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【魔界転生】
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歴史ファンならニヤリとさせられる場面だらけ
本作は歴史上の人物が多数出演します。
なまじ人物が多いだけに一瞬しか出てこない人物が大半ですが、そのわずか一瞬で「歴史ファンが考える最大公約数」的な場面を切り取るのが見事です。
ガラシャの目の前で他の女とたわむれ、ガラシャが無反応だと激怒する細川忠興。
天草四郎に一瞬で倒されてしまう松平伊豆信綱。
一方で、「転生衆」はあの人物をこんなアレンジをしてよいのか、と驚かされます。
宮本武蔵と宝蔵院胤舜は、吉川英治版およびその漫画化である『バガボンド』等のイメージを正面からブチ壊します。
ここの歴史背景を知らずとも引き込まれる力量を備えた作品ですが、歴史背景を知ればより楽しめます。
大胆に元ネタをリミックスし、つなぎ合わせた楽しみ方があるのです。
大胆な作品を作るためには、基礎体力が大事
本作が大胆な吹っ飛び方をしつつも、歴史ファンをうならせ、高い人気を得たのには、ちゃんとした理由があります。
山田風太郎作品の根底にある価値観や人物像を踏み外さないのです。
前述の通り、ガラシャは「転生衆」加入条件を満たしてはいません。
しかし、その人物像は、山田風太郎作品に描かれたガラシャ像からはみ出していません。山田風太郎作品に登場するガラシャは、聖女としての一面だけではなく、人間らしい邪悪な欲望をちらつかせる女性です。
本作の人物像と一致するのです。
時代劇としての様式美もあります。
千葉真一の柳生十兵衛は、今見ても歴代でも屈指の素晴らしさがあります。
彼があの装束を身につけ、刀を振るうだけでもうっとりとさせられます。
そうした時代劇としての基礎体力だけではなく、斬新な演出も魅力的です。
辻村ジュサブローの案による天草四郎の衣装。
四郎の生首が吹っ飛ぶ場面。
現場の指示で突然入れられたという四郎と霧丸のキスシーン。
ラストシーンの衝撃。
そもそも、なんでこんなに天草四郎がビジュアル系なのか。
今見ても「これはありなのだろうか?」と驚かされます。
特殊効果は現在見るとどうしても安っぽいのですが、逆に現在では出せない迫力もあります。
燃えさかる炎の中での撮影は、実際にセット内で燃やしていました。
火傷を負う出演者も出ました。
「心頭滅却すれば火もまた涼し」
そんな言葉を地でいくような撮影は、良いか悪いかは別として、脱帽させられます。
こうした基本的な作りがしっかりしているからこそ、本作は奇想天外な設定であっても、本格的な作品として鑑賞できるのです。
「歴史人物転生もの」の元祖として、現在においても色褪せない『魔界転生』。
歴史ファンなら是非ともご覧ください。
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著:武者震之助
【参考】
『魔界転生』
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