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【気候変動と源平合戦】
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平家は女や馬を奪う
再び兄の北条宗時にも注目。
彼は平家の横暴に怒っていましたが、その理由が「やつらは女や馬を奪う」というものでした。
女にせよ、馬にせよ、武士として保有するとなれば維持費がかかります。
生活に余裕がなければ、いくら極悪非道な連中だとしても攫ったりはしません。
つまり、平家に味方する連中がリッチな暮らしを手に入れていた。
宗時の怒りはそこへ向いていた。
一方で、弟の北条義時は、主人公らしく平家の横暴に憤るかと思えば、実際はそうでもなく「割と穏やかに暮らせているんだけどな」と考えています。
米の収穫計算を楽しむような義時の性格が表れていますよね。
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当時の人々は気候変動の科学など知りません。
ゆえに、平家が政権を取って、暮らしが上向きになったなぁ……と考えていても全くおかしくはないのです。
そういう意識の差や温度差が、『鎌倉殿の13人』序盤には流れていました。
「別にいいじゃねえか。そこそこいい暮らしできてるし。不満はねえなぁ」
そう思ってしまう人もいる。その一方で、
「けしからん、平家の連中ばかりがうまい汁を吸っているんだ!」
と不公平を感じてしまう層もいる。
平家は平家で、政権をより盤石にするため、皇族との結婚や貿易整備を進めます。
しかし、そこへキッカケとなる一撃が入ります。
以仁王の令旨です。
気候変動によって生活水準の衰えが見え、不満という燃料が静かに溜まってきた時代。
令旨という火種が社会に投げ込まれ、平家滅亡への道が始まるのです。
飢餓の中での戦争
『鎌倉殿の13人』では、コーエーテクモゲームスが3DCG地図を監修していました。
『信長の野望』や『三國志』でもお馴染みであり、だったら『源平合戦』のリメイク版を出さないかなぁ……と思うゲームマニアな方もおられるかもしれません。
家庭用ゲーム機に移植されていないため知名度は低いのですが、実は1994年、 PC−9801ゲーム『源平合戦』がコーエーから発売されていました。
大河ドラマもやっているし、リメイク版があってもよいのでは?
そう期待したくもなりますが、非常に難しい問題もあります。
合戦に関わってくる要素があまりに違いすぎるのです。
弓矢と個人武勇を重視する源平合戦に対し、騎馬や槍などの部隊を指揮する戦国時代。
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そうした戦闘の仕様だけでなく、兵糧問題もありましょう。
ただでさえ少ない食糧の中、戦争自体が禁じ手であり、それでもなし崩し的に始まり続いたのが源平合戦といえます。
一気呵成に攻めたいが、兵糧が足りない。進軍できない!
そんな局面が『鎌倉殿の13人』においても頻出しました。
確かに戦国時代も寒冷期で、食料不足が戦乱を巻き起こしたという指摘があります。
しかし、その頃は数世代にわたる乱世での経験があり、軍にしても、敵地での食糧調達や農地破壊が戦術の一つとして認知され、いわば効率化していました。
コンセンサスがあったんですね。
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一方で源平合戦の時代は、そんなものありません。
ゆえに『信長の野望』システムで『源平合戦』を作ろうとすると、【兵糧コマンド】の設定や考え方が非常に難しい。
兵糧の調達や確保も戦国ゲームを面白くする要素の一つですが、源平合戦の武士たちは常に食料ハードモードの中で戦っていたんですね。
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