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【『べらぼう』感想あらすじレビュー第25回三人の女】
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米よ、どうか降ってこい!
太田南畝と蔦重が、米価のからくりを見ながら江戸の街を歩いてゆきます。
あるとこにゃ米があるってわかんだね。
米を持っている連中の売り惜しみが値を釣り上げていると、南畝も見抜いています。
二人は賑わう店で足を止めます。
町触に従い、真面目に定価販売をする店でした。これだけ混雑するということは、大方の米屋は町触には従っていないと悟る二人。すると、途中で米が品切れになり、怒った客が怒鳴り散らし始めました。
もう無茶苦茶だと語る南畝。初登場のとき、何事もない太平の世を愛でていましたが、その世が崩れたとき、人は自分が暮らしていたあの日々がどれほど素晴らしかったのか、思い知らされるのです。
蔦重は、自分たちにも米価を下げるようなことはできないか?と言います。
米に困ってちゃ本なんて買ってもらえない。自分たちだって苦しくなる。
すると南畝が突然歩みを止め、叫び出しました。
搗(つ)く音に 無限の米を降らせよや
ここに三俵 かしこに五俵
蔦重が戸惑っていると、さらに叫びます。
「言霊よ、こい! 米、こ〜い!」
これに応じ、江戸の民衆も叫び出す。そこで蔦重は何か閃いたようです。
米の不作をふまえて狂歌集を出そう
ていが熱心に作品の系図を作っていると、歌麿がやってきて思わずこう言います。
「これ、系図というより目録ですね」
このセリフは、実際に小道具さんが作ったものを見て、考証さんから言われた言葉を元にしているとか。
スタッフのみなさんが試行錯誤し、一生懸命作っていることがわかってつくづくよい作品ですね。
ていとみの吉はこれにショックを受けます。歌麿は作者と絵師で並べるよりも、内容でつなげたらどうかと提案。
ハッとするていの前で、作者は印にすればいいと筆を持ち、歌麿が筆を入れ始めます。
「やはり、とびきりの才なんですね、絵師さんというのは」
そう納得するてい。
「こんなのよくある工夫ですよ」
あっさりと返答する歌麿。
するとここでドヤドヤと、南畝たちが入ってきました。
蔦重が歌麿に「仕事だ!」と告げ、新顔の狂歌師である宿屋飯盛が挨拶してきます。
仕事とは、なんでも正月に狂歌集を出すようで、歌麿が流石に間に合わないと懸念すると、蔦重はどうにか間に合わせると強気。
米の値を下げるための狂歌集のようです。
正月にめでてえ!と歌を詠んで世に出す寸法だと、南畝がまとめると、「言霊だ!」と歌麿も納得。
蔦重は、自分たちは米一粒作れねえこの世の役立たずだと理解しています。それでもできることはないかと、天に向かって言霊を投げつけることでした。
しかし、歌だけではめでたさに欠ける。てなわけで、絵もぶつけ、黄表紙仕立ての狂歌集にするのだとか。
こう言われると歌麿もやるしかないと、決意を固めるのでした。
みの吉はその思いつきに感心し、ていもこう言います。
「本当によくあんなこと思いつきますよね」
目を泳がせてしまうていです。
そのころ江戸城では、米価高騰への意見が幕閣に届く由々しき事態となっておりました。
紀州徳川家・徳川治貞が囲い米について問いただしに来たのです。要は、備蓄米を市中に流せ、ってことですね。
米の停滞について責め立てられる意次には「足軽あがり」というおなじみの嫌味もついてきます。
意次は必ずや米価を下げるとしか返しようがありません。
そんな父の姿をじっと見ている意知でした。
田沼意知まで蔦重を仰ぎ見るようになった
狂歌集の仕事に取り組んでいると、歌麿が絵を直すようにと蔦重に指示されます。
どうやら絵が悪いのではなく、歌の内容と合わず、修正させられる様子。
狂歌師の入銀だと説明され、歌の都合で絵を描き直しさせられるのが納得できないのか、歌麿が不満そうな様子を見せます。
とはいえ、蔦重がいなくなると、ちょっと嬉しそうな笑みを見せているのですが……。
そこへ花雲助こと田沼意次がやってきました。
つよがすかさず髪の色を褒めながら近寄ると、蔦重は慌てて母親を引っ込めます。
意知は一体何の用事なのか?
すると蔦重に対し、米価を下げるにはどうすべきかと相談してきました。
米価上昇は商人によるものだと見抜き、商人たちに米価を下げさせる秘策を聞いてくるのです。
蔦重は、黄表紙仕立ての歳旦狂歌集を見せます。
言霊で値を下げる狂歌集に意知も一首載せないか?とセールス。
よく思いつくなぁ……と意知が呆れていると、そうでもしないと生きてこられなかったと答えます。
地本問屋にも仲間があり、そこで認められないと市中で本を流せない。
意知は「仲間があるゆえ本を流せぬ」という言葉に反応し始め、蔦重がさらに「仲間なんてぶっ潰れりゃいい、そうすりゃ本を勝手に売れる」と続けると、ハッとします。
「恩に着るぞ蔦重! この礼はそのうち! おっ、ありがた山だ!」
笑みを浮かべながら去ってゆく意知。
ていがやってきて一礼すると、今の方は相当偉いお武家様だと戸惑っています。狂歌をしているとそういう繋がりもできると、蔦重はさらりと認めるのでした。
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