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【お米の歴史】
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世界の米
米の歴史は、実に興味深いものです。
インドから伝播したルートもあれば、アフリカから持ち込まれたルートもある。
様々な伝播経路で伝わり、そして各地で多彩な料理ができあがりました。
その経路やレシピを見てみると、その国の歴史も見えて来ます。
ギリシャ
BC4世紀初頭、アレクサンダー大王がインド経由でギリシャに米を持ち込んだと言われています。山羊の乳と粥を混ぜた料理は、胃の調子が悪い時に推奨されたそうです。
スペイン・イタリア
スペインの米料理といえばパエリア。イタリアならば、リゾットが有名ですね。
この地域に米食を伝えたのは、北西アフリカのムーア人と言われています。
元々あった麦の料理を米で作るようになったとも、米料理の「ピラウ」が伝播した、ともされています。
北アメリカ
北アメリカに伝わった米は、アジアではなくアフリカ原産とされています。
入植したイギリス人は、サウスカロライナは稲作に適しているとみなし、ここでアフリカ原産の米を作り始めました。
アフリカ大陸から連れて来られた奴隷は、祖国でも行っていたため稲作が得意でした。サウスカロライナの米は、「カロライナ・ゴールド」と呼ばれ高い評価を得ます。
◆カロライナ・ゴールド・ライス協会のサイト(→link)
すでに18世紀の料理本に、米を使ったプディング、スープ、パンケーキのレシピが掲載されるようにもなっています。
北アメリカでの米料理は、奴隷や移民の持ち込んだ祖国の料理が混じり合い、独特の進化を遂げていったのでした。
「クレオール」や「ケイジャン」を呼ばれる料理は、まさにこうした歴史から生まれています。
ザリガニ、エビ、鶏肉、ソーセージ、はたまたリスの肉まで入れ、米にかけた料理「ガンボ」はその代表です。
イギリス
イギリスの場合は、インドを植民地化したころから米料理が広まりました。米に魚の燻製を加えたケジャリー、カレーライスがこれに該当します。
こうしたインド由来のイギリス料理は、昔は異国の味として、そして時代がくだると統治時代をなつかしむものとして、さらに現在では身近な味として親しまれています。
米はワールドワイド
あたり一面に広がる稲穂のイメージは、多くの日本人にとって原風景です。
「瑞穂の国」は日本の美称であり、五円玉にも稲穂のデザイン。
こうしたイメージから米といえば日本……と思いたくもなりますが、前述の通り世界総人口の三分の二が米を主食なのです。
世界各地で「やっぱり米といえば、俺らの米が一番だ!」と思う人がいます。
それぞれの食べ方があるのです。
米はなんと偉大な食べ物なのでしょう。
今回調べてみて、さまざまな米料理を味わってみたいと感じました。
ホッカホカの白いご飯は、そりゃあ言うまでもなく美味しいものですが、ガンボやケジャリーもとても美味しそうではないですか。
米はワールドワイドで、その歴史は世界史そのもの。
世界に思いを馳せてその偉大な歩みを思い出しつつ、今年も新米を美味しくおいしくいただきたいと思います。
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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考文献】
Renee Marton/龍 和子『コメの歴史 (「食」の図書館)』(→amazon)