豊島泰経・石神井城の石碑

石神井城の石碑

戦国諸家

戦国時代の坂東武者・豊島泰経! 道灌と戦い負け続けた執念が熱い

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道灌への降伏を申し出るが……

謀反の主体である長尾景春を早く鎮めなくてはいけない太田道灌は、豊島泰経さんへの攻撃の手を緩めません。

翌日の4月14日には、ついに石神井城を包囲。

この戦況を受けて豊島泰経さんは、太田道灌への降伏を申し出ます。

降伏の条件は「破城」(お城を破却すること)でしたが、豊島泰経さんは破城を実施せず、太田道灌としても「虚偽の降伏」だと考え、今度は石神井城を総攻撃!

そして4月28日に落城してしまいました。

氷川神社(石神井公園内) 豊島家と石神井城の守護神として城内に祀られた

この総攻撃を受けた豊島泰経さんは「もはや、これまで…」と覚悟を決め、家宝の「黄金のくら」の白馬に乗って、石神井城の崖下の三宝寺池に身を投げて命を絶ちました。

馬と共に沈む豊島泰経さんを見て悲しんだ娘の「照姫」も、父の後を追って身を投げて亡くなります。

三宝寺池

こうして豊島家は滅亡。

その後、三宝寺池からは黄金の鞍と思われる眩い光が現れました。

やがて池のほとりには豊島泰経さんと照姫を供養するための塚が建てられたものの、池から光を見たというウワサや照姫の幽霊を見たというウワサが絶えませんでした。

殿塚(豊島泰経のものと伝わる塚)

姫塚(照姫のものと伝わる塚)

というのは、伝説のお話!!!

豊島泰経さんは死んでいません!

実は照姫の存在も確認されていません。明治29年(1896年)に書かれた小説『照日の松』が元ネタになった架空の人物です。

この伝説がいつからか真実味を増していったようで、明治41年(1908年)には三宝寺に沈む金の鞍を発見するため、地元民が東京都知事に許可を得て捜索を行ったそうです。

あれ?「池の水全部抜く」的なやつだ(笑)!

 


石神井城を脱出するもその後の行方は……

いったい豊島泰経さんはどうなったのか。

なんと、落城前夜の夜陰に紛れて石神井城を脱出。

包囲を切り抜けて、平塚城に逃れています。実にしぶとい!

翌年の文明10年(1478年)に再起を図りますが、再び太田道灌が鎮圧のために出陣すると、平塚城で籠城戦をすることもなく、戦わずして足立郡に敗走しております。

そして驚くことに、それから豊島泰経さんは行方不明……消息が一切分かっていないのです。

一体どこへ行ったの!?

ちなみに、以前の説ですと、石神井城を脱出した豊島泰経さんは平塚城ではなく「小机城」(神奈川県横浜市)に逃れたとされていました。

これが現在では否定されています。

ただ、小机城も長尾景春に味方したことから、同じく太田道灌に攻め落とされています。

その後「長尾景春の乱」は太田道灌によって鎮圧されました。

小机城

平安時代末期からの名家に生まれ、武蔵国の南部に大勢力を張った豊島泰経さん。

とにかく相手(太田道灌)が悪かったです。

石神井城の落城と平塚城の自落を受けて、400年以上の歴史を持った名門の豊島家は滅亡を迎えました。

しかしながら、石神井城では先述のように豊島泰経さんと照姫の落城伝説が語り継がれていき、石神井公園では現在、豊島泰経さんや照姫が登場する『照姫まつり』が開催されています。

◆照姫まつり公式サイト(→link

このお祭りでは、豊島泰経さんや照姫などの役を一般公募していて、当選した方は石神井公園から石神井駅までの照姫行列パレードや舞台演技を行うことができるそうです。

私も応募してみようかと思ったのですが、本番までに8回の演技練習があってスケジュール的に厳しそうなので断念いたしました…。

新型コロナなどの動向もありますので、興味のあるお方は事前に確認して、是非チャレンジしてみてください!

それでは、次回の“ご当地マイナー武将”もお楽しみに。


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文:れきしクン(長谷川ヨシテル)

◆れきしクンって?

元お笑い芸人。解散後は歴史タレント・作家として数々の番組やイベントで活躍している。

作家名は長谷川ヨシテルとして柏書房やベストセラーズから書籍を販売中。

【著書一覧】
『あの方を斬ったの…それがしです』(→amazon link
『ポンコツ武将列伝』(→amazon link
『ヘッポコ征夷大将軍』(→amazon link

◆Youtubeも絶賛放映中「それいけ!れきしクンTV」

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