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【『光る君へ』感想あらすじレビュー第32回「誰がために書く」】
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伊周の復帰、月食、火災、八咫鏡消失
帝はついに伊周を陣定に召し出す宣旨を下しました。
実資は言葉がないと嘆いています。藤原顕光は左大臣は何をしているのかと言い、帝をお止めできるのは左大臣だけだと言います。
それに対し道綱は呆れています。左大臣ではなく右大臣がお諌めしてもよいではないかと正論を言い、顕光を困惑させるのです。
実資は、言葉もない、不吉なことが起きねばいいと漏らし、道長も困惑しているようです。
その夜、皆既月食が起きました。
闇を恐れ、内裏は静まり返る中、悲鳴があがります。
日食が終わるころ、温明殿と綾綺殿の間から火が起こり、瞬く間に燃え広がっていったのです。
帝は藤壺に向かいます。敦康親王はもう逃げていて、彰子が残っています。
「何をしておる!」
帝がそういうと、彰子はお上がいかがしたかと思っていたと言います。帝は逃げるよう促すと、途中で転んでしまう彰子。
「大事ないか?」
そうたずねる帝に、彰子は安堵感を噛み締めているように見えます。
東宮の居貞親王(後の三条天皇)は、ある知らせを聞き、喜んでいます。
三種の神器である八咫鏡が今回の火災で消失したのです。
賢所まで火が回って間に合わなかったと苦い顔でつげ頭を下げる道長。
居貞親王は、伊周を戻した祟りだと浮かれ、同意を求めますが、道長は八咫鏡消失は帝も傷ついているのだと嗜めます。
東宮が帝を責めるわけがないと言いながら、居貞親王は「月食、火事、八咫鏡消失が重なって祟りでないわけがない」と語気を強める。
天が帝に玉座を降りろと言うておる!と興奮している。
道長は帝はまだ若く退位など考えていないというと、居貞親王は察したような顔をします。
帝に彰子を入内させているからには、帝の退位は困るのだろう。それでも居貞親王は、帝の世は長く続くまいと浮かれるばかりなのでした。
道長は、帝に中宮を救ったお礼を言います。
帝は、中宮を救うのは当然だと言い、道長のことは評価しつつも、中宮のことばかりを言われると疲れると下がらせます。
そして、伊周とすれ違う。
伊周は帝に対し、今回は炎の周りが早い、火をつけたものが内裏にいると確信を込めて言います。
陣定に伊周が戻ったことが不満だろうと、放火は帝の命を危うくしている。
そんな者たちは信じられない。帝にとって信ずるに値するのは私だけだと確信を込めて語るのでした。
三条天皇(居貞親王)が道長と一条天皇の陰で過ごした41年の生涯を振り返る
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道長の愛を求めて散る火花
藤原行成が火災の不始末を報告しています。
月食を恐れて蔵人も、中宮の側の女房も不在であったと弁明に努めると、道長は「その話はもうよい!」とイラ立ちながら言い放ちます。
そしてすぐさま謝る道長に対し、行成は、敦康親王の別当として申し上げねばならないと生真面目に報告するのでした。
と、そこへ藤原隆家がやってきます。
「左大臣と話したい」とズケズケ入ってくると、今度は行成が苛立ちを隠しません。
隆家は、家の再興よりも、志高い政がしたいのだと語りますが、「だまされないぞ」と警戒心をあらわにする行成。
「あなたに話していない」と隆家が答えると、今度は行成が、伊周は帝、隆家は道長を籠絡する企みであろうと持論を展開します。
「なんだと!」
さがな者(乱暴者)として知られる隆家が苛立ち、二人は一触即発の事態へ。
「そこまでとせよ!」
道長が止めに入り、行成をさがらせました。
しょんぼりとしながら去ってゆく行成をみて、隆家はこう言います。
「あのお人は左大臣様のことが好きなんですかね」
これはなかなか核心をついています。
道長は自分を好きになってくる倫子、明子、行成にはそっけなく、そうでもない相手に心を許しているようにも思えるのです。
なかなか罪つくりな男ですね。倫子と明子が道長の枕元で火花を散らしていたことを思い出しました。
そして、ここでの行成vs隆家も面白い構図です。
二人は、どちらも太宰府に赴きますが、異民族による襲撃である【刀伊の入寇】の際、行成が太宰府にいたら、隆家のように対応できたかどうか。
行成が道長が大好きだというのも実際その通りです。
二人はほぼ同時期に没していますが、周りは道長に気を取られすぎて行成のことは気づかれなかったとか。運命の皮肉でしょうか。
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