過酷な合戦に駆り出され、そのたびに殺し殺されのストレスを抱えていた戦国武将。
実際に討死するケースばかりではないにせよ、ストレスや疲労が過度にのしかかるため、一般的に“長生き”というイメージは抱きにくいかもしれません。
しかし、それでも実在します。
80歳どころか90歳を超えただけでなく、あろうことか戦場にまで出ていたご長寿超人たちが。
一体どんな武将が長生きだったのか?
一番の長寿は誰だったのか?
さっそく80代から振り返ってみましょう!
※実は80代は意外と多いので「歴史の表舞台から途中退場する人」に絞って取り上げさせていただきます
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武田信虎 享年81
武田信玄の父親です。

武田信虎/wikipediaより引用
天文十年(1541年)に息子から追放されると、駿河を経由して、その後は京都へ移り住み、天正二年(1574年)まで生きたとされます。
元亀四年(1573年)に信玄のほうが先に亡くなっているほど。
その後、信虎は甲斐へ戻って亡くなったようです。
※以下は武田信虎の関連記事となります(本記事末にもリンクがございます・以下同)
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甲斐の戦国大名・武田信虎の生涯81年~なぜ嫡男の信玄に国外追放されたのか
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尼子経久 享年83
山陰の大名・尼子氏の最盛期を築き上げた人です。

尼子経久/wikipediaより引用
十一カ国もの広大な版図を手に入れた立役者。
しかし跡を継ぐはずだった嫡子の尼子政久が、戦場で流れ矢に当たって急死した辺りから運命が狂い始めます。
経久は、政久の子である孫の尼子詮久(晴久)を後見したものの、天文十年(1541年)、その詮久が毛利氏の本拠・吉田郡山城を攻めて大敗北。
その直後の同年11月13日、経久は月山富田城で亡くなりました。
おそらく晴久に望みをかけて生きていたでしょうから、吉田郡山城の敗北で一気に心身への負荷が高まったのでしょうね……。
さぞ心残りが多かっただろうし、ここで晴久が負けていなかったらもっと長生きできたかもしれません。
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宇喜多秀家 享年83
秀吉に可愛がられ、前田利家の娘・豪姫を妻に迎えたことや五大老の一員となったことで有名な人ですね。

宇喜多秀家/wikipediaより引用
その恩顧もあって関ヶ原では西軍につき、敗戦後に八丈島へ流罪となりました。
当時の秀家はまだ満28歳と若かった上、八丈島の水がよほど合ったらしく、明暦元年(1655年)まで長生きしています。
実家に戻った豪姫が、宇喜多家に対して支援を強く訴えたことも大きかったでしょう。
ちなみに前田家からの支援は明治時代に宇喜多家が赦免されるまで続いたそうです。イイ話ですね。
秀家が八丈島に流されたのは慶長十一年(1606年)4月なのですが、実は慶長十年(1605年)10月と慶長十一年1月にこの島で噴火が起きています。
もしも慶長十年以前に流罪が決まっていたら、秀家は噴火の影響で難儀し、そこで亡くなっていた可能性も否定できません。
彼は「ギリギリのところで最悪の事態を逃れる」という運の持ち主だったのかもしれません。
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というわけで以降、90代部門を見てまいります。
さすがに戦国時代で享年90を超えた人はさすがに多くありませんが、比較的記録がしっかり残っている人が多いのが意外なところです。
鬼庭綱元 享年92
確実な生没年がわかる人の中で御長寿といえばこの人・その壱が鬼庭綱元。
伊達政宗の重臣の一人としてよく知られていますね。
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もちろん優秀な人だからこそなのですが、それ以外に彼は類稀な特徴を持っていました。
綱元の生年は天文十八年(1549年)、没年が寛永十七年(1640年)です。
そして主君である政宗の生没年は永禄十年(1567年)~寛永十三年(1636年)。
つまり「政宗の一生を見届けている」のです。

伊達政宗/wikipediaより引用
長寿な人は他にもたくさんいますが、この特徴を持つ人はかなり限られるでしょう。
しかも綱元と政宗の場合、綱元のほうが18歳も上ですから凄いですよね。
鬼庭家は、代々長命で知られており、さらに老年まで健康体な人が多かったとされています。
綱元の父・良直(左月斎)は73歳で戦場に出て討死していますが、そもそもその年で前線に出ている事自体が驚異的。
綱元は60近くになって突如政宗から隠居させられ、およそ2年後に復帰していますし、鬼庭家ではもはや「生涯現役」が家訓ですね。
いずれにせよ伊達家にとって忠臣が長生きしていることは幸運なことだったでしょう。
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