歴史書籍

キングダムファン必読の関連本5冊 史実に触れ背景を知り作品を堪能す

人気漫画『キングダム』。

2019年には実写版映画も公開され、その後の人気もとどまるところを知りません。

 

信を中心として泥臭い連中の熱い人間関係がなんといっても魅力的なのでしょう。今後もまだまだ手に汗握る展開は続きそうです。

そこで!

これを機に原作コミックスだけでなく、史実に基づく時代背景や人物像をおさえてみてはいかがでしょうか?

特に始皇帝は「この一冊!」という良書があり、政を知るのに最適な環境が整っています。

始皇帝の生涯50年 呂不韋や趙姫との関係は?最新研究に基づくまとめ

続きを見る

本稿ではオススメの書籍4冊をご紹介させていただきましょう。

 


『孫子』および『魏武帝孫子』

史実でもフィクション作品でも、始皇帝は嫌われがち。それはなぜか?

なんと言っても儒教的な仁義といった価値観を無視した結果でありましょう。

情けを重視する暇があるなら、戦争の勝利を徹底的に目指すべき――。

そんな超現実的な理論を突き詰めた始皇帝が、参考としたのが『孫子』(→amazon)でした。

キングダム世界観の前提となる書物と言っていいでしょう。

始皇帝も、その配下の将軍達も、あるいいは敵対する者たちも。彼らは皆『孫子』をしっかりと頭に叩き込み、勝利を目指したものです。

日本も例外ではありません。

武田信玄はじめ、多くの戦国武将が学んでおりました。

欧州はナポレオンが読んでいた――そんな説もあるほどで、

ナポレオン1世
ナポレオン1世 2世 3世 4世の生涯をスッキリ解説! 歴史に翻弄された皇帝たち

続きを見る

現在でも、軍人やビジネスパーソンが読むテキストとして、活用されている。恐ろしい一冊です。

実は書物としての『孫子』は、かつて戦乱戦火に巻き込まれ、散逸の危機があったほどです。

それを自らコレクションし、徹底的に注釈を入れて残したのが『三国志』の英雄・曹操でした。

曹操は文人としての才能も凄まじく、例えば以下の文庫に自身の注解を入れた上でまとめられています(タイトルは『魏武帝孫子』ではありませんが同じ内容です)。

当時の人々が、戦争をどう捉え、認識していたのか?

キングダムファンだけでなく、中国史好きならば、読んでおいて絶対に損はない。貴重な内容です。

 


『周―理想化された古代王朝』

始皇帝は、実は暗殺未遂が実に多い人物です。

中国統一を成し遂げたからには、滅ぼされた側の怨恨があって当然ではありますが、そういう単純なことでもないようです。

儒教秩序を無視しすぎ。あまりに冷酷。

そんな批判がつきまといました。

【焚書坑儒】に代表される儒教弾圧の影響もあるでしょう。

そんな始皇帝へのアンチテーゼ、儒教の目指すものとして称揚された周とは何か?

あまりに理想化されているその実像に迫った一冊が、

『周―理想化された古代王朝』(→amazon

です。

こちらについては過去に書評を掲載してますので、手短に申し上げますが。

注目度高まる古代中国の実態とは『周―理想化された古代王朝』著:佐藤信弥

続きを見る

周の実像だけではなく、周フォロワーとして右往左往した結果、最悪の結果を迎える王莽のトホホな屁理屈と転落までカバーしております。

実に勉強になります。

王莽
中国最悪のペテン政治家は王莽か?前漢を滅ぼして「新」を建国→即終了の顛末

続きを見る

 


『中国古代史研究の最前線』

そもそも中国古代史を勉強するとはどういうことなのか。

わかっているようで、わかっちゃいない。

そんな内実を、最新研究をふまえて、ぎゅっと凝縮しているのが本書『中国古代子研究の最前線』(→amazon)です。

こんなに中身があって、かつこのお値段でよいの? というお買得な一冊。

まぁ『キングダム』は面白いと思う。かといって、日本の戦国時代のように時代背景がつかめているわけではない。

どういう時代なのだろう?

そもそもこんな昔のことを、どうやって知るの?

研究と言われても、どうなっているのかわからない。何もかもわからない!

そんなあなたこそ、読むべき一冊です。

最前線というからには、ものすごく高度なところから始まっていたらどうしよう……そんな不安はいりません。読みやすい文章で、しっかりとつかみにゆきます。

こちらも以前に書評を掲載させていただきました。

『中国古代史研究の最前線』キングダム好きにも受験生にもオススメの理由

続きを見る

歴史研究はどういうものなのか。

今、中国古代史において何が争点なのか。

と、過去の研究にあった問題点まで把握できます。

中国史を勉強してみたいという方にもおススメできます。新書プライスでこれが読めるのか……。

ため息つきたくなるほどありがたい、ミッチミチに内容詰まった一冊です。

※続きは【次のページへ】をclick!


次のページへ >



-歴史書籍
-

×