青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第13回 感想あらすじレビュー「栄一、京の都へ」

2021/05/10


血洗島から熊谷宿へ 五代とすれ違う

おとっつぁまの許可も得て、新たな攘夷の道を探る栄一と喜作。

二人は血洗島から旅立ちます。

まずは熊谷宿へ向かうと、ここでなんと潜伏中の五代才助(後の五代友厚)とすれ違います。

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熊谷を後にして江戸へ。

二人は平岡の家へ向かいます。

平岡円四郎の妻・やすから勇気づけられると、京都を目指す足取りも軽くなるのでした。

とはいえ名目は【お伊勢参り】です。

江戸の人々にとって伊勢神宮への旅は、ちょっとした憧れの存在であり、帰りは信州に寄って善光寺も詣ってくるのが黄金コースでした。

江戸→(東海道)→伊勢→善光寺→(中山道)→江戸

故郷・血洗島では、親類縁者が二人を心配してヤキモキしていました。千代も寂しそうで胸が痛みます。

一方で尾高長七郎は精神が不安定な様子。

殺された仲間の志士が頭に浮かび、幻覚まで見るようになっていました。

 


京都に到着するといきなり新選組!

夜になっても色華やかな京都。

到着したばかりの栄一と喜作は賑やかな街並に目を奪われ浮き足立っています。

するとそこへ、某かの志士が叫びながら走ってやってくる。

新選組もいきなり走ってくる。

土方歳三の登場ですね。

土方歳三
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次から次へと幕末著名人がカタログのように現れる回ですね。

栄一たちも気分が乗ってきます。

「俺たちは攘夷の志士だい!」

綺麗なお姉さんがいる夜のお店にも行ったり。江戸時代のキャバクラでしょうか。

そのころ中央の政治では、参与会議も結成され、コンパクトに政治情勢が説明されます。

中心にいる慶喜も大変です。松平春嶽をはじめ、島津久光伊達宗城、山内容堂……と豪華な面々がラッシュのように出てきます。

 

平岡の家臣になるしかない

一橋家の人々も出てきます。

栄一と喜作は、京都の平岡円四郎を訪ねるのですが、何度足を運んでも多忙を理由に面会を断られます。

次第にお金も底を尽き始め、安い旅籠へ移動。

武蔵にいる尾高長七郎へ手紙を書き、京都に呼び寄せるのですが……あろうことか長七郎は狐に化かされて人を斬ってしまいます。

凄まじいタイミングですね。

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真面目で一生懸命なゆえに思い詰めてしまったという設定でしょうか。あるいは幕末の狂気を描いたのか。

いずれにせよ逮捕された長七郎が持っていた手紙の中には、栄一らが記した幕府への不満や攘夷の計画などが記されていてアウト。

幕府から狙われるようになってしまいました。

平岡円四郎の家臣を名乗っていたためすぐには捕縛されず、栄一と喜作は、ついに円四郎との再会を果たします。

尊王攘夷を掲げる二人は幕府側につくことに抵抗を示すのですが……それでは幕府の役人に引き渡されてジ・エンド。

結局、平岡円四郎の家臣、つまりは一橋家に身を置くこととなりました。

なぜ円四郎は栄一と喜作のことをそこまで気に入っているのか?

その辺がなんだか不思議なまま、新たな世界での活躍が期待される二人です。

 


総評

いよいよ京都です。

豪華な面々が出てきてバッチリってところでしょうか。

公式SNSが更新するだけでバズってました。

視聴率的には前回の第12回放送が13.4%(0.7減)にまで数字を落としてしまいましたが、京都では土方歳三に遭遇するだけでなく、途中、五代友厚とまでニアミスしてますからね。

大物もざくざく出てきて豪華盛りだくさん。

物語も盛り上がる!

とは思えない私です。

ここから先は手厳しく考察させていただきますので、本作を楽しまれている方はここでページを閉じてください。

 

課金&タップだけでクリアな展開

本作は、登場人物を「聡明に」描いているらしい。

でもそれってバイアスですね。

大河で取り上げるから。

お札の顔になるから。

だからこそきっと賢い。

そんな前提に頼ってばかりで、ドラマの中に登場した人物たちを見て、知性を感じられますでしょうか?

まず、セキュリティ意識。

潜入中なのに顔を晒してドヤァ……と言いたげな五代友厚。

紹介状すら渡さず、キャピキャピ励ますだけの平岡嫁。

平岡周辺の方たちはどこで江戸弁を習ったのでしょうか。『いだてん』の森山未來さん(青年期の古今亭志ん生)を見習うべきだと思います。

円四郎がしょうもねえセリフ回しとしぐさで「渋沢たちが来るかも」と伝えていたそうですが……もはや平岡邸が「RPGのイベント」感覚なんですよね。もう本当に無茶苦茶としか言いようがない。

当時はなんだかんだで男尊女卑です。

平岡邸だと「なんでこの家はカカアが威張ってんだ?」となりかねない。

武家の妻でしたらもっと落ち着いた、それこそ「刀自(とじ)」と呼びたいほどの方でもおかしくないはず。

こんな昭和平成のコスプレギャルを相手に栄一と喜作もヘコヘコして、プライドってもんがないのでしょうか。

京都の描写もキツかったですね。

わざとらしく叫びながら猛烈ダッシュする志士と新選組。

池田屋事件のハラハラ感は、どの宿に潜伏しているのか?あたりをつけること。あんな簡単に、それこそファミコンRPGの街のような狭さならすぐ見つかる。

いろいろ台無しです。

京雀の下手なセリフにも絶句でした。彼女らを見て浮かれる栄一は、まるで現代の修学旅行生。「ぐるぐるする!」とか、子供みたいな語彙力が妙にツボにはまっておりました。

中央の政治へ目を向ければ、参与会議も雑でしたね。似ていない役者が並んで臨場感は無し。

まぐれあたりのような徳川斉昭を過大評価する意見もありましたが、彼も御三家の藩主と思えないほど下品で、秀吉感が漂っていたような……。

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水戸藩の人々も出てきて、登場人物一覧を見ていてしみじみと思いました。

「この人は暗殺で、この人は処刑かぁ……水戸藩出身者は維新政府に入る前に散ってしまった人ばかりだなぁ」

その原因を作った【天狗党】の話も出てきます。

天狗党の説明をすると気分が悪くなるのはわかりますけど、本当に何事もないように描かれていました。

危険な天狗党の母体を作ったのは、徳川斉昭藤田東湖です。

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死ぬ間際に斉昭がキスしたから、だから何でしょうか?

ちなみに斉昭の死因は心臓病です。吐血しません。いきなり心臓発作が起きてからキスすることも当然できませんよね。

 

狐の幻までもが棒読みって

とても世の中を動かすとは思えない。

彼らのどこに知性や能力があるのだ。

とにかく無能感が際立っているのが主人公とその周辺でしょう。

俺たちが動けば志士が目覚める!

焼き討ちの悔いを晴らす!

って、Mアノン(水戸学)の弊害でしょうか。

先週に続いて、今週も長七郎が絶望的でした。

精神状態が不安定になっている――って、いつ見てもそんな感じで、先週のウオウオ泣きも踏まえると、ただの情緒不安定野郎にしか思えない。

なんなんでしょう?

あのやたらと棒読みの幻は。

もうこんな無駄な場面、いっそ紙芝居で説明してくれ。仮にゲームだったら、こんなムービーは飛ばす人も多そうです。

確かに幕末は、突発的に人を斬ってしまった人物が割と多いものです。過去大河の人物でも史実でそういうことをしてしまった人は出てきました。

『八重の桜』だと八重の兄・覚馬、佐川官兵衛斎藤一がそうだとされております。

ただし、口論とか、ぶつかり合いとか、そういう前提があっての話で、長七郎の場合もそういうことでエスカレートして斬ってしまった、ではいけませんか?

本作は演出が大いに滑っているんですね。

基礎もできていないのに、やたらとアレンジする人を彷彿とさせます。だから、ワケのわからない代物が登場する。

その代表・徳川家康が今回は登場していません。

今週の放送で良かったのはその点だけですかね。

言うまでもなく北大路欣也さんは名優ですが、彼が家康だったのはあの伝説の『江』です。

そして彼が殿様(毛利敬親)として顔を見せていたのは『花燃ゆ』です。

大河にとっては不吉な人となってしまいました。

まぁ、

「こんばんは、徳川家康です。いやあ天狗党が大暴れですよ。天狗といえばあれですね、ててんのぐー! でもこちらの天狗は略奪、殺人、放火を繰り返し……」

と、天狗党の説明だけはして欲しかった気がしますけどね。

 

青の時代

本作はとにかく「衣装が青い!」と前回のレビューで突っ込みさせていただきました。

血洗島は藍染で潤っている。それゆえのアピールでしょう。

と思っていたのですが、どうもそうではないらしい。

タイトルが『青天を衝け』だから、青推しと推察します。

徳川家の人間もやたらと青い服を着る。

前作の大河ドラマ『麒麟がくる』では、衣装の色が散々突っ込まれました。

あれについてはむしろ……

【戦国時代を再現していたものの、江戸期に変わった日本人の色彩感覚からするとおかしい】

ところまであぶり出していて興味深いものがありました。

そこは意識されていて、後半の徳川家康は、渋い色合いの衣装になります。

家康の渋い好みが、江戸時代に定着したという演出ですね。

そこを踏まえて今年の一発ネタじみたしょうもない家康を見ると、心が折れることこの上ない。

ちなみに衣装デザイナーは去年も今年も同じです。悪いのは、その人に指示を与えるもっと上役な誰かのセンスでしょう。

『麒麟がくる』のド派手衣装! 込められた意図は「五行相剋」で見えてくる?

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攘夷の怖さとは?

本作は攘夷や水戸学の扱いが粗末。

血洗島編につきまして、こういう解説もあるようです。

「攘夷の怖さこそ、本作のテーマです! 教養の基礎が身に付いていないと暴走する。身分が低いから! それが純粋だと狂ってしまう。これぞリアルです、怖いです」

どうなんでしょうね。

薩摩藩、長州藩、土佐藩といった幕末雄藩で、攘夷の影響を受けていない方がむしろ少数派では?

攘夷は一過性の流行病か?というのは大変深いテーマで、本作でインテリアとしてデカデカと掲げられている「心即理」を掲げた陽明学も関係することではあります。

しかし、本作での描き方にせよ、受け手の感想にせよ、水戸学にどれだけ迫っているのか。

大いに疑問は生じるところではあります。

攘夷って、実は一過性でもありません。

明治以降も定期的に吹き上がっていて、その度に酷い目にあわせてくる。

日露戦争前夜は「露探」。ロシアに詳しい人がスパイ扱いされて死人が出ました。

第二次世界大戦では「鬼畜米英」がよく知られていますね。

英語を学んでいたとか、ジャズレコードを持っていただけで、何らかの被害に遭う人がいた。朝ドラ『おちょやん』ではトランペットを愛する男性の悲劇が描かれました。

まぁ、それは現代でもあまり変わってないかもしれませんね。

例えば「韓流(華流)ドラマが好き」とうっかり口にしたりツイートしたりするだけで、罵倒されたり。

程度や範囲の差はあれど、ずっと攘夷が続いている。

本作は、それを過去のことのようにする。

「当時の偉い人もハマってたことだしね」と、一過性の青春ムーブ扱いする。それがどれだけ危険か。

本作の描き方はまるで部活動です。あるいはアイスケースに入ったダメバイト君あたりですね。

どこが狂気なのか。

栄一に熱意があろうが、愛国心があろうが、若かろうが、彼がのちに成功しようが、そんなことは関係ない。

2018年『西郷どん』放映時、いつまで経っても明治維新のもたらしたこと、西郷の起こした西南戦争の惨禍と向き合わず、誤魔化す大河の姿勢に失望したと書きました。

2019年も似た趣旨のことを書いた記憶があります。

今年2021年もそう。明るくテキトーに誤魔化すことしかできないのであれば、もう近現代史大河に取り組む意味はないのでは?

ここ数年は朝ドラの方が、よほどその点誠実です。

歴史が嫌いなのに、どうして歴史をネタにしようと思うんですか?

※『キム秘書は一体なぜ?』いいですよね

 

土方は一体なぜ?

はなからダメ出しして申し訳ありませんが。

◆『青天を衝け』町田啓太、土方歳三にシンパシー 生き方から刺激も「強くあらねば…」(→link

役者――特に時代ものとなれば、シンパシーより重視されるのはエンパシーでしょう。

たとえば昨年、染谷将太さんがこう言ったらどうか?

「首を箱詰めにする。そんな信長にシンパシーを感じました……」

いくら大河レビューで口さがないことを書く奴がいて、始末したいと内心願っていても、それを言っちゃいけない。

そもそも芝居とは、ありえないことでもあったように生み出すイマジネーションの世界でしょう。

いちいち自分と引き合わせてはいけないのではありませんか?

特に本作の場合、天狗党にシンパシーを感じては危険すぎます。

同じNHKでも朝ドラの『おちょやん』は、むしろ演じる側が切り分けていました。

ヒロインの父や夫があまりにゲスで「一緒にしないでくれ!」と役者側が懇願するほど。

『おちょやん』のような近現代でも、現代人とは感覚が違う。

ましてや幕末です。今とは別世界のはず。

それなのにシンパシーと口にするのはどうにも危うい。

そもそも、なぜ土方がこんなに大きな扱いなのか?

新選組の意思決定者はあくまで近藤勇です。

教養、知性、政治的才覚において、近藤は飛び抜けていました。

例えば、土方が俳句を詠んでいたのに対し、近藤は辞世が漢詩。幕政にも献策をするほど切れ物でもあったのです。

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ゆえに戦前のフィクションでは、近藤の扱いが飛び抜けていて、それがいつしか土方が前面に出てくるようになった。

その辺に強く影響を与えたのが司馬遼太郎でしょう。

彼のせいで近藤は愚鈍、土方はシャープで聡明とされるのですが、これはなかなか困った話ですが、なぜ司馬はそうしたのか?

おそらくや「脱亜入欧、漢籍教養を嫌い、西洋思想を身につけた人物を高評価する傾向がある」んですね。土方が西洋思想を身につけていたとは思えませんが、肖像写真が洋装ですので、そういうイメージがつきやすい。

理屈としては、新選組の組織体系が西洋の軍隊制度に似ていて、土方は近藤にとっての副官のようなものであったとしている。

副官といってもまちまちでして、参謀役をするとは別に限りません。

第一帝政のネイとジョミニの関係でも反映したのでしょうか。

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近藤ではなく土方の理由は二番煎じですよね

新選組なのに近藤ではなく土方を目立たせた理由。

司馬遼太郎の影響もあるかもしれませんが、それよりも『あさが来た』の二番煎じでしょうか。

『あさが来た』に土方が出て視聴者にウケたのは『新選組!』の山本耕史さんだったことが大きいと思われます。

さらにそこに乗ってきた!

って何度同じネタをこすっているんでしょうか。「他人の褌で相撲を取る」とはこのことでは?

司馬遼太郎が大好きな中高年エリート自意識な男性層にせよ。

『るろうに剣心』や乙女ゲーが大好きな層にせよ。

そして『あさが来た』にハマった朝ドラ層にせよ。

別作品のファンに目くばせする。あまりにプライドがない。

もっと露骨だったのが「五代様」ですよね。

土方歳三の登場は「これだ!」と言い切ることはできない一面もありますが、ディーン・フジオカさんの五代友厚ともなれば、どう言い訳したって「あの」五代様ですよね。

こうした傾向は他にもあり、本作には薩摩藩の三島通庸も出るようです。

三島は、薩摩藩士としては、そこまで目立つ存在ではない。それでも『いだてん』の主要人物だった三島弥彦の父です。

そこも目くばせですかね。よりにもよって鬼県令・三島とは……。

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しかし、そんな小手先の出演者テクニックでどうこうなるのでしょうか。

最終的には「物語そのもの」が面白くなければ意味がありません。

 

センスの更新は大事です

こんなニュースがありました。

◆ 「真・三国無双」の実写映画が中国で大コケ 「ゲームの世界を再現」と高評価も…(→link

一騎当千を再現したあのゲーム実写版ですが、見事に大コケ。

理由はわかります。古いんでしょうね。

もう20周年を迎えるシリーズですし、せめてもう少し早く映画化すればよかったと思います。

今、映像の世界もトレンドの変わり目を迎えています。

ああいうワイヤーアクションが派手なものは古い。好みが合う・合わないの問題ではなく、見ていて苦痛を覚えるのです。

中国語圏は70年代以前に回帰していて、古武術の動きを再現する方向へ向かいつつあります。

ドニー・イェンだって『イップ・マン』では詠春拳を渋くこなしていますからね。

70年代から大活躍していた、そんな倉田保昭さんが倭寇を好演した『戦神 ゴッド・オブ・ウォー』はおすすめです。

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『るろうに剣心』も残念ながら古い。

あれも完結がもう少し早ければよかったと惜しまれる作品です。

漫画の時点で比較するとわかるのですが、『鬼滅の刃』の方が武術を再現した動きになっています。

ポーズだけ比較すると、実は『鬼滅の刃』の方が実践的かもしれない。17巻表紙の風柱なんて、渋くてかっこいいんですね。

『鬼滅の刃』17巻(→amazon

話を『青天を衝け』に戻しますと、こちらも殺陣と演出が古い。

今週は土方が出てきて、これ見よがしに炎が見えましたが、はっきり言ってやりすぎていて古い。

番組公式動画を見た時点で絶句していました。

所作指導者が皆逃げ去った感がある。

股立ちをとって走るとか。ちょうちんの持ち方とか。全部ダメ。何もかもおかしい。土方に対して、全く思い入れのない人がテキトーにカッコつけただけだとわかって悲惨です。

乙女ゲーの宣伝ムービーだと思えば、まぁOKなんでしょうけど、大河でそれで良いのでしょうか。

 

殺陣に関していえば、全体的に昨年より後退しました。

昨年はきっちり古武術の指導をしていたので、光秀と細川藤孝が対峙する場面なんて、向き合った時点で鬼気迫るような重圧がありました。

そもそも『麒麟がくる』は、70年代以前を回帰する意思があったんですね。

オープニングのフォント、映像の処理、センス。往年の時代劇復活を期していると思えたのです。

NHKもそこは自覚的だからこそ『柳生一族の陰謀』や『十三人の刺客』リメイクをしているのだと思います。

次は『魔界転生』か『駿河城御前試合』か、まさかの『戦国自衛隊』か?

以下の記事にもあるように、時代劇は残すべきだと感じます。

◆「天地人」「八重の桜」制作統括が語る…NHKがそれでも「時代劇」を作り続ける理由(→link

2020年代はVODで海外、しかも東アジア圏の作品が一気に鑑賞できてしまう。

うかうかしていたら、本当に危険です。

 

セクシャルハラスメントを楽しむ日曜夜8時

本作のニュースをみていると、顔がどんどん暗くなってゆく……。

初夜に色気。

いったい何を目的として大河を見ているのでしょうか?

◆ 青天を衝け:次週予告にディーン・フジオカ“五代様” ほんの一瞬も「色気ハンパない」 期待の声続々と(→link

◆「青天を衝け」“五代様復活”でネット大騒ぎ「おディーン様!」「色気ダダ漏れ」 次回予告に登場(→link

かつて、大河は勉強になる、教養の証になるとされた。

けれどもお色気もたまにチラッと入る。

勉強名目で向かい合っていたら、意外なエロ! ゴクリ、ムフフ。そんなスポーツ新聞に連載されていた、戦国大名と側室のエロ小説じみた需要があったわけですね。

って、一体いつの時代の話なのでしょう。

呆れてものも言えませんが、大河がそういう年齢層を視聴率ターゲットにしているからなんでしょうね。

一方で、おディーン様(すごいセンスだ……)に、はしゃぐ層もいかがなものでしょうか。

彼らは大手掲示板で性別を伏せてきた時代がある。そうしないと腐女子だのなんだの罵倒されてしまっていた。

しかしそれも過去の話。

SNSでは、どんどんエロトークが進む。ここでもまた時代錯誤的なハラスメント感覚が蔓延して、ネット大騒ぎになるんですね。

私はディーン・フジオカさんが心配でなりません。

このドラマはいろいろ危うい。下手をすれば中国語圏、海外での仕事が減るんじゃないかと危惧している。

大谷亮平さんも同様ですね。

本作は、役者のファンが騒ぐ記事はあるけれども、具体的にどの場面のどこが素晴らしかったか? 演技がどうよかったか? その理由まで踏み込んだ記事なり感想投稿は極端に少ない。

ゆるふわで「すごかった〜」と盛り上がるばかり。

要するに具体的に褒める箇所が見つからないのでは?

 

山川浩がくらつけるドラマ

本作を見ていると、ある企業経営者の自伝漫画を思い出します。

とにかく美化が酷い。

気持ち悪いほど全てが礼賛で描かれる。

漫画家に発注する時点で原作がそうなっているのでしょうし、漫画家もわざわざ修正しないからそうなるのも当然でしょう。

渋沢栄一は大河の題材として以前から候補だったと言います。プロデューサーもインタビューでそう語っています。

しかし現実は、お札ありきの話ですよね。

『獅子の時代』は渋沢栄一大河だったという説もあります。

ただ、渋沢はどうにも向いていないため、オリジナルキャラクターにした。

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なぜ、渋沢栄一が大河にならないか?

そもそも徳川慶喜と渋沢栄一のコンビなんて、名をなして金もあって、それでほとぼりがさめた頃になって自己正当化をやり始めたとも言えるわけです。

投獄の危険すらあった会津藩士たちの、孝明天皇御宸翰の駆け引きとはまるで違う。

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「昔は大変だったよね〜」と安全圏から語っているだけで、この慶喜・栄一コンビの書籍は「バイアスを差し引いて考えましょう」と他の書物から言い切られることもある。

同じ幕府サイドでもまるで状況は違うんですね。

この大河は薩長を経て、そして水戸学本場を美化する。明治礼賛大河三部作のフィナーレだと思います。

スタンスが企業経営者の自伝漫画と同レベルですから、出来が悪いに決まっていますし、とにかく胡散臭いものになる。

なお『獅子の時代』主人公・平沼銑次のモデルとされる会津藩士・山川浩は、徳川慶喜を嫌っています。

「あの人って口先ばかりですぐ言うことコロコロ変えて、ホントに最低最悪でした」

「あいつが逃亡したせいで俺が大坂城を丸投げされて大草原不可避www(無茶苦茶激怒)」

こんな調子で『京都守護職始末』を世に出しました。

『八重の桜』が好きならば『青天を衝け』を嫌いになるのは当然の反応でしょう。

佐幕だから一致団結すると思ったら大間違い。

慶喜やら栄一のやらかしを見て「間違っても再チャレンジできるよ!」みたいなことを言われても、一橋家や水戸藩がばら撒いた火種のツケを支払わされたのは、奥羽越列藩同盟で戦った諸藩や、そのあと屯田兵になって苦労した側です。

政財界とべったりで女遊び三昧だった渋沢。

駿河でコスプレ写真撮影して自転車乗り回していた慶喜。

山川浩ならきっとこう言いますね。

「くらつけっつぉ、おんつぁげすがよ!」(お前らぶっ飛ばすぞ)

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◆ 『青天を衝け』血洗島編が完結 栄一、うたを抱いて“生き抜く”決意(→link

このレビューにせよ、製作者のコメントにせよ「生き抜くことが大事だ」と強調します。

確かに天狗党の末路を思えば、水戸に絡んでおいて生き延びたことはすごい。

しかし、それを斗南で地獄を見て、屯田兵として苦労した、会津関係者の前で言えるのかという話です。

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手抜きはバレます

受信料で制作されているNHKの番組ですから、仕方のないことですが。

◆NHK、大河ドラマ「青天を衝け」の製作費は1本7900万円…は高すぎるか(→link

こういうニュースは定期的に出てきます。

海外のVOD歴史ドラマと比較すると、むしろ大河ドラマは予算はかなり少ない。

ただ、こうしたメディアは過去の大河は豪華というノスタルジーにまみれていますので、無駄遣いという方向へ話を持っていきたいのでしょう。

予算がいくらか?

この際、数字は結構。『青天を衝け』はセット、小道具、VFXまで予算をケチっていると見ていてわかります。

そのぶんを朝ドラや来年に回すのであれば、それはそれで結構なことです。

時代劇を残し、歴史ドラマの存続をはかるのであれば、予算はいくらでもよいと私は思います。

そうではなく、ただチャラチャラした、ファミコンRPG、スマホの乙女ゲー、なろう小説、スマホ漫画広告バナーのようなものを実写でしているようならば、どれだけ予算を抑えようが浪費。それだけのことでしょう。

この大河は予算以上に内容がないことを一生懸命隠そうと努めていますが、隠し切れておりません。

作り手だって苦しいのではありませんか?

視聴者層がかなり高齢になってきていることを必死にポジティブに伝えようとしている記事はとにかく苦しい。

◆大河ドラマ「青天を衝け」 好調維持のカギは60代、70代の視聴者キープ(→link

NHK大河ドラマ「青天を衝け」(日曜午後8時)が、大河らしさを本格的に感じさせてきた。

最近は放送開始当初と比べると視聴率が少し下降気味ではあるが、すぐに元の勢いを取り戻す可能性を感じる。

カギは60代、70代の高年齢層の視聴者が戻ってくること。

これは実質的に負け戦ということではありませんか?

大河の視聴者層において60代、70代が厚いことは当然のことです。この層はむしろ放置しても見る。2019年の苦戦と裏番組でかなり崩されたとはいえ、2020年で戻ってきた。

ゆえに、今年はその下を狙っていたはず。

上の記事と同じ筆者が、こんな分析をしていました。

◆大河ドラマ「青天を衝け」好スタートの背景に40代以上の女性視聴者(→link

(前略)イケメンの出演者が多い影響か、関係者によると女性の支えが好スタートの要因のようだ。

出演者が推していた初夜がカットされたり。どうにも足並みが乱れている。

この層が取れないからこそ、流動しない上の層を狙っていると言い始めた。となると、やはり負け戦ではありませんか?

 

作品選びは慎重に

曹操を相手にして【官渡の戦い】に挑み、大敗した袁紹という英雄がおります。

彼の軍師である田豊は「このままでは負ける」と言っていた。そしてその予測は当たったんですね。

すると袁紹は「あいつが言った通りになった、あいつはきっと私を馬鹿にする!」と思って、田豊を殺したのです。

予想ができる人材ならむしろ重用しろと思いますが、そうはならないのが世の常。

大河レビューについては「素敵でキュンキュンして勉強しちゃった!」とでも言っておくのがよい。

今年の場合、こう掲げればバッチリですね。

「さすが渋沢栄一、とても勉強になる」

「『麒麟がくる』みたいに駒がでしゃばらないから!」(※大河『徳川慶喜』等にも架空キャラクターは多数出ていたと言ってはいけません)

「『麒麟がくる』は結局麒麟が出てこなかったからファンタジー! それよりはいい!」(※儒教の解釈からすれば麒麟はむしろ出てこなくて正解と言ってはいけません)

「『花燃ゆ』よりはそれでもいいから……」(※それは全ての大河がそうだと言ってはいけません!)

結局、理解度の差もありますよね。

『麒麟がくる』は漢籍や東洋医学知識が必要で、かなり難易度が高かった。

その点今年は、タップしているだけでクリアできるスマホアプリ。あるいは出来の悪い8ビットRPG程度の難易度なので、誰でもサクサク進められる。

一方で物足りない人も当然出てきますが、そういう層は無言で離脱するだけ。ゆえに視聴率も下落するのでしょう。

広告代理店の「偏差値40に向けて作る」というセオリーを実現しているのが本作ですね。

ウオウオ叫べば“ネットが狂気”。わざとらしく泣き叫べば“ネットも号泣”。初夜だの裸体だのアピールすれば“ネットが大受け”。チョロいです。

ただし、出演者のキャリアに暗い影すら落としかねないと考えると気の毒で仕方ない。現実には絶対あり得ませんが、どこかの俳優に「この大河は出るべきかな?」と相談されていたら、「絶対に断りましょう。来年か再来年を待ちましょう」と言っていたはずです。

過去の傾向を見て2015、2018、2019、2021あたりの作品と被る何かがあったら避けるべし。

誰かの荷物が「盗まれた」という話を聞いたら人は同情しますが、置き引きの注意喚起をしている場所で無造作に置いていたなら?

さすがに「お前も何やってんだ」となってくる。

その一例がこちらでしょうか。

◆徳島県出身の俳優・犬飼貴丈さん、放送中の大河ドラマ「青天を衝け」に福地源一郎役で出演決定(→link

年齢設定が無茶苦茶な本作。

30前後で実質一線から退いた慶喜がアラフィフ。

その慶喜より年上で劣等感があった美賀君はその娘ほどの年齢。

この福地源一郎にしたって、明治以降に渋沢と関わるからには、もっと年上の印象でしょう。

キャスティングがどうにもならない。

今年は、もうすぐ始まる朝ドラ『おかえりモネ』がなかなかすごいことになっております。

大河で見た顔、主演級まで勢揃い。

新札の顔大河とするのであれば、清原果耶さん主演の津田梅子はできなかったのでしょうか。まだお若いとはいえ、彼女ならばできるでしょう。

そうそう、最後に。ディーン・フジオカさんは福島ご出身ですね。

同郷の西田敏行さんは、西郷隆盛を演じるにあたり地元の意見を聞いたそうです。

 

今ここにある危機とぼくの好感度について

NHK土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』が面白いです。

むずかしいことは考えない。えらい人には好かれたい。それが、ぼくの生きる道。

「ほんと権力持ってる人って、見下してる人間に対して想像力がないよね。キミもね、見下すのは勝手だけど見くびらないほうがいいよ。痛い目見るから」

「最大の悲劇は悪人の暴挙ではなく善人が沈黙すること」

こんなセリフがバンバン飛び出す。『いだてん』からのスタッフや出演者が多い。

NHK内部にも色々と意見したい人はいて、そういう人たちが骨のある作品を作るんでしょうね。

OBもこう批判しているほどです。

◆「民放の真似して受信料もらって、NHKは恥ずかしい」森本毅郎(81)から“愛する古巣”への苦言《独占告白》(→link

――最近は、NHKのゴールデンタイムの番組でも、民放と同じような芸人やタレントをよく見かけます。

森本 「そういう人を出さないと受信料を取れない」と考えているのかもしれないけど、民放の真似してお金もらっても恥ずかしいでしょう。それは民放に任せればいいじゃないですか。

僕と一緒に働いていた時代のNHKの人は嘆いていると思います。

NHK会長は国会の同意を得て総理大臣が任命した経営委員会によって選ばれますから、天下りが当たり前になっている。労働組合もなりを潜めているのか、出てこない。

「放送はいかにあるべきか」なんて青臭い話し合いは、今や労使でやらないんでしょう。

僕はNHKに20年も世話になった恩義もあるし、NHKに育てられたという思いもあるから批判してしまうけど……NHK愛があればこそです。それだけに寂しい。

このNHK土曜ドラマ『今ここにある~』って、今年の大河批判みたいな一面があると感じます。

好感度だけで生きていけばいい。謝っちゃえばいい。中身はむしろない方がいい。そう力説する主人公。

今年の大河ドラマがまるでそう。

主人公の渋沢栄一が、本人に似ても似つかないイケメンで、泣いたり走ったりいちゃついたりするばかりで、肝心の中身がまるでない。

なんだか声が大きくて熱血っぽいし、悪い人じゃなさそうだから、好感度が高い。

でもそれだけ。

とことん虚しいやつです。

泡沫っていう意味では、SNS環境にバッチリ合致しているのかもしれません。

◆『青天を衝け』トレンド1位!吉沢亮“栄一”&橋本愛“千代”の絆に視聴者、涙…「お千代ちゃん大好き!」(→link

思い出されすのは2019年大河『いだてん』。

熱量の高いファンがハッシュタグ投稿を繰り返し「SNSでは話題!」と盛り上げていました。

しかし現実的な数字は追いつかず、視聴率は過去最低。当然ながら観光にも繋がりませんでした。

SNSは「ノイジーマイノリティが強くなる」傾向が顕著なんですね。

ネットニュースは読み手を引っ掛ければよろしい。ゆえに上記のような記事にも需要がある。さして労力もかかりません。

でも、肝心の熱意はどうなのか。

Yahoo!ニュースのコメント欄はまるで盛り上がっておりません。

現実的な数字(視聴率)も失速傾向がかなり強まっていて……。

青天を衝け視聴率
青天を衝け全視聴率推移12/28更新 麒麟がくる/いだてん/西郷どん/直虎/真田丸/比較

続きを見る

盛り上がった“ポーズ“がいつまで通用するのか?

NHK土曜ドラマを見た人には、その仕組み、バレバレですよ。

◆『今ここにある危機とぼくの好感度について』第3回(→link


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【参考】
青天を衝け/公式サイト

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武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

-青天を衝け感想あらすじ
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