麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第25回 感想あらすじ視聴率「羽運ぶ蟻(あり)」

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麒麟がくる25回感想レビュー
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信長に乗り換えた稲葉とも再会

そして久々の稲葉山城では――あいつがおりました。

稲葉良通です。

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高政をさんざん弄び、操った印象がある。演じる村田雄浩さんが「どこが一徹だ!」と突っ込んだわけじゃないですか。

久々に見ましたけど、やっぱりこいつはイライラする顔をしている! はぁ……もう嫌だな。

「十兵衛、ははは! 十兵衛ではないか!」

もう、この笑いの時点で、イラっとしてくる。お互いしぶといとか言っているけどさぁ。光秀は不快感をじわりとにじませつつ、そこは如才なく織田家に仕えていると聞いています。

なんでも龍興様は美濃すら治められない、何事も一人で決められない、我らは振り回されてばかり、と。その点、信長様は器が大きいとか、ついていくならこの方しかいないと思ったそうですよ。

いろいろあったと言いつつ「これからは織田家を支えて参ろうぞ!」だってさ。

光秀が凍りついたような目をしています。

気持ちはわかりますよ。信長と似たタイプの道三には、あれだけ冷たい態度を取っていたし。高政をおだて持ち上げ神輿にして、親殺しに導いたようなところはある。

忘れられるか、この野郎……。そういう不信感をきっちり見せる光秀が不穏かつ怖い。

人間は理想だけには生きられないから、仕方ない。そういう妥協が光秀はできない。ゆえに、この先、悲劇が待ち受けているのでしょう。

でも、それも生き方だと思います。

良通は愚かでもないし、むしろスマートです。世渡り上手です。

けれども、生き延びて甘い汁をすすれるかだけ考えていて、理想も何もない人生って、それはそれで虚しいような気もしなくはありません。

光秀はとても悲しいし、羨ましいところもある。そういう人だと思えます。

 

「わしに仕える気はないか? どうじゃ?」

そして信長とのご対面です。

光秀が美濃平定を祝い、おかげで母が戻れたと言います。帰蝶様に会いたいと告げると、こちらにはまだ来ておらぬと言います。清須で子どもの面倒を見ているそうです。

それは残念だと告げる光秀に、信長は「そなたは戻らぬのか」と聞いてきます。

「は?」

「美濃へ」

「越前での暮らしがございますゆえ」

「のう十兵衛」

「はい」

「そなた、わしに仕える気はないか? どうじゃ?」

「……申し訳ございませぬ」

信長のアプローチがしつこい。光秀の断り方がそっけない。こいつらは本当になんなんだろう。

運命を感じているようで、感じていないような。

それにしても、戦国武将の光秀を求めるアプローチがすごいことになっているな。信長はこう来ました。

「わしでは不足か?」

「いえ、決してそのような!」

染谷将太さん、今週も絶品の怖さを見せつけている。

笑顔なのに怖い。勘弁してください。だいたい信長は、光秀の話を聞いているのか、いないのか。越前の暮らしがあるって言っているのに。

でも信長はなんかエラーを起こしているんだ。猜疑心旺盛ゆえに。

「こいつ、越前の暮らしとかなんとか言っているけど、他にもっといい男がいるんでしょう! 誤魔化せないぞ」

こういう思考回路ですね。信長はそういうボールを投げてから、さらに追い詰めてきます。

「一体何を考えているのだ?」

 

戦に勝てば皆が褒めてくれる

光秀は、ここで素直に本心を告げます。

亡き義輝様にお仕えしたかった。

このお方こそ、武家の棟梁として全ての武士を束ねる、世を平かにするお方だろうと確信していたのに。それがあんな不幸な形での死。

「この先、自分でもどうしてよいのかわからないのです……」

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まるで悲恋のように語る光秀。

高すぎる目標は、人を時に不幸にします。光秀は我慢していないで朝倉家に仕官しろというツッコミもある。

でも、理想が高すぎて、それもできないのでしょう。

さて信長は?

「わからぬか。わしもわからぬ」

何を言っているんだ、この人は!

ここで理由を訴えます。今川を倒したとき、そなたに聞かれた。美濃を平定したあとには、どうするかと。信長は答えられなかった。わからぬから。今でもわからぬ。

それから、無邪気な笑みを浮かべてこう言いました。

「だが一つ、わかったこともある。わしは戦が嫌いではない……」

怖い。なんだこの圧倒的な怖さは。光秀は戦に虚しさを感じているし、道三ですら戦は国を豊かにするための手段と言い切っていました。

しかも理由が怖い。

今川義元を討ち果たした時、みなが褒めてくれた。喜んでくれた。戦に勝つのはよいものだ。わしは皆が喜ぶ顔を見るのが、この上なく好きなのだ。皆を喜ばせるための戦なら、どんなことでもする――。

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信長は純粋です。

初登場時、魚を釣って売ってニコニコしていたのは、売れば、買う民が喜ぶから。

ずっとずっと、褒められたかった。父も母も、誰も褒めてくれない。自分のすることで喜んでくれない。

そういう欠けた心を抱えて生きてきて、それで今川義元を倒して、みんなのニコニコ笑顔を手に入れました。

純粋なんだか、おそろしいんだか。困りましたね……。

「ただこの先、どこへ向かって戦をいしてゆけばよいのか、それがわからぬ」

信長は困っている。

逃げた斎藤龍興は、六角や三好三人衆と手を組んで美濃を取り戻そうとしているし。東は武田。朝倉もいる。

周りは敵だらけで、美濃を取ったはいいが守らねばならぬ。戦はきりがない!

そうですね、防衛戦は守って当然だから、信長にとってはつまらない。なんとか気分転換できればよいのですが。

ほら、斬新なお城を建てるとか。

本作は興味深い。ここまで考えたことで、城や街づくりのことも、ピタッとあてはまる気がした。信長の気持ちがつかめたような。

きっとこうしたい、ああしたい、ワクワクしながら、美濃を整えたんでしょうね。岐阜に行きたくなって仕方ない!

 

互いのズレに気づかぬままに話が進み

光秀はここで、今後の局面を変える重大なことをします。

 

いつまで経っても戦が終わらないことに同意しつつ、上洛を提案するのです。

義輝様が討たれた今、新たな将軍に力を貸し、畿内を押さえるのだと。

信長は、畿内を抑えたら堺が手に入るのかと聞いてきます。ずっと堺が欲しかった。南蛮や明と商いをするのだ。そうウキウキワクワクしています。

ここの場面は重要です。

光秀は、信長が天下人になるプランを立てている。

でも、信長は堺で貿易するワクワクした計画に夢中。頭の中は、南蛮や明から届く珍しいものでキラキラしている。

一方の光秀は?

幕府を再興し、将軍を軸として畿内を中心に築く。武士が誇りになる世になれば、皆大いに喜びましょう。そう言っています。

ズレてる。

決定的に、ズレてる。

しかしお互い気づかない。

「大きな国です」

「ん?」

「かつて道三様に言われました。誰も手出しのできぬ大きな国を作れと」

蝮の言葉に感銘を受ける信長。下手に道三様を出したから、ズレに気づかないのかも。

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光秀は、テキパキと新将軍候補は朝倉家の越前にいると告げ、きっちりと、信長の関心を引き出しました。

「義昭様はいかなるお方か?」

「義昭様は……」

信長は口ごもる光秀に、義輝様と懇意にしていたことを持ち出し、「そなたがよいと言えば、担ぐ」と断言します。

そのうえで、地図を前にして無邪気にこう言うのです。

「大きな国か。それはこれぐらいか?」

「いえもっと」

「これぐらいか?」

「もっと」

信長は子どものような無邪気さで、地図の周りをトトッと歩き回ります。

「これぐらいか?」

「はい」

勇壮な音楽を前にして、二人は笑い合います。

しっかりと気があって、同じ道を見据えた二人が、いつか殺し合う。

殺す側も、殺される側も、運命を感じてしまう。

きっとこの場面をこの先何度も思い出す。

そんな悲しい場面でした。

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