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石垣の積み方がダサいと笑われる?書評『石垣の名城 完全ガイド(千田嘉博)』

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『石垣の名城 完全ガイド』書評
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石垣について知りたいポイントを網羅!

本書は、そんな石垣についてのより抜き解説だけでは終わりません。

基本からマニアックで深い内容までたっぷり。

「石垣の基礎知識」では、歴史や製作工程、構造の工夫まで、様々な観点から説明されます。

どうやったらあんなデカイ石を運べたのか。あるいは削れたのか。

そういう方法や過程ってなかなか知り得ませんよね。

本書を買うべき理由はこれだと頷くしかありません。

大名と違って名前すら残らない「穴太衆(石垣のプロ集団)」にも、きっとドラマがあったことでしょう。

そういうことが想像できて、石垣への愛着がどんどん湧いてきてしまいます。

 


その愛に覚醒してしまう

本書を読めば、もう石垣愛が覚醒。

最寄りのスポットへ、夜討ち朝駆けをしてでも参上したくなることは必定です。

そんな読者のニーズに応えたかのように、巻末には「全国おすすめ 石垣の名城36」が附属されてます。

このチョイスがもう、流石としか言いようがありません。

それはもう石垣に特化しておりますから、観光地としてはマイナーな城も含まれております。

しかも、見所は石垣ですので、所在地以外はほぼ石垣についてしか書かれていません。

ただ、ディープなだけに情報の深度がすごい!

そうか、そんな見方があるのかと唸らされるものばかりで、過去に自分が訪問した城があると、無念のあまりのけぞりたくなってしまいます。

「うわああ、あの城を見てきたのに、石垣のそんな特徴をじっくり見なかった! 天守閣から景色を見て、あんみつ食べて、お土産買って。なんだか、わかった気になって喜んでいた! 私のバカバカバカバカ!」

そんな無念を抱いてしまった方もご安心。

アクセス情報もバッチリ掲載されておりますから、また行く気が出てきます。

ああ、石垣が見たい!

本書をカバンに入れて、今すぐ石垣を見に行きたい!

読み終えて湧いてきたのは、まさしくそんな感慨です。こんなに石垣愛を噛みしめる日が来るなんて思いませんでした。

皆さんも、本書を手にして石垣愛を燃やしてみませんか。

城の新しい魅力を発見できる、歴史ファンなら必須の一冊です。


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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

【参考】
『石垣の名城 完全ガイド (The New Fifties)→amazon)』

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