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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第10回「根拠なき自信」】
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八重に草餅プレゼントの義時がキモい
八重が厨(台所)で働いていると、侍女が「お芋いっぱいもらっちゃった」と話している。
古今東西、芋は女性の好物かもしれない。
「いもくりなんきん」なんて言葉もありまして、サツマイモ、栗、カボチャを女性は好むという意味です。
性別関係なく、芋は栽培の手間がかからない割にカロリーを摂取できる優れものなんですね。
そんな八重の様子を見ている政子と実衣。
「見返りを求めぬ。気高いわぁ! それを許した姉上も気高ぁい」
「つけたしたように言わないで」
実衣、やっぱりおもしろがってるでしょ。義村と同類だわ。
そして二人はある人物に気付きます。義時です。
八重に何か差し出す義時。
「草餅をいただきました。よかったらどうぞ」
「お心遣いありがとうございます」
口元は笑っているけれども、八重の眉間にはちょっと皺が寄っている。ありがた迷惑な表情ですね。
実衣はもう面白くてたまらず、他の侍女もヒソヒソとしています。そして亀は、そんな八重をじっと見ている。
うーん、義時がキモい!
なんだこの、ハーゲンダッツを差し入れることで好感度アップを狙っているダメ男感は。相手からSNSで「こういうことされると困るんだよね」とつぶやかれているタイプですね。
見るからにウザい、キモい小栗旬さん。これぞ新境地だ!
小さく「がんばれ!」ポーズをするあたり、本当に見ていて歯痒くなりましたからね。八重はこういうことをしない頼朝がよかったんだろうなぁ。
江間次郎のこともあるだろうけど、そういうあれやこれやを吹き飛ばすほどに、ショッキングな義時の姿でした。
八重に近づく義村までもキモい
義村が弓を点検しています。
隣の義時に、今も八重に惚れているのか?と尋ねている。義時が強がって「八重さんにはこれからも幸せであって欲しい」と健気に言うと、冗談とも言い切れない口調でこう返してきた。
「俺がもらってもいいのか」
うーん、先週、溜めたかっこよさゲージをどんどん削っていく感がありますね。
「ちょっと待ってください!」
思わずそう返す義時に「いいんだな」とさらに念押し。
義時は偉いなあ、こんな奴と盟友でいられるなんて。それでも八重さんの幸せが大事と強がっています。
なんなんだこの人たち……。
そして夜、八重が義村に愚痴っています。昼間、小四郎にもらった草餅が困るってよ。
義村は受け取り、硬くて食えないから捨てておくと言います。
そしてすかさず「仕事には慣れましたか」と中々帰る素振りを見せない。
「佐殿に会いたいのでは?」
「今のままで十分です」
はい、ここから先、義村の好感度が落ちますよ。八重に近づきつつ、こう言い始めましたからね。
「先に進んだらいかがですか。生き延びることができたんだ。もったいない、力になる」
「そういうおつもりなら出て行きます!」
「ここにいなさい」
すかさず身を引く義村に対し、八重はピシャリと戸を閉める。
残された義村は、義時の草餅をなぜか硬そうに噛むのですが……うーん、何から何までひどい!
彼の恋愛は、どうせろくでもないだろうとは予測していましたが、それを下回りました。
予告の時点で、義時を焚き付けて素直にさせるのかと思ったら、弱みにつけ込むようにして八重へと接近するとは。
こちらも山本耕史さんなのにキモい!
相対的にみると、八重への愛があるだけ義時がマシに思えるけど……それにしても、小栗旬さんと山本耕史さんで「どちらがサイテー男か決定戦」をするとは思いませんでした。すごいドラマだ……。
政子の御台所教育が始まった
北条政子と実衣がドライフルーツを食べています。
当時の女性も、食べ物の定番はドライフルーツ。
平安鎌倉期というか、果物は人類の定番と言えるものでして、慣れぬ食文化の土地に旅したとき、重宝されるのが果物類です。ドライフルーツならば甘味も増してなおのことよし!
政子は実衣の髪の毛を見ながらツッコミます。
「ずっと気になってたんだけど、あなたのその髪留め、赤過ぎない?」
「そう? いつもと変わらないけど……」
すると、ハキハキした声の安達遠元が来客を告げます。御台所に面会希望者がいるとか。
もぐもぐしながら、なんとか落ち着いて客を出迎える政子です。
お腹がふっくらとしてきたりく(牧の方)が、京風の男性を連れて来ました。
どうやらお稽古の時間だそうです。りくには「マナーが人を作る」という信念があるようで、御台所の指導をしたいようです。そのためマナー講師・兄である牧宗親を連れてきました。
さっと紹介しつつ、兄を連れて北条時政の元へ向かって行きます。
胡散臭いし……なんか、浮いている! そんなりくと兄の牧宗親。坂東武者からすれば鬱陶しい存在ですね~。
そして「蒲殿」こと源範頼も登場です。
一般的なイメージとして「地味な頼朝の弟」とされがちな人物ですが、佐殿の挙兵を聞き、遠江から辿り着いたとか。迷って遅れたそうです。
源範頼が殺害されるまでの哀しい経緯 “頼朝が討たれた”の誤報が最悪の結末へ
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実衣がボソッとこぼす。
「得体の知れない人がどんどん増えてきた……」
と、そこへ
「義姉上〜」
とノリノリの義経も登場です。遠元は、案内してから来て欲しかったと困惑していますが、義経はかわいい笑顔を浮かべながら、母と離れ離れで姉妹もいないと訴えます。
「思い切り甘えてもよろしいでしょうか?」
「構いませんよ」
そう政子が言うと、猫のように膝枕をしてしまう。
「えっ!」
政子は驚き、咳払いをします。
こ、これはけしからん奴だ!
そしてうっとりと甘えつつ「兄上のところへ行ってきます!」と、ささっと起き上がり、どこかへ消える。こういうところもまるで猫ですね。
というか、そもそもこの場を仕切り始めたこいつが誰かわからない。
「で、あなたは?」
「安達遠元と申します! 佐殿より御内所の差配を命じられました! 何かありましたらいつでもお呼びください!」
大声で胡散臭くハキハキ言う相手に、実衣はぼそっとつぶやきます。
「あれが一番、得体が知れない……」
気持ちはわかります。
京ことばのムズムズ感よ
そのころりく(牧の方)は兄・宗親と夫・北条時政を会わせていました。
時政は鎌倉政権で二番目の実力者であると、彼女は誇らしげ。
北条時政はどこまで権力欲と牧の方に溺れた?最期は子供達に見限られ
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時政が笑顔で問いかけます。
「兄上はいつまでこちらに?」
「あんたに兄上と呼ばれるとなんやこそばいなぁ」
おっ? なんだか彼だけ京ことばのようだ。
りくはそつなく、これからは周りに確かな方を置いた方がいいと言います。そのために京都に詳しい兄は役立つのだと。
「よろしゅうお頼み申します」
ニコニコとそつなく言う宗親。
しかしなんだろう、この嫌らしさは。なんかこう、この兄と妹が並んでいるだけで馬鹿にされているような気分がするんですよ。
「所詮、坂東は未開の地、野蛮人ですやろw」と言われているような気がして、こう、むしょうに……いや、危ない、すみません。ちょっと坂東武者に寄り過ぎましたね。
気まずい源氏兄弟の飲み会
ここからは源氏兄弟の飲み会です。
参加者の出自をざっと説明しておきましょう。
・頼朝(三男):母は由良御前で熱田神宮大宮司の娘。宮中にも繋がりがある。身分が高い。
・範頼(六男):母は遠江国の遊女。さしたる後ろ盾はない。
・阿野全成(七男):母は雑仕女の常盤御前。寺に預けられ、後ろ盾はあまりない。
・義経(九男):母は雑仕女の常盤御前。奥州藤原氏の後ろ盾を持つ。
そこに義時も同席中です。
頼朝兄弟たちは、母も違うし、一緒に暮らしていないし。父の源義朝が亡くなった時に、清盛の館で一度あったくらいだとかで、ぎこちない。
平家としても三男・頼朝を助命したからには、その下もなし崩し的に助けてしまったと。
「九郎、お前のことはよく覚えとるぞ!」
頼朝が場を和らげるように、話だします。なんでもうろたえる母を叱咤していたとか。
しかしそれは義経ではない。阿野全成でした。
気を取り直して頼朝が、義経は幼いながらも『孫子』を誦じたと言い出す。
今度は八男の乙若でした。当時、九郎義経は赤ん坊で何もできないと阿野全成がフォローするのですが……気まずい。
それでも頼朝は、弟が集ってきたことを喜び、頼りだと笑みを浮かべます。だって、坂東武者は信頼できないってよ。
言った瞬間、隣にいる義時に気づき、小四郎は別だとフォローする頼朝。五番目の弟だと思ってくれと紹介しています。
義経が目を輝かせながら、一気に攻め上って清盛入道の首を取ると言い出します。
それに対し頼朝は「そうしたいのはやまやまなのだが……」と煮え切らない態度で、常陸の佐竹を倒さねばならぬと告げる。
「家人たちのために坂東を固めるのも佐殿の務め」
義時はいつもこうしたフォロー役だ。坂東と頼朝の間を取り持つ役目を果たしていて、なんとも辛いことですね。
そして今週はターニングポイントがある。
時政と宗親のやりとりを思い出してください。あの時政が宗親相手にはおとなしくなっちゃいました。
義時とちがい、この先の時政は京都に絡め取られてゆきます。父子はそこが異なります。
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亀の差配がエゲツない
実衣のもとに、亀がぬーっと来ています。
新入りの役立たずの侍女の素性を知りたいそうで。立ち居振る舞いが下人ではない。いったいどなたか? そう聞いてきます。
実衣がごまかそうとすると、奥を預かるものとして知りたいんだとか。
「あなたが預かってるの?」と探りを入れる実衣に対し、胸の内にとどめておくとして、どうにか八重の素性を聞き出そうとする亀です。
単純なマウンティング合戦でもありません。
実衣は「奥を預かる」ことを確認している。ただの野次馬根性だけでもないかもしれない。
なんせ実衣からすれば、「奥を預かる」存在は姉の政子です。それがそうでないとなれば一大事です。
なんといっても北条の権力は、政子と頼朝の結婚にかかっているのですから、危険分子は排除すべく策を用いなければなりません。
ストーリーが進むにつれ、実衣にはそんな策士となる宿命があります。
それでも亀は素性を聞き出したのでしょう。
八重に対し「佐殿が酒をご所望だ」と伝えています。肴を三品つけて持っていくように。
困惑しつつも、八重は丁寧な手つきで酒と肴を用意します。
当時の坂東は粗食です。宴会の記録を見ても、野菜と魚を食べている。食事をじっくりとアップにする大河ですので、注目ですね。
舞台地では当時の献立を再現したメニューもあるようですが、現代人向けにアレンジはしてあります。
信長の御膳と比較すると、面白いかもしれませんね。
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酒と肴の準備ができた八重は、頼朝の部屋の前に盆を置きます。そして立ち去ろうとしたところで、戸が開くと、中には頼朝と亀が寝巻き姿でいるではありませんか!
八重が部屋に入ると、亀はわざわざ頼朝に聞こえるよう「ありがとう、八重さん」と……八重は無言で去るしかありません。これはあまりにえげつない。
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