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『どうする家康』感想あらすじレビュー第3回「三河平定戦」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第3回「三河平定戦」
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どうするジェンダー観

瀬名がわざとらしく産気づく場面がありました。昔のドラマで見たようなベタな演出ですね。

出産をやるなとは言いません。

当時の風習を描くようであればむしろおもしろい。

『鎌倉殿の13人』では、険しい顔をすれば男の子が生まれると周囲が言うと、政子が精一杯顔を険しくする場面がありました。

それが瀬名の場合、まるでベビー用品のモデル状態だ。

戦国時代でなく、現代人、しかもちょっと古い姿と言いましょうか。

出迎えるなら綺麗な服を――そう呼びかける瀬名は微笑ましいようで、現代的です。夫が生死をかけて合戦に出ているならば、負傷の有無や程度は気にならないのか?

こうした場面で、我が子を心配する年老いた母がいないのも不自然。

別に瀬名が悪いのではなく、陳腐すぎて言葉が詰まってしまいます。

要は、このドラマの女性像って、近代以降の“良妻賢母”、“チアリーダー”型なんですよね。

近代以降、男性は戦場に女性がいないものとして考えました。

典型例が『青天を衝け』主人公である渋沢栄一です。

彼と同年代のスナイパー・山本八重の存在なぞ無視し、「女は従軍できないから」と、男女差別を肯定しました。

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同時代の従軍女性を無視しているところも、渋沢栄一らしい粗雑さですが、これは近代社会の家父長制を踏まえれば当然の帰結ともいえるでしょう。

中世までは従軍女性も存在しました。男女双方が協力せねば勝てない時代でした。

それが近世以降、女性は戦わなかったことにされました。

ゆえに歴史研究でも、勘違いや間違いは起こります。

例えばバイキング。

墓の発掘で出てきた副葬品からして、この主は軍隊の指揮官クラスのように見える、そして「バイキングを率いた男性司令官の墓」と認識される。

しかし「どうにも骨格が女性のものでは?」という疑念も消えない。発掘当時からそんな指摘はあったけれども、修正されるケースは少なかった。

要するに偏見が歴史研究に反映されていたわけです。

このドラマは、そういう偏見ありきの女性像をせっせと再生産しているように思えてなりません。

寿桂尼の扱いからしてそうでしょう。

寿桂尼
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あれだけ今川家を大きく取り扱っていながら、義元亡き後の同家を束ねた寿桂尼がろくに出てこない時点で察せられます。

寿桂尼のように賢い女性で、うるさい“ババア”には嫌悪感でもあるのでしょうか。あるいは視聴者の需要がないとでも?

いずれにせよ、こんな時代錯誤でしょうもない女性像を、『大奥』と同時に放送できることが信じられません。

 

どうする公私混同

元康を甥っ子呼ばわりする水野信元。

瀬名と我が子を思ってビエビエ大騒ぎする元康。

この方たちは公私混同が甚だしく指揮官としていかがなものでしょう。

『麒麟がくる』では、桶狭間の戦いにおいて、於大の方経由で寝返りを進める工作が描かれました。

あのときの元康は、母の書状と菊丸の報告に感動はしますが、それはそれ、これはこれとキッパリ断った。

『鎌倉殿の13人』では、巻狩りで頼家が獲物を仕留めた際、政子はそっけない態度をとりました。

『吾妻鏡』に準拠した描写です。

しかし彼女はその後、周囲に自分の身内しかいないところで大はしゃぎ。本心では嬉しかったけれど、家臣たちがいる前では平静を取り繕っていたのですね。

建前と本音、史書の記録とドラマの創作を混ぜ合わせた、巧みな脚本でした。

それが今回はどうか。

「やっぱ家族って大事だよね〜わかるでしょ? 去年みたいに身内だろうと殺すなんて意味わかんないし」とでも言いたげな、思ったことをそのまんまべらべら明らかにする描き方です。

人の上に立つ者がそれでどうする!

身内への親愛を根拠に行動していているのを自ら大っぴらにしていたら大問題ですよ。それとも、まともな人が誰もいないドラマなのですか?

 

どうするVFX

雑な馬についての擁護はうんざり。

◆ NHK総局長 「どうする家康」のCG乗馬シーンに理解求める「今は過程」(→link

聞き飽きましたが、敢えてピックアップしましょう。

「天候に左右されて、1日に取れる時間もすごく短かったり、制限ができるなかでどうしたら持続可能な時代劇の撮影方法を開発できるのかと取り組んでいるのが、バーチャルプロダクション」と解説した。

これはわかっています。『鎌倉殿の13人』でも多用していましたね。でも、概ね許容範囲でした。

それが今年はもうコースギリギリどころか完全にアウト! 大暴投です。

於大の方が出ていく場面のわざとらしさは何ですか?

これが今生の別れと理解したようにギャーギャー泣く赤ん坊。

キョトンとしていてもおかしくないでしょうに。

振り返ったらすぐその泣き顔が見えるよう、不自然なまでに竹千代を押し出す見送る側。距離も近い。

そして見た瞬間にわかるCG。

もう何がなにやら。

 

どうする合戦

それでも気合の入った合戦シーンがあれば良い。同じ戦国ものでも、『麒麟がくる』は序盤から期待を裏切らなかった。今年はどうする?

・兵士の走り方が変。統制が無茶苦茶。弱い軍隊だと見せたいから、わざとそうしている?

・敗戦時の死屍累々の場面が不自然

・全員綺麗に死んでますが、リアリティを出したいなら、武具が剥がれているとか、あるいは呻き声をあげている瀕死の者がいるとか、それにとどめを指す敵がいるとか、表現方法はいくらでもある

・そういうディテールが甘いのでやっつけ感ばかり

・背中がガラ空きのまま、槍で相手を押していく本多忠勝って、ゲームじゃないんですよ。あんな背中を見せていくなんて、強さが全くわからない。殺陣もおかしい

・殺陣といえば、動ける岡田准一さんであるにも関わらず、ちゃんと当時の剣術の動きをしないせいで台無しになっています

・岡田信長の動きは江戸、そして明治以降、剣劇として映える動きです。けれども実戦的ではない。『麒麟がくる』ではちゃんとできていたのに……

・家臣団の喧嘩も、高校を舞台にしたヤンキー漫画のようで何が何やら。どうせ誰一人として死なないでしょ?と落ち着いて見ていられる安心仕様ですね

・戦死者の名前をいちいちカウントして、「こんなに死んだ」と演出する

・実に現代人が考えた戦争演出ですね。アニメかゲームじゃないんだから、当時は戦死者をあれほどすんなり把握できません。去年あんなにできてた生首描写はどうしましたか?

全体的にゲームのようで何がなにやら。

戦国ゲームをやりたい人は、大河など見ず、ゲームに直行するでしょうよ。

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