ドラマ大奥幕末編 感想レビュー第21回

ドラマ10大奥公式サイトより引用

ドラマ10大奥感想あらすじ

ドラマ大奥幕末編 感想レビュー第21回 女将軍と女たちが育てた江戸の町を守る

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ドラマ大奥幕末編 感想レビュー第21回
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この上ない喜びも、出口の見えぬ悲しみもあった

流水紋の裃を見つめる二人。

天璋院は、瀧山が仲野を養子にしたそうだと声をかけます。瀧山にはそれなりの蓄えがあるということ。実在した瀧山も家を立てています。

学問はしないのかとも問いかけます。

阿部正弘にそう希望を語っていましたね。瀧山は阿部を思い出し、因果な話だとふりかえっています。

「さような私が、大奥をみとることになるとは」

天璋院はお万好みの流水紋を見つめ、大奥がなくなることをどう思うか?と思いを馳せています。

存外お喜びかもしれないと瀧山。

大奥のような悲しい場所がなくなることを誰よりも望んでいたのはお万の方かもしれぬ。

天璋院は瀧山に、大奥とは悲しみばかりであったのかと尋ねます。

「いえ、この上ない喜びも、出口の見えぬ悲しみも」

「私もだ」

そう語りあう二人。

思えば、特に幕末編は、毎回、心が抉られるような悲しみがありました。

しかし決して、それだけでもなかった。

仲野は天璋院にそろそろ時間だと告げます。

頭を下げる瀧山は天璋院にこれまでの礼を告げつつ、見送りは控えたいと願いでます。涙を堪えられぬから。

「ではまた、どこかでな」

そう別れを告げ、去って行く天璋院。

鈴の廊下に立ち、歩いていく瀧山。

思えば将軍たちがここを歩きました。

心優しき14代・家茂。

大奥に守られた13代・家定。

赤面を撲滅した11代・家斉。

偉大なる母に引け目を感じつつも全うした9代・家重。

威風堂々たる中興の祖、8代・吉宗。

父の重圧に縛られて、最後にそれから解き放たれた5代・綱吉。

そして大奥に閉じ込められた3代・家光。

家光がお万の方こと有功と歩いたとき、この大奥がどうなるのか、誰が知っていたでしょう。

家光を縛り付け、苦しめたこの場所。その場所は、死を前にした家茂がなんとしても帰りたい、光溢れる癒しの場となっていました。

その鍵を外す瀧山。胸中にあるのは何なのか。

大奥を出て、駕籠に乗ろうとした天璋院が懐中時計で時間を見て、止まっていることに気づきます。

巻いたばかりなのになぜ?

ふと何かを察する天璋院があわてて駆け出し、大奥へと戻ってゆきます。

するとそこには自刃した瀧山の姿がありました。

主人を失った大奥に、土足で乗り込んでくる新政府軍の兵士たち。

家財道具に、流水紋の裃に、『没日録』に、火が放たれてゆきます。

こうして大奥は、各人の心の中にしか存在しなくなってゆくのです。

 

御一新後の道をゆく

明治4年(1871年)――天璋院から胤篤に戻った彼は船の上にいました。

手にしているのは能登の写真。

西郷の歴史捏造計画により、彼女の写真が「天璋院篤姫」として残ることになったようです。

おかげで威厳があるように見えるといたずらっぽく同意を求めると、中澤は「はい」とそっけない。

すると、シルクハットをかぶった瀧山が、いい加減、部屋に戻るよう告げてきます。サンフランシスコはまだ20日ほどかかるとか。

すっかり素に戻り、どこかお気楽な胤篤に対し、瀧山は西郷参議に頼まれたお目付け役として気を揉んでいるようです。

仲野は眼鏡に髭の姿となっている。

なんでも瀧山は、商売で儲けているとか。

日本から西洋へ浮世絵や着物を売り、西洋の洋服や装飾品を買って、今度は日本で売りつける。

往復で二度美味しい商売ですね。学者ではなく、商才を発揮しているようだ。

そこで胤篤は、英語が得意だとアピール。なんでも長崎や横浜で身につけたとかで、実際の福士蒼汰さんも得意ですよね。

ただ、胤篤はそのせいですっからかんになってしまった。

実家には頼らないポリシーのようでして、瀧山にくっついていきたい、雇って欲しいと言うわけです。

瀧山は、自分も英語はできると断るものの、ここで旧主にその態度はいかがなものかと中澤に言われます。

卑劣なようで、明治にはよくあった話だ。中澤は強気な瀧山に、胤篤に大恩があると言います。

実は、瀧山が自刃した時、薩摩藩邸へ運び、救ったのは彼でした。

仲野が兄である蘭方医を呼び、天璋院は馬で薩摩藩邸へ駆けつけていた。福士蒼汰さんの乗馬シーンも描かれました。

仲野の兄・黒木源一郎によると、瀧山は十日ほどで回復すると判断。

この兄弟はあの黒木の子孫ですね。

瀧山が自刃したとき、懐中時計に切っ先が当たり、重傷には至りませんでした。

胤篤から家定に贈られ、二人で手にしていた懐中時計。家定の死後、それを受け取った天璋院が投げ捨てたものを、瀧山は拾い懐に入れていた。

家定の懐中時計が瀧山を守り、天璋院の懐中時計は巻いたはずなのに止まり、異変を知らせるようであった。

二人は同じ時を刻んでいたのかもしれません。

瀧山が、かような形で返すことになるとは一生の不覚だと呟く。まるで家定が救ったような瀧山の命。その不思議な縁に二人は感じ入っています。

瀧山は大奥に殉じようとしました。

鳥籠の中で生きた男として、広い世界で生きることはできないと思いつめてもいた。

「それはみな、同じものではないか」

天璋院も、どう生きればいいのかわからない。徳川の家臣も、大奥の者もそうだった。

それは皆で立ち向かっていかねばならぬのではないかと天璋院は告げます。

仲野は、瀧山が助かったことに、天璋院へ御礼を言います。そのうえで家定の最期を看取った兄と話す場を設けたと言います。

家定の死はどのようなものだったのか?源一郎から聞く天璋院。毒は盛られていないと源一郎は返します。

彼ははっきりと病死であると言います。

家定の顔は黄色くなっていました。

妊婦にみられる黄疸であり、当時の医療では助かりません。

家定はそれを察し、帝王切開はできないかと尋ねますが、とても生きてはいけないと源一郎が返します。

家定は全てを悟りました。

御台に我が子の顔を見せられぬことを詫び、共に冥土へ旅立つ子は優しいと、腹を撫で、慈しむのでした。

「きっと冥土の旅も楽しかろうて。私ばかり、なんだかすまぬの。御台……」

その様子を聞かされる天璋院。

「差し出口ではございますが、どうか、己をお責めにはならないでくださいませ。家定公はあなた様に詫びこそすれ、恨みなどみじんもなかったのですから。願わくばお二人の分まで今生を楽しんでください」

かつて家定も、天璋院にそう告げました。

「そうですね、御一新ですしね」

やっと恨みから解き放たれ、天璋院は泣き笑うのでした。

黒木源一郎役は宮野真守さん。

まさにサプライズ。アニメ版『大奥』で有功を演じています。優しい声音で心を癒す演技がさすがです。

 

大きなことをなさるのは、きっとあなた自身

新たな人生を生きる胤篤は、船の上にいます。

仲野と中澤から軽口を叩かれる瀧山。

一行は日本初の女子学生一行に目を留め、これからは女性も洋装をする時代がくると見通しが語られます。

月岡芳年『遊歩がしたさう 明治年間妻君之風俗』/wikipediaより引用

すると胤篤が「女性の扱いは得意だ」と胸を張り、瀧山がしぶしぶ胤篤を雇うことを認めました。

恩にきると浮かれていると、瀧山のシルクハットが飛ばされてしまいます。

追いかけて拾いに行く胤篤。

寒気がすると困惑する瀧山。

シルクハットは、まだ幼い女子留学生が拾っていました。

歳に似合わずしっかりした彼女を褒めると、せつせつと相手は語り出します。

お姉様方はかわいそうだと言う。まだ6つなのに外国へやられるなんて父はひどいと。

それでも彼女は英語を身につけるなら早い方が良いと聞き、この梅という少女は父に行きたいとせがんだのだとか。

胤篤はまだ6つの方の言葉とは思えぬとニッコリ。きっと将来国を動かすと見込んだのだと励まします。

梅が、父は殿方の妻になるためだと返すと、胤篤は諭すように答えます。

「いいえ! 大きなことをなさるのはきっとあなたご自身かと。きっとそうなります」

「女なのに?」

「梅様。これは誰にも内緒なのですが、あなたにだけはこっそり教えてさしあげましょう。私は将軍の御台所であった男なのです。この国はかつて、代々、女が将軍の座についておったのですよ」

女将軍の御台であった男がそう語り、物語は幕を閉じるのでした。

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