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【信長と義昭の上洛】
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9月29日~10月2日
9月29日
信長自身で青龍寺城へ出馬し、寺戸・寂照院に布陣しました。
が、ここで石成友通があっさり降伏。
戦にならず終わっています。
9月30日
現在の大阪近辺にあった三好方の城を攻略するため、進軍を続けました。
信長は山崎に着陣、先鋒は天神の馬場に布陣したようです。
芥川山城(大阪府高槻市)に細川京兆家当主である細川昭元と、三好三人衆の一人・三好長逸が立てこもっていましたが、この日の夜に逃げ出しています。
三好氏の家臣だった篠原長房の居城である越水城(兵庫県西宮市)。
彼が持っていた滝山城(兵庫県神戸市)。
いずれも戦になる前に敵方が逃亡し、マトモな戦いにはなりませんでした。
信長は義昭のお供をして、一度芥川山城へ移ったようです。
10月2日
池田城(大阪府池田市)で抵抗を続けていた池田勝正を攻めました。
最後まで交戦していただけあり、ここはかなりの激戦。
敵味方ともに多くの死傷者が出たようです。
一例として『信長公記』には以下のような戦績が挙げられています。
・水野信元の家来である梶川高秀が、腰骨を突かれ、後退する途中で討ち死に
・信長の御馬廻衆である魚住隼人が負傷
信長は池田城と城下町に火を放つと、この戦を終わりとしました。池田勝正は降参し、人質を出したため許されています。
そして、どこから噂を聞きつけたものか。
この時期は信長の下へ献上品を持って挨拶に来る人々が多くいました。
送り主がわかるのはこの二件だけですが、信長が芥川に滞在していた14日の間、宿所はこういった人々でごった返していた……と書かれています。
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中には、「その昔、源義経が一ノ谷の戦いで身につけていたという鎧」を持ってきた者もいたとか。
しかし、その人の名前が書かれていないので、著者の太田牛一は眉唾ものだと思っていたようです。
どこぞの鑑定団の出張版みたいな感じだったんでしょうかね。
10月14日
義昭が京都六条の本圀寺に移り、信長は清水寺へ入りました。
大所帯なので、軍規の乱れが起きないよう、治安維持に気を配っていたようです。
近くは応仁の乱に続く混乱、古くは木曽義仲など、京の人々は武士そのものに悪いイメージが強かったため、厳しく取り締まったのでしょう。
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ここから10日ほどで、周辺地域の城主たちも信長に降参し、畿内は安定しました。
信長は細川昭元の屋敷を義昭の御殿とし、太刀と馬を再度献上したとあります。
義昭は返礼として、信長に食事を振る舞ったり、自ら酌をしたり、剣を送ったりしたとか。
この時点では、少なくとも表向きは良好な関係だったことがわかりますね。
10月22日
義昭が朝廷へ参内し、正式に征夷大将軍を任命されました。
室町幕府15代将軍の誕生です。
10月22日とは、出陣から約一ヶ月半であり、義昭が信長のもとへやってきてから、わずか三ヶ月というスピードでした。
やっぱり動きが早いですよね!
現代のビジネスマンにしても成功しそうな雰囲気です。
こうして義昭の本願は達成されましたが、これで全てがうまくいくとは限らないのが、戦国の世の厳しさというところ。
戦も政争もガンガン続きます。
※本記事は連載『戦国初心者にも超わかる信長公記』第52話となります
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信長公記をはじめから読みたい方は→◆信長公記
長月 七紀・記
【参考】
国史大辞典
太田 牛一・中川 太古『現代語訳 信長公記 (新人物文庫)』(→amazon)
日本史史料研究会編『信長研究の最前線 (歴史新書y 49)』(→amazon)
谷口克広『織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで (中公新書)』(→amazon)
谷口克広『信長と消えた家臣たち』(→amazon)
谷口克広『織田信長家臣人名辞典』(→amazon)
峰岸 純夫・片桐 昭彦『戦国武将合戦事典』(→amazon)