どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第19回「お手付きしてどうする!」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第19回「お手付きしてどうする!」
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どうする誰かを小馬鹿にするウケ狙い

民衆が自分たちの殿を小馬鹿にしてケラケラ笑う。

それをかっこつけて腕組みして聞いている井伊直政

家康がお万を妊娠させたことで笑い出す半蔵。

お万と瀬名の対決にウキウキワクワクする周囲。

どうしてこんなにゲスばかりなのか。

焼き味噌もセリフ処理しましたが、なくていいと思います。

 

どうする大河主演俳優

このドラマの強みは、大河主演経験者を出すことでした。

それももう終わりですね。

今秋放送予定のドラマ10『大奥』シーズン2では、『功名が辻』主演の仲間由紀恵さんが、徳川治済を演じます。

作中でも最も常軌を逸している、そんな役を大河主演俳優が演じるのです。これは期待が高まります!

ほんとうに、仲間さんが『大奥』に出てよかった。

これでますます『大奥』が本来の大河になりますね。よいことです。

 

剣は一人の敵、学ぶに足らず

楚漢戦争の英雄である項羽は、若いころ剣術を学びました。

しかし、あるときやめます。

それはなぜか?

剣は一人の敵、学ぶに足らず。『史記』

剣術は所詮一対一でしか使えない。学んでも仕方ない。

こう悟り、大軍を率いる兵法を学ぶことにしたのです。

なぜこんなことを持ち出すのか? というと、兵法センスがない大河は見ていて不愉快だから。

『鎌倉殿の13人』では、見るからに強そうな、コワモテイケボの藤原秀康が出てきました。

しかし、彼が坂東武者対策として流鏑馬をやると後鳥羽上皇に語る場面をみて、もう終わったと私は思いました。

本当に強い、天才戦術家である義経とまるで違う。

義経は兄・頼朝の弓は強すぎて、腕を震えさせながらでないと引けません。個人武芸はそこまででもない。

しかし、戦術の組み立て方が圧倒的にうまい。

死を目の前にして、義経は義時に、景時に渡すようにと鎌倉陥落戦術案を託しました。

それを義時が梶原景時に渡すと、景時は戦術を理解し、感服しています。

義経と景時は、戦術家として一流。だからこそわかりあえるという秀逸な描写でした。

秀康が本当に勝つことのできる将であれば、流鏑馬している暇を惜しんで、戦術や兵站のことを練るはず。しかし、それができない。こりゃ弱いなと思った。

『どうする家康』の場合もそう。

強い武将の描写が藤原秀康レベルなのです。

『鎌倉殿の13人』でダメな将として描かれたやり方を、強い者として出してくる。

『麒麟がくる』とも比較しましょう。

足利義輝が剣豪将軍として闘死しました。

将軍なら本来、自ら剣を振るうことなく、家臣を指揮するべきもの。それなのに、将自ら剣を執る悲しさがありました。

義昭が剣術の稽古を始めると、それを目にした光秀は困惑します。

将軍として、武士としての自覚が出たと喜ぶことはできない。むしろ世を治めるものとして、武力以外の力を振るうべきなのに、そこから離れていく。

そんな悲しみを、光秀と義昭の稽古を通して描いていたのです。

そういう高度な作劇と比較すると、『どうする家康』はアリバイなんですね。

信玄もよくわからん場所で武術をする。信長も思いついたように剣を振り回す。今週は家康と勝頼もトレーニングをがんばっていた。

ただそれだけ。

子どもが宿題をして先生や親に提出し、褒められる。そういう“やったふり”アピールに思えます。

家康がスカスカな本棚を自慢げに出してくるところもそう。

これで文武両道と言われたところで、失笑しかありません。

 

佞言は忠に似たり

やったフリだけうまくて芯がない。

これこそが、今年の大河製作側とも一致するスタンスだろうと思います。

佞言は忠に似たり。『宋史』

盛り上げているようで、実際は壊している「佞言」。たとえばそれが今は「神回」だな。忠誠心のあるファンのフリをしているけど、どうだか。

前述したように、SNSで盛り上がった投稿を切り貼りすれば、成功したと偽装はできる。

そういうSNS対策をバッチリして、「シン・大河」は年寄りには理解できないだのなんだのアピールする。

ちょっとでも好感度が持てる人物は「推し」。

誰かが死ねば「ロス」「号泣」。

わかりやすいバレバレの描写をすれば「伏線回収」。

どんなくだらない出来でも、固定層は「神回!」と毎回叫んでくれる。

フォロワー同士でドラマへの忠誠心をアピールし合わないといけないし、その方がブログやnoteや記事に誘導できるし。

作品鑑賞や批判をするというよりも、仲間同士でアピールをしたい。

そうなると、諫言ではなく、忠言のツラをした佞言が飛び交うワケです。毒のあるファンダムの言葉を拾えば、作品評価を装うなど造作もありません。

そして、そんなツイートを拾って、ネットニュースで流せばどうにでもなる。

中身がスカスカで、えっちな妄想を垂れ流してもいい。

固定ファンがいて、知名度が高い、大河枠の強みでありメリットだ!

史実をなぞっておけば、歴史ファンはうんちく語りで勝手に盛り上がってくれるし、打ち切りもないし、とりあえずやりきれば成功したことになる。

――そんな打算をどうしたって感じてしまいます。

大河ブランドに泥を塗りつけようと、自分たちが満足すればいい。

本作からは、そんな堕落のにおいばかりが漂ってくるのです。

それがいつまで続くのか。私にはそう長いとは思えません。暗雲が漂っていることは、言うまでもなく多くの方が感じていることでしょう。

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文:武者震之助note

【参考】
どうする家康/公式サイト

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