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本能寺にいた黒人侍~そのとき信長は炎の中へ【戦国浮世絵ANARCHY4】

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明智軍のターゲットである信長に、最初の一撃を与えたのは安田国継と伝わる。

安田国継(天野源右衛門)
本能寺で信長に一番槍を喰らわせた安田国継 15年後の同日に死を選ぶ

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しかし、あまりに多勢に無勢なため、スグに限界も迎える。

弥助も、蘭丸と同様に戦い続けていた。

そして、ついに信長が覚悟を決めると、弥助に向かって声をかける。

「この刀を息子(織田信忠)へ届けよ」

バズーカーではなく後継者の証たる刀を、本能寺から程近い妙覚寺に滞在していた信忠の下へ届ける――それが主君・信長から命じられた最後の仕事であった。

織田信忠
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光秀の前に差し出され南蛮寺へ

敵の手薄な一角を探し、塀を乗り越え、弥助、本能寺の外へ。

通りを避けると、家屋や庭を走りながら妙覚寺を目指していた弥助は、運良く信忠配下の者と合流し、刀を渡すという最後の大仕事を成し遂げる。

そして、そのまま信忠に加勢するため【二条御所の戦い】に参加。

光秀の鉄砲に狙われた二条御所の信忠軍将兵たちは、手勢わずかなこともあり、むなしく散るしかなかった。

信忠も最後には自害を果たし、明智軍に捕らえられた弥助は光秀の前に出されると、そのまま南蛮寺へ送られる。イエズス会の教会堂だった。

かくして弥助の「黒人侍としての生涯」は幕を閉じた――。

謎多き本能寺の変の中に、さらなるミステリアスな人物がいたことに驚きを隠せない方もおられるかもしれない。

まさに事実は小説より奇なり。

上記は『現代語訳 信長公記 (新人物文庫)』(→amazon)や『信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍』(→amazon)をもとに執筆したもので、特に弥助の脱出&逃亡については仮説に則った話も含まれる。

『信長と弥助』の序盤は物語風に記され、やや脚色に強い印象を受けるのである。

しかし、本編は原則的に各種史料の洗い出しに基づき、興味深い一冊にまとまっており、この侍が気になる方は一読をオススメしたい。

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絵・鞘ェもん(ツイッターサイト
文・五十嵐利休

【参考】
国史大辞典
『信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍』(→amazon


 



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