こちらは2ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
【『どうする家康』感想あらすじレビュー第43回「関ヶ原の戦い」】
をクリックお願いします。
どうする……家康! じゃないんだな
三成がタイトルを呼ぶだけで「フラグ回収!」とか盛り上がるのもいい加減にしてください。
内府だの、家康だの、呼び方一つとってもバラバラ。
思えば、諱に呼びかけるタイトルをつけた時点で、このドラマは詰んでいたんですね。
◆ 【来週11月12日のどうする家康】第43話 ついに関ヶ原!三成も“タイトル回収”3人目にネット沸く(→link)
こんな提灯記事を読んでいるだけで脳みそが削られていくようだ。
どうする天候
本作は序盤からずっと戦になると曇天ばかり。
なぜか?
「大垣城の兵糧入れを思い出す」とかなんとか家康が言いますけど、VFXの都合ですかね。青空より合成がしやすい。
結果、常に異世界じみている。
それもプレステ2ぐらいの表現力なので、チープなことこの上ない。
お得意のVFXとやらは季節感のある空すら描けないのですかね。
どうしようもない兵法
本作の脚本家は、現代劇のコンゲームもの、つまりは詐欺師が騙しあうような話の技法で、よりにもよって16世紀最後を飾る大会戦を描くという無茶苦茶なことをしています。
インスタント味噌汁を作ったことしかないのに、いきなり懐石料理を作り始めたような無惨さがありますね。
兵法に必須である兵站とか、兵器性能とか、射程距離などを把握できていないのでしょう。
関ヶ原の戦いって、実は世界史的にも重要な点があります。
大砲です。
当時、ヨーロッパではすでに大砲を用いた戦闘が定着していて、東洋では16世紀後期からようやく始まった。
そんな新兵器を実戦に用いた大会戦ということで、注目を集めます。
それなのに本作の脚本家は、何もわかっていないままテキトーに書いているのでしょう。大砲を効果的に使うようなシーンは一切なく、そんなんでドラマが面白くなるわけがない。
最高の食材をシュレッダーにかけて、そのままコンポストへ直行させる様を見せられているようです。
このドラマの作り手って、いまだに「あのスゴイ戦略家のメッケルが、関ヶ原の布陣図を見て西軍が勝つと言い切ったんだって!」と仕入れたばかりの知識ではしゃいでいそうなんですよね。
それは西軍贔屓、家康アンチな司馬遼太郎の創作ですよ。
『司馬遼太郎が描かなかった幕末』が面白いから湧いてくる複雑な思い
続きを見る
もう見ているだけで辛い関ヶ原
うっすらと霧がかかった中で、
「殿大好き!」
「殿ぱねぇ!」
と褒め合う、ちょび髭コスプレイヤーがいるだけ。主演を褒めて気持ちよくなって欲しいだけのセラピーにしか見えません。
勝つか負けるか全くわからない戦場で、ニタニタうっとりと「俺すげええええ!」としている総大将ってもう見ているだけで辛い。
老けメイクもおざなりだし、発声は青年期から変えていないし、いつ見ても目は淀んでいる。二日酔いですか?
井伊直政が「おいら」という痛々しい主語を使い、しかも死ぬことをわかっているようなことを言いだす。
そしてあの間抜けなテーマが流れる。
そりゃあ、こんなチョビ髭コスプレイヤーのヒョロ政じゃ、島津に鎧袖一触されますわな。
「かかれー!」
と、メリーゴーランド馬に跨った井伊直政はもう、史上最悪のカッコ悪政と言えるでしょう。
見てしまった記憶はその場ですぐに流れ落としたい。
しかも兜に照明が映り込みすぎです!
ペンキを塗ったばかりのような赤い兜に、天井の白い照明が点々と反映していて、スタジオ撮影だなって丸わかり。
後で修正かければいいはずなのに、それを忘れているのか、時間がないのか。
いずれにせよ、とてもプロの仕事とは言えないでしょう。
最低最悪の殺陣
本作は甲冑の重さや、制限される関節の動きを度外視しています。
甲冑をつけていては絶対にできないような動きをしてしまう。
甲冑の防御性能すらわかっていないのか、着ているところに刀身をぶつけにいく間抜けさも健在。そんなことしたら刀が折れるだけですよ!
日本刀って、実はこういう戦場ではそこまで役に立たない。
確実に切れるような、たとえば斬首といった状況では有用です。あるいは幕末も、甲冑なしの屋内戦闘が多く、それこそ猛威を振いました。
幕末の外国人は侍にガクブル~銃でも勝てない日本刀がヤバけりゃ切腹も恐ろしや
続きを見る
もしかして本作は『青天を衝け』の感覚で作っているんですかね?
あの作品も殺陣が酷かった。
当たったら即死しかねない木刀を防具をつけずに振り回したり。
土方歳三が池田屋にテレポートしたような登場をしたり。
水戸藩士が薩摩ジゲン流特有の猿叫をしたり。
左右から袈裟懸けで斬られた標的が血もろくに流さぬままダラダラ喋りながら歩いたり。
それをそのまま戦国でやったら、ますます無惨さが際立ちますよ。
こうなると改めて問いたくなる。
日本刀を用いたアクションが苦手で興味もなく、勉強する気もなければ、なぜ大河でアクションを担当しているのか。
※続きは【次のページへ】をclick!