『おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]』/amazonより引用

おんな城主直虎感想あらすじ

『おんな城主 直虎』感想レビュー第49回「本能寺が変」

こんばんは、武者震之助です。

本編だけではなく、副題も面白かった本作。それもあと二回なんですねえ……。

◆直虎 キレキレ副題を振り返る(→link

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信長の家康歓待 暗殺の連鎖は止むか!?

強敵武田を滅ぼした織田・徳川同盟。
織田信長は、これまでのねぎらいのため、徳川家康と、本多忠勝や酒井忠次らの主要家臣を安土に呼び、慰労したいと持ちかけます。

しかし、これは罠。呼び出した徳川主従を討ち取る計画でした。
そのことを、文芸友達である織田家の明智光秀から打ち明けられた今川氏真は、家康を守る為に計画を彼に打ち明けます。

一方のおとわは、独自ルートで氏真からこの計画を聞き、家康の脱出経路を考えることに。

そんな今回ですが、まさに今年の集大成でして。
思えば今年は、第1回で井伊直満が駿府の今川義元に呼び出され、謀殺されるところから始まりました。
第12回では井伊直親が同じ目に遭い、やはり命を落としました。
呼び出されてからの死というループは、やっと第15回で、直虎が断ち切るわけです。

そして第49回。
直満の孫であり、直親の子である井伊万千代が、敢えて虎口に挑むわけです。
第1回で描かれたテーマに終盤で回帰するパターンはあるものの、ここまで綺麗に回収してくるのも珍しいのではないでしょうか。

しかも、かつて井伊直満と直親を手に掛けた今川家の氏真が、味方につくというのも因縁を感じます。

この巡る因果をどう解きほぐすか。
今日も楽しみです!

 


茶屋四郎次郎と協力して逃亡ルートを確保すべし

さて、そんなわけで安土まで、罠と知りつつ向かうことになった徳川主従。
安土で饗応し、京都まで来たところで討ち果たすのが、敵の手の内だと言われ、万千代は、三河へ戻るまでの道を茶屋四郎次郎と協力し、確保して欲しいと、おとわに頼んで来ます。

さて、その安土城には穴山梅雪もいまして。
彼はいちいち挙動不審気味の徳川主従を気にしているようです。

饗応役の明智光秀は、完璧な対応で客を迎えます。とはいえ、これから先のことを考えると、どんな豪勢なもてなしでも、家康主従はカチカチになってしまうわけです。

一方でおとわ一行は、茶屋四郎次郎との接触に成功します。
茶屋四郎次郎を演じるのは、辰巳琢郎さんです。
ふわっとした上方訛り、気品だけではなく、一癖ありそうな佇まい。脇役で出番が少ないながら、味がありますね。

茶屋四郎次郎から、陸路と海路の両方を示されたおとわは、堺に馴染みの気賀衆がいることもあり、海路を選びます。

 


南蛮船ならば寄港せずに三河へ行ける

おとわ一行が訪れた堺は、南蛮商人が行き交う国際都市でした。

南蛮渡来の襞襟をつけた者を見かけ、子供のように浮かるおとわ。
第21回では彼女が気賀で襞襟とつけて、喜んでいたものです。あのころのような無邪気さがチラリと見えました。

この堺では、龍雲党の頭こと龍雲丸も、元気で生きているようです。ポルトガル語を操り、南蛮商人と会話しております。

おとわは、与太夫の元を訪ねます。与太夫はポルトガル語で歓迎の言葉を述べ、嬉しそうにしています。
しかし、京都で謀叛が起こると聞いて、流石に動揺を見せます。

海路で逃げる場合の問題点は、寄港する先の情勢です。
さもなければ、上陸した途端に捕らえられる可能性もあるわけです。となると、港を事前に下調べせねばなりません。

船詣での尼として船に乗り込んだおとわは、商人から戦支度を始めている大名がいると聞かされます。
うーむ、これはどうやらなかなか前途多難のようです。

どの港もどうにも危険な様子。とわは寄港しない道を探ります。
南蛮船ならば、と与太夫が言うと、おとわはすぐさまその話に飛びつきます。

龍雲丸ならば南蛮船でも用意できるかも、と返答する与太夫。なかなかこれは大変なことになりそう。

 

いくら女好きでも尼さんって!

おとわと与太夫が向かったのは、龍雲丸の通詞養成語学学校です。
彼は子供にポルトガル語を教えていました。

久々に出会う元妻おとわの姿に、驚く龍雲丸。うっとりとした顔で、久々に会いに来たのかと思っていると、頼み事を切りだされます。
ちょっとガッカリしてしまう龍雲丸です。
この男の純情、ってやつと、おとわの鈍感っぷりときたら。でも、龍雲丸という男は、そういうおとわに惚れているわけです。これが普通の女なら、惚れていません。

龍雲丸は、南蛮船の条件は厳しいと切りだします。
金ならばいくらでも払うといきり立つおとわに、龍雲丸は驚きの条件を切りだします。

遊女はもう飽きた女好きの南蛮商人に、尼であるおとわをあてがえば、なんとかなると。
いやいや、いくら女好きでも尼さんって!

無理難題を持ち出しておとわを試しているように思えますぞ。
並のヒロインなら「女」を言い出した時点で怒るかもしれないのに、しれっと「女なら遊び女でも」と返すおとわは、この時点でただ者ではありません。

このやりとりは
「人がいないなら買えばいい」
「そうか! 買えばよいのか」
という、二人の初対面での会話をちょっと思い出させますね。
龍雲丸といるときのおとわは、女城主時代のようです。

 


和歌や連歌、茶もこなす家康だったが

おとわは戸惑い悩んだものの、悩んでも「それですむならお安い御用じゃ」と引き受けてしまいます。

「いいのか!? まことに進めて」
思わず聞き返す龍雲丸。
おとわが承諾すると「なら一気に進めちまうからな!」と言い出します。一体どうなるのでしょうか。

信長の饗応は続きます。
しかし、どうやらなかなか上手な舞を見せられても、家康はイマイチよくわからない様子。
「不調法なので……」そうわびる家康です。

実際に、家康という人は、和歌、連歌、茶の湯等、教養としてこなすものの、好きでも得意ではなかったようです。

その時、長谷川秀一が急報を携えて来ました。
中国地方で毛利を攻めている羽柴秀吉からのもので、援軍要請の派遣を頼むものです。

ここで即座に、光秀に中国へと行くよう命じる信長。光秀は饗応があると渋りますが、「準備ができているならば長谷川にでもやらせろ」とにべもない返答です。

それでも苦い顔で断ろうとする光秀。すると……。
「行けというのがわからぬか、この金柑!」

そう一喝し、ブーツで血が出るほど、光秀の顔面を蹴り飛ばす信長です。あまりの素早いキックに、よく見えませんでした。
的確な一撃にその場の空気が凍り付きます。

 

信長自ら御膳を持って運んで来た 実は史実準拠

ここで信長、光秀の肩を優しく叩きます。そう言う彼のブーツには、血が光っております。

「光秀……そなたが頼りじゃと、言うておるのじゃ」
うーん、これは逆らえません。

これはまずい……頼みの光秀が援軍に向かっては、家康主従として万事休す。万千代もうろたえた顔です。

このあと、万千代は光秀から、万事大丈夫だと言質を取ったと言って、徳川主従の控え室まで来ます。

さしもの徳川主従もこうなると無力です。
康政はこのままで大丈夫なのかと疑い、数正は結局おびき出しておいて殺す策だったのではないかと言い出します。

ここで、忠勝は何か思いついた様子です。

翌日、饗応の席で徳川主従が焦って何か話していると、梅雪がやはり挙動不審と言いたげな目を向けます。
田中要次さんの梅雪もいい味出していますねえ。

梅雪は「何の話でございますか?」と聞いてきます。面倒臭い存在感のある梅雪です。
そこへ、何者かが姿を見せて、一同驚きます。

なんと、信長自ら御膳を持って運んで来ました!
実はこれ、史実準拠です。

 


御膳の並べ方が丁寧ですのぅ

丁寧な手つきで、料理を出す信長。
光秀を外したため、自ら御膳すら運ぶのだそうです。
御膳の上にある食事は豪華ですが、これまた当代随一のメニューとして記録があるため、再現できるのです。これだけの量を食べるのは大変でしょうね。

信長御膳
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信長の御膳の並べ方が丁寧です。
小皿の位置まで整えて、美的センスを発揮します。

並べ方の所作がともかく指の先まで綺麗な動きでして、流石市川海老蔵さんです。信長のあふれんばかりの美的センスを表現しきっています。

とはいえ、徳川主従からすればどれだけ豪華でも味もわからなくなりそうな状況。
見ているだけで胃痛がしてきそうな緊張感です。

ここで忠勝が、毛利攻めに加勢したいから、三河に戻りたいとしどろもどろになりながら言い出します。
信長は忠勝の言葉を頼もしいと褒めつつも、徳川の加勢は無用、ねぎらいたい、もてなしにつきあって戴きたい……と睨みを利かせるのです。もうやだ、こんな圧迫接待!

その頃おとわは、なんと南蛮商人とキッス寸前!
そこで南蛮商人の首に、ブスリと龍雲丸の吹き矢が刺さります。南蛮商人もお気の毒に……。

 

やはり自分でも一服持ってましたのぅ

おとわを助けるために部屋に入って来る龍雲丸。
彼が酒を飲もうとすると、その杯をおとわがひっくり返します。

やはり一服盛っていました。似たもの元夫婦ですねえ。
理由を尋ねると、龍雲丸が来なかった時のために、と言い出すおとわです。

「ひょっとしたら来ぬ?」
ちょっとカチンと来ている龍雲丸。俺はそんな男じゃねえよ、ってことですね。ここでおとわは、無邪気にニッコリと笑います。

「頭なら必ず来てくれると思うてた。念のために吾のほうでも」
「勝てねェ……」
そう言うしかない龍雲丸。
無理難題をふっかけられても、自分でも対処する道を探している。そのくせ、「頭なら必ず来てくれると思うてた」でニッコリ。
おとわという暴れ馬のような女には、到底勝てない、やっぱり惚れている、ってところですかね、

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