戦国絵師・長谷川等伯が描いた千利休/wikipediaより引用

織田家 信長公記

茶人・利休が信長の妙覚寺茶会を取り仕切る~信長公記127&128話

千利休(宗易)と言えば、豊臣秀吉とセットで登場。

フィクション作品では、茶室で膝を突き合わせながら政治や商売の密談を進めるイメージが強いものですが、実はその関わりは織田信長時代からのものです。

信長公記』にも登場していたんですね。

同書で初めて「千宗易」が名前が見えるのは天正三年。その前後の記載を含めて見て参りましょう。

 

石山本願寺との和睦

天正三年(1575年)10月21日。

石山本願寺の門跡・顕如(本願寺光佐)が、三好康長と松井友閑を介し、織田家に和睦を申し入れてきました。

信長はこれに応じることにします。

しかし実際のところ、石山本願寺との戦いは、この後も五年間続きます。

今回の和睦は、双方にとって「今戦うのは得策ではない」という状況が重なったことによるものでした。

終戦ではなく、一時停戦といったほうがイメージ的には近いでしょうか。「今後はずっと仲良くしよう」ではなく「“とりあえず今は”喧嘩するのをやめておこう」という感じですね。

なんせ本願寺は、

長島一向一揆(1574年)

越前一向一揆(1575年)

で2年連続して織田軍に拠点を攻略され、著しく戦力を失っていました。

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越前よりさらに北にある(現在の石川県である)加賀一向一揆は1580年まで続きます。

が、いずれにせよ落ち目であることは間違いありません。

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そうした状況を受けての和睦だったのでしょう。

 

和睦を申し入れた本願寺から信長へ贈り物

一方、織田家としても、武田・上杉・毛利氏という強大な敵はまだ存在しており、一時的にでも停戦できるならありがたいお話。

図らずも両者の利害が一致したため、信長はすんなり受け入れたと思われます。

和睦の礼として、石山本願寺から信長へ「小玉澗(しょうぎょっかん)・柳・花の絵画三軸」が贈られることになりました。

本願寺の長老衆が携えて京都に出向き、わざわざ信長に和睦の礼を述べたといいます。

斡旋をした三好康長も、信長へ名物「三日月」の茶壺を献上しました。

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これらの贈答品は、後に信長主催の茶会で飾られたという記録があります。

信長から返礼の品を送ったかどうかは不明ですが、『信長公記』には記載がないので、おそらくなかったのでしょう。

前述の通り、本願寺と織田家の戦況は、すでに信長のほうが有利でしたので、それだけに一向宗サイドが下手に出たのかもしれません。

ちなみに、この和睦は半年後、本願寺の挙兵によって破られることになります。

結局、自分から仕掛けるんかーい、とツッコミたくなるところです。

 

飛騨の三木自綱(姉小路)は名馬を献上

同年10月23日には、飛騨の国司・三木自綱みきよりつなが上洛。信長に挨拶をして栗毛の馬を献上しました。

前回献上された奥州の馬と同様、この栗毛も素晴らしい駿馬だったので、信長は大切に飼ったといいます。

栗毛というのはまさに栗の外皮のような、全身が明るい茶色の馬のことです。

前回(126話)出てきた”鹿毛”は、全身が濃いめの茶色で、足やたてがみが黒っぽくなっている毛色を指します。

どちらも「馬」と言われればなんとなくイメージする毛色ですね。

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三木自綱は、今日では姉小路頼綱の名で挙げられることが多い人です。

初名が三木自綱で、姉小路家の名跡を継いだので後者を名乗るようになりました。

飛騨が越後とも近いことから、この時期はまだ織田家と上杉家の間でどっちつかず。

ここから三年後、上杉謙信が亡くなってからは、織田家にかなり近づきます。

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自綱の妻が斎藤氏出身、つまり信長の正室・帰蝶濃姫)の姉妹であったことから、親族扱いを受けていたようです。

この三木自綱の上洛から5日後の10月28日には信長主催のお茶会が開かれました。

特筆すべきは、あの「千利休」が茶頭を担っていたことでしょう。
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