ウォリアーズ 歴史を動かした男たち~徳川家康編/huluより引用

徳川家

英国人から見た関ヶ原!BBC版『ウォリアーズ 歴史を動かした男たち~家康編』

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ウォリアーズ 歴史を動かした男たち~家康編
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「忍者」ではなく「ニンジャ」

数ヶ月後、家康が最初の動きを見せます。

ただの移動場面でもエキストラが画面から溢れているほどいて、しかもロケ撮影です。やはり予算の潤沢さにため息が出ます。

場面は、家康の屋敷へ。

黒装束に屋根を降りるその影は「ニンジャ」です。あまりにベタなその動き、これは漢字ので「忍者」ではなく敢えて「ニンジャ」あるいは「ninja」と表記したい。

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今どき日本では東映映画村アトラクションではないと出てこないのではないかと思わせるレベルの「ニンジャ」です。

このニンジャたちが、家康を暗殺しようと忍び込みます。

ニンジャが珍妙なのに、このあとの暗殺未遂シーンの殺陣がBGM、殺陣、演出、全てが決まっていて……うまい。レベルが高いんですよ。

襲撃を防いだのが、鳥居元忠です。家康は「これでやっと寝床に戻れる」と余裕の一言。ニンジャはあっさりと三成配下であると判明します。

現場に駆けつけた秀忠はこう宣言。

「三成の仕業? 奴を殺してやる」

映像化された中では、史上最もキレやすい秀忠ではないでしょうか。

家康はそんな我が子を止めようと画策します。

そしてその策とは?

 

アイエエエエエ!? 三成ゲイシャ? ナンデ!?

家康は碁盤を前にして「武士道とは敵をじらすことだ」と余裕のナレーション。三成を追及しません。

石田三成は読みやすい男。武士ではなく実務家だ。確実に勝てる相手を急いで消す必要はない」

BBC版でも戦が下手だと評価される三成です。

しかし秀忠はおさまらず、なんと三成を襲撃するのです!

この部分の元ネタは【七将襲撃事件】でしょう。

イギリスの視聴者にとってなじみのない七人ものサムライをいきなり出して視聴者を混乱させるわけにはいきません。

このように別人の行動を他の人物が横取りすることがありますが(これは大河でもやる手です)、大筋では史実の流れは変えていません。

そしてこのピンチに際して、三成がとった策が驚き。

女装して脱出し、家康の屋敷に逃げ込むのです。「武士の義をあてにした」との説明。しかも家康は三成に「綺麗に着飾って化粧をすればゲイシャにだってなれますなあ」と嫌味を言います。

時代考証はどうでもいいんです。

ショーグン、ニンジャ、ゲイシャは、きっとイギリス人にとってクールジャパン鉄板コンテンツなんですよ!

ここで家康はしれっと「私が襲われたり、あなたが襲われたり、まったく奇妙なこともあるものですね」と三成に語りかけます。

「ゲームはもうやめましょう」とは三成。

日本の時代劇らしからぬ台詞回しではなく、登場人物は英国流のきつい毒を含んだユーモアでやりとりをしていますが、これが奇妙なクールさを醸し出しています。

家康は三成に佐和山蟄居を命令しました。

さらには「化粧して男遊びでもしろ」とあまりにきつい一言を吐きます。そんな女装ネタでいじめなくても。正直、三成ファンにはお薦めできません。

一方、BBC版でも家康の狸ぶり、陰湿さは健在で。

これが否定的ではなく「巧みな策で専横を強める家康、流石! 戦ではなく政治で解決をはかる!」と肯定的なのが面白いのです。

家康の専横後、東北の上杉氏が反乱を起こしたとの説明が入ります。

家康は反乱の鎮圧は権威を高めるとむしろ喜びます。ただし、家康は秀頼の信任をとりつける必要がありました。

ここで小早川秀秋の登場です。

秀秋は家康に恩義があった、と説明をされます。

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鷹狩りをしながら秀秋に接近する家康。秀秋は五年前の戦(慶長の役のこと)敗走の責任を取らされそうになり、三成によって切腹を迫られていた、と家康が切りだします。

いくら何でも、三成の扱いが悪すぎるのでは……。

秀秋が慶長の役の失態(とはいえ秀秋だけの責任でもないことだったのですが)で減封とされたこと、また朝鮮出兵時は実際に石田三成が諸将から憎まれていたことを脚色したのでしょう。

このとき家康が口添えしたため秀秋は助かったのだと説明されます。

礼を言う秀秋に、家康は「これ以上若者が無益な死を迎えるのは見ていられなかったのです」と語ります。

信康の死をふまえた台詞です。

さらに家康は「誰かが日本をまとめねばならない。それは私と秀秋殿です」とまで持ち上げます。

このあと三成挙兵、秀秋が西軍につくところまで説明され、舞台は伏見攻めへ。

鳥居元忠が、秀秋率いる20倍の敵を前に、忠義を貫く場面が描かれます。

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武士とは何かを語り、見事な死を遂げる元忠。

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秀秋の裏切り方

江戸城の家康は、元忠の死を悼みながら、西へ進む決意を固めます。

史実通り家康と秀忠は別のルートで西を目指すことに。亡き兄・信康の刀を手にした秀忠は、父の期待を胸に進軍するのです。

日本地図も表示され、関ヶ原への道のりが説明されます。

いよいよ関ヶ原。井伊直政は名前つき、ちゃんと赤備えです。

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秀忠は「三成派」の城(真田昌幸の上田城)を攻めあぐねているとの説明。

残念、真田は名前が出てきませんでした。

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家康は我が子を待ちかねています。

「明日は我が子・信康の命日だ……」

決戦前夜、家康はそうつぶやきます。

言われてみればそうだった!

苦い思いで、我が子の死を振り返る家康。

無力だった自分、そのために死んだ無実の我が子。忠義を証明するために死んだ我が子。

家康と直政は、亡き信康に盃を捧げます。

翌日、三成、動く―――。

三成の布陣は圧倒的に有利だったと説明されます。秀秋は松尾山に布陣。三成は秀秋を訪れ、「この戦いが終わったら関白になって欲しい」と持ちかけます。

秀秋はどこか疑いをこめた目で三成を見つめています。

大河ドラマだと情けなさを強調されがちな秀秋ですが、本作ではそうではなく、迷いはあるけれども基本的に聡明な青年として描かれています。

家康と直政の甲冑は正しいのですが、三成と秀秋は異なるのが残念です。

その晩、家康は、合戦に秀忠が間に合わないと悟ります。

ここで秀秋からの書状を受け取る家康。鳥居元忠を殺した秀秋は信頼できないと迷う直政ですが、家康は信じると決意を語ります。

秀秋が誰を裏切ったのか?

面白いのが、日英では逆の関係になっていることです。

日本の大河で秀秋が裏切るのは豊臣です。

一方、BBC版では秀秋が一度裏切ったのは「鳥居元忠を殺すことで家康に対してそうした」という解釈です。

同じ「裏切り者」でも、逆なのです。これはなかなか面白いと思います。

家康は敢えて決戦で秀秋という目に賭ける、ギャンブラーとして描かれます。

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