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『どうする家康』感想あらすじレビュー第43回「関ヶ原の戦い」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第43回「関ヶ原の戦い」
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結局なかったぞ、干し柿が!

死を前にしても三成の毅然とした態度を表すエピソード――干し柿の話は、後世の創作とかなんとか、そういう問題ではありません。

10月の週刊文春に掲載されていた文春砲の中身が正しいかどうか。

この干し柿が一つの審査基準となっていたのです。

と、突然言われてもわからない方もいらっしゃると思いますので、少し詳しく説明させていただきます。

文春砲によると、そもそも本作は「干し柿エピソードを出すつもり」とのことでした。

三成と大谷吉継が話す場面でも、これみよがしに干し柿が映されていて、伏線もあった。出す気は満々だったと見るのが自然でしょう。

しかし実際は放送されていません。

放送時間が足りなかったわけでもないでしょう。

家康と三成が対峙する場面で、家康がウダウダとマウントを取り、自画自賛するような場面がなければ、十分に確保できたはずです。

でも、干し柿は出なかった。なぜか?

文春砲曰く「松本潤さんがやりたがらなかった」とのことで、それを親友の七之助さんは承諾した、というものです。

干し柿エピソードは三成の意志の強さが表される見せ場の一つであり、役者としては演じたい場面でしょう。

ゆえに私は注目していました。

もしも干し柿のエピソードが出たら、文春砲はデマということになりかねない。

結果、干し柿は……出ていません。

文春砲が気になる方は以下の記事を併せてご覧ください。

どうする家康文春砲
文春砲で告発された『どうする家康』松本潤さんの横暴は本当か?徹底検証

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文春砲の威力とは?

文春砲について、少し考えてみたいことがあります。

『どうする家康』については、以下の記事のように2回に分け、内部告発のようなカタチで記されています。

文春砲第二弾が出た『どうする家康』今度は何が告発されたか徹底検証

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文春砲ならば世間のみんなが注目してくれる――ということで、ネタを持ち込む内部告発が多いのも同誌の特徴でしょう。

その威力が発揮された一例として、宝塚いじめ問題があります。

あの記事が発表されたとき、酷い反応は良く見かけました。

「文春のPVに貢献しないで、クリックしないで!」

「途中から有料にするなんて卑劣! 金稼ぎに使うなんて!」(雑誌はそういうものでは?)

ジャニーズも宝塚も熱心なファンが多いことで知られ、時に盲目になるようですが、転機はすぐに訪れました。

宝塚公式もトーンダウンし、他の週刊誌も追い始めると、ついに大手新聞や地上波テレビ局まで報道を始めたのです。

要するに文春が先行していたと証明されたんですね。

◆「時間外労働277時間」「上級生が額にヘアアイロン」…宝塚歌劇団員の遺族が謝罪と賠償要求(→link

ジャニーズ性加害の件にしても、他のメディアが沈黙していた頃から追い続けていたのが文春です。

そして何より、NHKが『あさイチ』で文春砲を匂わせたことにより、結果的に「正しいのでは……」とアピールしたようにも思えます。

さらには最終回のサプライズキャスティング報道により、文春砲が信頼性を増すことに。下手に反応したせいでますます深みにハマっています。

◆松本潤『どうする家康』視聴率“大河ワースト2位”ほほ確実、盟友・小栗旬に最終回「直々オファー」情報も「プロデューサー気取り」文春パワハラ報道が再加熱(→link

 


事は密なるを以って成り、語は泄るるを以って敗る

事は密なるを以って成り、語は泄るるを以って敗る。『韓非子』

プロジェクトを成功させるためには、情報管理は徹底すること。

台本が週刊誌に漏洩しちゃうとか。SNSやインタビュー、関連番組で関係者がペラペラとお漏らしするとか。そういうことしていてうまくいくと思ってんの?

こんな記事がありました。

◆ 嵐・松本潤、『あさイチ』で週刊文春『どうする家康』現場パワハラに“生反論”!?「嫌い」報道芸人もブッコミの「攻める殿」!(→link

NHK朝の番組『あさイチ』に松本潤さんが出演し、文春砲の中身を暗に否定するかのような匂わせをしていたというものですね。

通常『あさイチ』にドラマ出演者が出る場合、役作りや“今後”の見どころを語ることが多いと思います。

それが松本さんが出演したときには「過去、甲冑着たもんアピール」やら「あいつをいじめてハブってなんかないもん! 本当は可愛がっているもん」アピールが多かったとのこと。

『パリピ孔明』ではないけれど、誰か兵法を考えられなかったのでしょうか。

これでは文春砲を受け止めつつ、アリバイとして、できる範囲を否定したように思える。

確かに、ゼロイチ思考の人間は、全否定か、全肯定しかできない。一部を否定するだけで「論破www」と浮かれますから、そういう層に対しては有効な戦術かもしれません。

実際、記事の中では以下のようなSNSの反応があったことを記しています。

《松潤家康、これだけのことを共演者がはなしてくれるなんて、現場では本当にすごかったんだろうな。文春、まぁよくあんな風に書けるもんだわ》

《森崎ウィンくんスゴくいいお話ししてくれた〜切な言葉なので3回言います!本潤さんは相手のために芝居する人 相手のために芝居する人相手のために芝居する人 相手をよく見せるために考えて芝居をする人。だってよ〜文春さん》

《周りから漏れ聞こえてくる話と文春の記事があまりにも違い過ぎるので違和感しかなかった。やっぱりという感じ》

滑稽というか、物悲しいというか……。

松本潤さんに忖度することで利益を得る立場の発言は、差し引いて考えねばならない。そういう基本的なことができていません。

「でも、でも、松潤はいい人だもん!」という幼稚な信頼感ありきで、材料としては極めて信憑性が薄い。

ファンでもなんでもないイチ読者から見たら、児戯に等しい発言に見えるでしょう。

人間、利益を供与されれば何でもできる。猜疑心を働かせることも時には大事です。

こんな露骨なメディア記者がどれほどの記事を量産し、読者を動かしてきたことか。

◆「キャバクラを自分で払ったことがない」…明らかになった「ジャニ担記者」への接待に違和感(→link

文春砲は、そんな感情に依らない根拠があります。

ニコライ・バーグマンそっくりの押し花。

そして今回の干し柿です。

人は嘘をつくことができる。ましてや利害関係があればそうする。

しかし、押し花や干し柿は嘘をつけません。

文春砲はそうして二重にも三重にも兵法を駆使しているのに、『あさイチ』で不必要なことを話して、墓穴を掘っていませんかね?

組織的性犯罪に関して、こう答えたところにも失望しました。

◆ 松本潤「あさイチ」生出演で旧ジャニーズ性加害問題に初言及 大河「オンエアできないんじゃないかと…」(→link

大河がオンエアされるかされないか。それは結局我が身のことでしょう。

その点、大河ドラマで徳川家康を演じた同じ事務所の俳優でも、風間俊介さんはこうです。

◆ 風間俊介さん ジャニーズ【性加害問題】に『被害者の方をまず第一に考えるべき』(→link

被害者を第一に考える。実に立派なものだと思います。

 

今年の大河は失敗作だ

今年の大河は大丈夫でしょうか?

失礼しました、もう手遅れでしたね。

◆ 『どうする家康』視聴率「歴代ワースト2位」か…焦る松本潤が「最終回にサプライズ出演」を頼んだ「俳優」の名前(→link

しかし、以下の部分

「大河での低視聴率はその後の芸能活動に大きく影響する。実際、『平清盛』の松山ケンイチや『花燃ゆ』の井上真央もオファーは減りましたからね」(キー局ドラマスタッフ)

井上真央さんの名前をここで出すのはいかがなものか。

というのも、彼女は折に触れ、低視聴率は自分にも責任があると、謙虚な振る舞いを見せていました。

ソロ写真集を出し、展覧会を開催する今年の主演とは大違いでは? なんでも大河ドラマ館にも主演のパネルがあるそうで、紫尽くしとも聞きます。

ここまで来ると特定の芸能事務所利益に受信料で貢献しているという図式にすら見えてきます。

◆ ついに「関ヶ原」でクライマックスを迎える『どうする家康』が、最後に危惧される「痛恨の懸念材料」(→link

どうするNHK?

 


後生畏る可し

後生(こうせい)畏(おそ)る可(べ)し。『論語』

若者の声はちゃんと聞け、尊重しろ。なんでも「シン・」をつけてる場合じゃねえぞ。SNSで「なぁぜなぁぜ」と書き込めば若者になれるとでも思ってんのか?

先日、書店の歴史雑誌コーナーを見ました。

大河の存在感が薄い……。

番宣はNHKが謎の忖度をするせいか、11月になってもしつこいですが、雑誌はそんな忖度無用ですからね。

関ヶ原という日本史上屈指のビッグイベントはさすがに取り上げられている。それに対し、ドラマには目配せする程度。

むしろドラマ関連で目立っていたのが『パリピ孔明』のインタビューです。主演の向井理さんと、役も本人も重度の三国志マニアである森山未來さんのインタビューを読みました。

森山さんはマニアすぎて、アドリブでどんどん三国志うんちく語りが長くなるそうです。

そうして長く語っておいて、これでいいのかと確認を入れるそうなんですね。そこが素晴らしい!

三国志ネタをべらべらしゃべり倒せる時点で素晴らしいうえに、それが正しいのか気遣うところが素晴らしい。

『論語』にあります。

これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。これを好む者はこれを楽しむ者に(し)かず。

森山さんにせよ、スタッフにせよ、知っているだけでなく、好きで楽しんでいるからこそあのドラマは素晴らしくなる! けれども楽しむだけで終わったらプロじゃない。

見た視聴者が誤った三国志知識を身につけてはいけないからこそ、ミスがないか気遣う。歴史を扱うドラマとはこうあるべきだと感服しました。

盤石な歴史知識は、年齢や属性を問わないばかりか、めんどくさい歴史好きをも刺激し、大いに楽しませます。

『パリピ孔明』がそれを証明しました。

これを踏まえまして、この記事でも。

◆『どうする家康』でも顕著、中高年を軽視、若者ウケ狙うNHKに明日はあるか(→link

本物の若者は『どうする家康』に飛びついたかどうか?

甚だ疑問……いや、飛びつきませんて。

要するに、自分は若者に近い感覚だと誤解した層が、本物の若者には全く受けないことをしてズッコケた。単にそれだけのことでしょう。

昨今の若者はライトノベルを読んでいないとか。そういった問題にも通じるものがある気がします。

本作のファンダムは

「頭の固い年寄りにはわかんないでしょwww」

「嫌なら見なけりゃいいwww」

などと自らに賛同しない者を嘲笑いながら、「シン・大河」だのなんだの言う。

しかしその結果、視聴率はワースト2位なわけです。若者が見ていないどころの問題ではありません。大多数が、否定しています。

ファンダムを煽るように、ドラマが始まる前から以下のような提灯記事も跋扈していましたが、

◆松潤主演NHK『どうする家康』は「シン・大河」になる? 大ヒット大河ドラマ“勝利の方程式”とは(→link

ここまで揺るがぬ証拠が出ても、話は噛み合わないことでしょう。

『孟子』には「恒産なければ恒心なし」とあります。

これだけ提灯記事をじゃんじゃん書かせてSNSで盛り上げようとしても、視聴率という恒産がなければ、恒心も失いますよね。

ドラマの出来と自分自身の人生を過剰に重ね合わせない方がよいのでしょう。

私からの提言でも。

大河は中高年向きでいい。固定層もいるし、これでいいのです。敢えて見る若年層も、そういうものを求めています。

若者向けの本格時代劇枠を別に設ければよいだけでは?

例えばドラマ10『大奥』がそうでしょう。

漫画原作であるとか、SF要素があるとか、架空戦記とか。大河にするには砕けた要素がある作品をほかで作ればよいだけです。事実、韓流や華流ではそうなっています。

今年は大河に失望し、『大奥』や『パリピ孔明』は喜ぶ反応が見られました。

大河は大河として存続し、若者向けを別枠にする。

それが今後の道ではありませんか。

私としては、次のドラマ10枠として『ゴールデンカムイ』を希望しますけどね。

北海道開拓史はドラマにすべきです。大河ドラマで北海道ご当地がないことは汚点だとずっと思っていますが、なんなら別枠先行でもよいはず。

いかがでしょう?

若者の声を、中高年以上が勝手に妄想して振る舞うこと。これは破滅への第一歩です。

皆様も思うところあれば、NHKへ直接お伝えください。

◆NHK みなさまの声(→link

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文:武者震之助note

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【参考】
どうする家康/公式サイト

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