誰かを小馬鹿にするウケ狙い
民衆が自分たちの殿を小馬鹿にしてケラケラ笑う。
それをかっこつけて腕組みして聞いている井伊直政。
家康がお万を妊娠させたことで笑い出す半蔵。
お万と瀬名の対決にウキウキワクワクする周囲。
どうしてこんなにゲスばかりなのか。
焼き味噌もセリフ処理しましたが、なくていいと思います。
どうする大河主演俳優
このドラマの強みは、大河主演経験者を出すことでした。
それももう終わりですね。
今秋放送予定のドラマ10『大奥』シーズン2では、『功名が辻』主演の仲間由紀恵さんが、徳川治済を演じます。
作中でも最も常軌を逸している、そんな役を大河主演俳優が演じるのです。これは期待が高まります!
ほんとうに、仲間さんが『大奥』に出てよかった。
これでますます『大奥』が本来の大河になりますね。よいことです。
剣は一人の敵、学ぶに足らず
楚漢戦争の英雄である項羽は、若いころ剣術を学びました。
しかし、あるときやめます。
それはなぜか?
剣は一人の敵、学ぶに足らず。『史記』
剣術は所詮一対一でしか使えない。学んでも仕方ない。
こう悟り、大軍を率いる兵法を学ぶことにしたのです。
なぜこんなことを持ち出すのか? というと、兵法センスがない大河は見ていて不愉快だから。
『鎌倉殿の13人』では、見るからに強そうな、コワモテイケボの藤原秀康が出てきました。
しかし、彼が坂東武者対策として流鏑馬をやると後鳥羽上皇に語る場面をみて、もう終わったと私は思いました。
本当に強い、天才戦術家である義経とまるで違う。
義経は兄・頼朝の弓は強すぎて、腕を震えさせながらでないと引けません。個人武芸はそこまででもない。
しかし、戦術の組み立て方が圧倒的にうまい。
死を目の前にして、義経は義時に、景時に渡すようにと鎌倉陥落戦術案を託しました。
それを義時が梶原景時に渡すと、景時は戦術を理解し、感服しています。
義経と景時は、戦術家として一流。だからこそわかりあえるという秀逸な描写でした。
秀康が本当に勝つことのできる将であれば、流鏑馬している暇を惜しんで、戦術や兵站のことを練るはず。しかし、それができない。こりゃ弱いなと思った。
『どうする家康』の場合もそう。
強い武将の描写が藤原秀康レベルなのです。
『鎌倉殿の13人』でダメな将として描かれたやり方を、強い者として出してくる。
『麒麟がくる』とも比較しましょう。
足利義輝が剣豪将軍として闘死しました。
将軍なら本来、自ら剣を振るうことなく、家臣を指揮するべきもの。それなのに、将自ら剣を執る悲しさがありました。
義昭が剣術の稽古を始めると、それを目にした光秀は困惑します。
将軍として、武士としての自覚が出たと喜ぶことはできない。むしろ世を治めるものとして、武力以外の力を振るうべきなのに、そこから離れていく。
そんな悲しみを、光秀と義昭の稽古を通して描いていたのです。
そういう高度な作劇と比較すると、『どうする家康』はアリバイなんですね。
信玄もよくわからん場所で武術をする。信長も思いついたように剣を振り回す。今週は家康と勝頼もトレーニングをがんばっていた。
ただそれだけ。
子どもが宿題をして先生や親に提出し、褒められる。そういう“やったふり”アピールに思えます。
家康がスカスカな本棚を自慢げに出してくるところもそう。
これで文武両道と言われたところで、失笑しかありません。
佞言は忠に似たり
やったフリだけうまくて芯がない。
これこそが、今年の大河製作側とも一致するスタンスだろうと思います。
佞言は忠に似たり。『宋史』
盛り上げているようで、実際は壊している「佞言」。たとえばそれが今は「神回」だな。忠誠心のあるファンのフリをしているけど、どうだか。
前述したように、SNSで盛り上がった投稿を切り貼りすれば、成功したと偽装はできる。
そういうSNS対策をバッチリして、「シン・大河」は年寄りには理解できないだのなんだのアピールする。
ちょっとでも好感度が持てる人物は「推し」。
誰かが死ねば「ロス」「号泣」。
わかりやすいバレバレの描写をすれば「伏線回収」。
どんなくだらない出来でも、固定層は「神回!」と毎回叫んでくれる。
フォロワー同士でドラマへの忠誠心をアピールし合わないといけないし、その方がブログやnoteや記事に誘導できるし。
作品鑑賞や批判をするというよりも、仲間同士でアピールをしたい。
そうなると、諫言ではなく、忠言のツラをした佞言が飛び交うワケです。毒のあるファンダムの言葉を拾えば、作品評価を装うなど造作もありません。
そして、そんなツイートを拾って、ネットニュースで流せばどうにでもなる。
中身がスカスカで、えっちな妄想を垂れ流してもいい。
固定ファンがいて、知名度が高い、大河枠の強みでありメリットだ!
史実をなぞっておけば、歴史ファンはうんちく語りで勝手に盛り上がってくれるし、打ち切りもないし、とりあえずやりきれば成功したことになる。
――そんな打算をどうしたって感じてしまいます。
大河ブランドに泥を塗りつけようと、自分たちが満足すればいい。
本作からは、そんな堕落のにおいばかりが漂ってくるのです。
それがいつまで続くのか。私にはそう長いとは思えません。暗雲が漂っていることは、言うまでもなく多くの方が感じていることでしょう。
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文:武者震之助(note)
【参考】
どうする家康/公式サイト








