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【テンプル騎士団】
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フランス王家の相続が突如として……
さて、首尾よくテンプル騎士団を壊滅させ、フィリップ4世は高笑いできたのでしょうか。
いえいえ、そんなことはありません。
彼は晩年、様々な不幸に襲われるのです。
まず息子の嫁・二人が騎士と密通していたという醜聞は、王を悩ませます。
フィリップ4世は密通していた男を去勢したうえで処刑し、嫁二人を幽閉しました。
そしてモレーが亡くなったその年のうちに、本人が狩猟中の事故で急死するのです。46歳。クレメンス5世も年を越せずに急死しました。
以降、まるで呪われたかのような歴史が綴られます。
・フィリップ4世の死後は太子のルイ10世が即位するものの、僅か二年で急死
・ルイ10世の死後に生まれたジャン1世は生後まもなく夭折
・フィリップ4世の次男であるフィリップ5世が即位、6年で崩御
・フィリップ4世の末子であるシャルル4世が即位、6年で崩御
それまで比較的安定していたフランス王家の相続が、突如として乱れに乱れたのです。
テンプル騎士団の呪いでは?
フィリップ4世の死から14年。
三百年間続いたカペー朝は断絶の憂き目に遭い、ヴァロワ伯の血統から始まる新しい王朝が始まることになりました。
相次ぐフィリップ4世の子孫の死は、『テンプル騎士団の呪いではないか』と、囁かれたのでした。
テンプル騎士団は、その後何世紀にもわたって異端として扱われ、完全に名誉が回復されるのは二十世紀初頭のこと。
その神秘的イメージから、現代は、様々なフィクションにおいてモチーフとされているのです。
まず名前がカッコイイだけでなく、前述のように「聖杯」や「契約の箱」などの伝説があり、埋蔵金のロマンと悲惨すぎる最期が残されているばかりか、「呪い」のチカラによってカペー朝を滅ぼしている。
これが例えば「ホスピタル(病院)騎士団」だったらここまで人気が出たかは疑問です。
今後もテンプル騎士団をモチーフとしたフィクションは作り続けられることでしょう。
文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考文献】
佐藤賢一『カペー朝 フランス王朝史1(講談社現代新書)』(→amazon)
『ダークヒストリー2 ヨーロッパ王室史(原書房)』(→amazon)
『ラルース 図説世界史人物百科Ⅰ 古代‐中世―アブラハムからロレンツォ・ディ・メディチまで(原書房)』(→amazon)