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【樋口直房】
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秀村の10万石は召し上げられ……
決定的に怪しい点。それは樋口直房の逃亡直後、堀秀村が領地を召し上げられてしまったことです。
つまり10万石を一瞬にして失うと同時に、それは織田信長の下へ返された。
全て、豊臣秀吉の描いた絵図だったら?
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それなら日の出の勢いの羽柴秀吉が長島一向一揆に参加せず、近江に留まった理由も納得できます。
落ち度のない堀秀村を無理に罰して領地を召し上げるより、家老の直房にイチャモンを付けて責任問題にしたほうが、表向きは丸く収まります。樋口直房の逃亡については他の家臣も不審な印象は受けるでしょうが、理由もなく秀村を改易にして10万石を露骨に召し上げるよりはマシ――。
信長を礼賛する『信長公記』が、直房の裏切りをごくわずかな記述で済ませているのも、あまり詳細を突っ込みたくなかったのかもしれません。
領地を失った秀村は、あろうことか秀吉に仕える
まぁ、この手の陰謀論は、大半が眉唾であると我ながら冷笑してしまうのですが、今回ばかりは……と思ってしまうのも率直なところ。
いずれにせよ土地も城も失った堀秀村は、しばらくしてから秀吉に仕え、その後、羽柴秀長に仕えたようで、ここも非情な措置ですよね。
秀村にしてみれば樋口の裏切りは納得のいかない一件だったでしょう。
秀吉が何か細工をしたのではないか? それぐらいの推測は持っていたはず。織田家の他の武将たちも不審に思うかもしれない。
そんな状況下で、秀村自らが羽柴家に仕えれば、樋口直房殺害の一件が『秀吉の罠だったんじゃね?』と家中で囁かれることは減るでしょうし、見方を変えれば「途方に暮れる秀村を救ったのは秀吉だった」という構図にもできる。
10万石を取り戻した織田信長から見てもメリットのある話です。
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それでも羽柴のもとで武士として生きていくしかない秀村。
謀殺計画など無いにしても、なんだか悲しいものがありますね。
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信長公記をはじめから読みたい方は→◆信長公記
長月 七紀・記
【参考】
国史大辞典
『現代語訳 信長公記 (新人物文庫)』(→amazon)
『信長研究の最前線 (歴史新書y 49)』(→amazon)
『織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで (中公新書)』(→amazon)
『信長と消えた家臣たち』(→amazon)
『織田信長家臣人名辞典』(→amazon)
『戦国武将合戦事典』(→amazon)