大奥といえば女同士のドロドロ――。
そんな争いが連想されたり、男たちが立ち入れない神聖不可侵の領域のようなイメージがあります。
しかし実際には、時代ごとに割と大きな変化があり、大奥の職制や費用など、組織に関する点が大きく影響しておりました。
例えば慶安4年(1651年)4月24日は、三代将軍・徳川家光の死去に伴い、大奥で大規模な人員整理も行われています。
てなわけで今回は、大奥の女性でトップとなる将軍の正室「御台所(みだいどころ)」を15代すべてまとめてみました。
代々の将軍によって、御台所の扱いはかなり違いがあるんですよ。
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【初代】家康の場合
徳川家康は幕府を作った時点で正室がおりません。混乱の時代なんで仕方ないですね。
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それを踏まえて最初の奥さんは築山殿となります。
今川家にゆかりの深いお姫様で、大河ドラマ『おんな城主 直虎』でも割と重要なポジション(女優の菜々緒さん)。
長男・松平信康と長女・亀姫を産み、その後、悲劇に見舞われます。
通説では織田信長の命令で信康が自害し、築山殿も亡くなりました(最近は、松平信康派と徳川家康派に分かれての権力争いだったという見方が強まっています)。
家康は、その後も天下人を目指し、なんだかんだで20人以上の後妻や側室を持っています。
下記に別記事でマトメておりますのでよろしければご覧ください。
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【二代】秀忠の場合
御台所はお江与の方です。
お江ともいわれる、浅井三姉妹の一人ですね。
三度目の結婚だったこともあり、実家がなく後ろ盾がいない――そんな負い目もあり一番追い詰められた状態だったのがお江与の方です。
徳川秀忠は恐妻家だったといわれています。
が、お江与の方が推していた次男・徳川忠長ではなく、最終的に長男である家光を将軍にしたあたり、実際はそうでもなかった感じがしますね。
なお、秀忠は正式な側室も持っていません。
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【三代】家光の場合
御台所は、鷹司孝子(たかつかさ たかこ)。
公家の鷹司家の出身ですから、文字通りのお姫様でした。
しかし、この夫婦はおそらく徳川将軍家どころか、武家全体を見ても屈指の仲の悪さだったと思われます。
なにせ、一度大奥に入ったのに、徳川家光によって西の丸に追い出されているのです。その後は御台所の呼び名すら取り上げられ、「中の丸殿」と呼ばれました。
二人の仲が険悪だった理由はハッキリしていません。
が、孝子と結婚した頃の家光はまだ20歳で、衆道の気が抜けていなかったと思われる頃合い。
そもそも大奥自体が、家光の女嫌いを改善するために作られたものだといわれていますので、その前から近辺にいたであろう孝子に、家光が興味を示さなかったのも頷けます。
せめて西の丸で、女中たちとのびのび暮らせていたらいいのですが……。
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【四代】家綱の場合
伏見宮貞清親王の第三王女・顕子女王(あきこじょおう)が御台所です。
17歳で輿入れし、19歳のときに大奥へ移りました。
が、37歳で亡くなるまでの間、ほとんど逸話がありません。
徳川家綱は絵画や文学を好み、下々の者への思いやりもある人だったと思われる逸話が多いので、顕子女王を冷遇していた……というのも考えにくい気がします。
ただ、側室との間には子供ができたことがあります。
俗説として「皇族や公家出身の御台所は、子供ができても堕胎させられていた」なんて話がありますが、三代・四代ともに御台所が懐妊しなかったので、そんな噂ができたのかもしれません。
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【五代】綱吉の場合
鷹司家の姫・信子が御台所です。
三代・家光の御台所だった孝子の姪孫(てっそん・大叔母の逆)にあたります。
徳川綱吉との夫婦仲については意見が分かれています。
他の側室に嫉妬し、綱吉の寵愛を自分の派閥の女性にひきつけるため、いろいろやったなんてことも言われてますね。
また、綱吉が亡くなって一ヶ月後に信子自身も亡くなったため、「綱吉は信子に暗殺された」という噂も立ちました。
そのためか、創作物では「綱吉を愛していたからこそ行き過ぎた行動に出た」という表現をされていることが多いです。
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