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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第31回「史上最大の決戦」】
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どうする乱世のおさめ方
「乱世をおさめたいから秀吉に勝負を挑む!」
いったい何を言っているのか?
『麒麟がくる』では、明智光秀の内政のやり方に感銘を受けた徳川家康が、意見を聞きに行く場面がありました。
民の安定を成し遂げてこそ、乱世が終わる。そういう丁寧な描写です。
トップが妄想ぎみに「俺が乱世終わらせるし!」と勝負を挑んだって、うまくいきませんよ。
どうする誅殺
織田信雄の前で、家老が火花をきらめかせながら斬られる場面。
お祭りみたいで、心の底から「酷い!」と叫びたくなった。
制作陣の誰か、止められなかったんですか?
あんな目の前でわかりやすく殺されてたまるか!
処刑ならきっちり斬首。『鎌倉殿の13人』では藤内光澄はじめ、ちゃんとそうしていましたよね。
暗殺なら、宴会に呼び出すとか。『鎌倉殿の13人』では、一条忠頼を呼び出して坂東武者が取り囲み、きっちり始末していましたね。
あるいは入浴中や就寝中とか。
もっと人を殺す手段を真面目に考えてくださいよ。
とにかく真剣味が足りない。あんなスタイリッシュで甘っちょろい、血が一滴も飛び散らない殺し方なんて、下手すりゃ酔っ払いの宴会芸と間違われますよ。
何のために時代劇を作っているのでしょうか。
どうする「レーシックお愛」
今週もド近眼設定はまるっと無視!
マザーセナの後継者である彼女は、目の術後も良好なようですね。今後はレーシックお愛という名前で呼びましょう。
そのレーシックお愛の肩を揉み、癒しを得る場面は、作り手の趣味でしょうか。
具体的なアドバイスも何もなく、こんなくだらないシーンが挿し込まれるなんて随分と尺に余裕があるもんですね。
それでも演じる役者を配慮してか。
提灯記事は出ますが、苦しいとしか言いようがありません。
◆ 広瀬アリスは「役得」? 視聴率苦戦『どうする家康』で評価うなぎ上り&モテモテの背景(→link)
どうする発声
大事な戦の場面になっても、腹の底から声が出ていないように思えます。
発声指導はどうなっているのでしょうか。
香具師や講談師でないときの正信は、武士ではなく現代劇の探偵のよう。
家康はボソボソと暗く話すだけのことを「落ち着き」と勘違いしているよう。
戦況報告でも、勝利してもその興奮すら入らない。
そうかと思えば、下劣な口調の時だけ悪趣味なまでに強調する。
秀吉はそのせいで聞き取りにくく、字幕を出さなければ何を言っているのかわからない時すらある。
耳に辛いドラマです。
どうする変化の表現
秀吉は月代。
家康はちょび髭。
そういうメイクでごまかしていますが、人間的な変貌が全く無いから、わけがわかりません。
『鎌倉殿の13人』の北条義時はじめとする登場人物たちを思い出し、切なくなる。
『鎌倉殿の13人』では、各人物たちが毒々しくなっていくところも素晴らしかったけれど、それが抜け切るところも見事でした。
あれだけ憎々しかった頼朝なんて、死の直前には、ちょっととぼけて愛嬌のある「佐殿」にまで戻りましたからね。
どうする日本を二分
日本を二分する――こういうセリフで小手先だけのスケール感を出したいのでしょうが、かえって逆効果でしょうよ。
九州や奥羽がまだ残っているのに、気が早すぎるのでは?
しかもサブタイトルが、往年の名画を安直に真似た「史上最大の決戦!」です。だとしたら、関ヶ原の戦いや大坂の陣はどういう扱いとなるのでしょう?
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