どうする家康感想あらすじレビュー

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第3回「三河平定戦」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第3回「三河平定戦」
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どうする“クィア・ベイティング”批判

『鎌倉殿の13人』のファンダムは比較的穏やかとはいえ、不快感が募るところもありました。

それは源実朝の同性愛描写です。

「歴戦の腐女子は萌えないし〜」

「NHKもウケ狙いでBL?」

そんな意見にうんざりしました。

あの描写には配慮がされています。

今年の信長のように薄っぺらい出来損ないBLゲーのような“ドS俺様系”は出てこない。

実朝と泰時の間には親愛がある。

ただ、泰時は妻以外との親密な関係を築けない。そう誠意をもって描いていた。それが通じないファンダムは残念です。

今年は?

典型的なクィア・ベイティングでしょう。ウケ狙いだけ考えて、性的少数者を描く責任感なんて一切ありません。

先週の感想やニュースには、ニタニタしながら「NHKも BLか〜ww」と書くようなものが多くて辟易しました。

ブロマンスドラマなら、海外に力作名作が大量にあるんです。それこそ“歴戦の腐女子”なら大河に見切りをつけてそちらに行くかもしれません。

なんせ今年はボーイズラブ狙いにせよ、描写があまりに時代錯誤的です。

 

どうするポリアンナ

まだ第3回放送を終えたばかりなのに、早くも叩きモードに入ったメディアも出ています。

中でもサイゾーさんは容赦がない。

◆松本潤『どうする家康』が大河「ワースト2位」発進でメディアはヨイショに四苦八苦?(→link

◆松本潤「脱糞伝説」で格上げる? 初回視聴率15%台発進『どうする家康』の最難所(→link

サイゾーは、何かといわくつきなメディアではありますが、それだけにジャニーズへの忖度ない記事を書ける。

それは日刊ゲンダイも同じですね。

◆NHKドラマ10「大奥」は大河「どうする家康」より痛快明快 これぞ時代劇!(→link

叩いた方がPV(閲覧数)を稼げるならそうなるでしょうね。

『鎌倉殿の13人』で大河は話題性を証明して、そして今年の出来がこれですから、叩くだけのボーナスタイムに突入です。

週刊誌系・スポーツ紙系メディアも次々に来ています。

◆『どうする家康』第2話で早くも“脱落”する視聴者続出「このノリについて行けない」「時代考証雑すぎないか」(→link

◆ 「どうする家康」より騎馬シーンがリアル 「大奥」に「裏大河」を期待する声(→link

むろん肯定的な記事もあります。

◆虎なのか兎なのか?「恐怖の信長」と元康の関係が面白い! そして「CG馬」への期待を語ろう【どうする家康 満喫リポート】2(→link

ものごとの微細な良い面だけを見て、悪い面から目を逸らすポリアンナ症候群の観察にはうってつけと言いましょうか。

特に、持ち上げの凄まじいのが「馬のVFX」部分について。

I:目に慣れないうちは違和感を覚える方もいるかもしれません。第1回では特に馬のシーンに違和感を覚えた方がいたようです。

A:ああいうシーンは以前ならば、演者の上半身のみの描写が多かったのです。本作ではすでに2022年の3月にCGで再現した馬の画像がTwitterの公式アカウントで紹介されていました。私は、その「第1歩」を共有できたんだとわくわくしながら見ていました。

I:なるほど。歴史のスタートに立ち会えたという認識なんですね。

A:はい。これまで大河ドラマの合戦シーンのロケで投入される馬は多くて10数頭。おそらく20頭まではいっていないと思います。その頭数をカメラワークでたくさんいるように見せるのは大変だったと思います。しかし、「CG馬技術」が進化すれば、一大戦国合戦絵巻を展開することもやがて可能になるでしょう。真剣に期待しています。

I:進化していく道程を見られるということになると、それは楽しみになりますね。

インタビュアーが「違和感あったようです」と指摘しているのに対し「以前なら上半身ばかりだったのに今回は馬の画像がある」と、謎の返答を記されています。

たとえ馬の全身が映ったところで、それがギクシャクとして作り物にしか見えなかったら意味がない――視聴者の違和感とはそこにあったのではないでしょうか?

海外ドラマでは完成形が見られます。

なのになぜ、そんな苦行をせねばならないのでしょう。

こんな体たらくだからでしょうか。

ポリアンナの数も減っているようで、雑誌広告などでは木村拓哉さん主演の映画『レジェンド・アンド・バタフライ』をプッシュするように切り替わっているようにも感じます。

本作と同じ古沢良太氏が脚本家であり、映画と大河のダブル効果を狙って当てが外れたようにも思える。

そんな広告代理店じみたことをせず、正攻法で挑めないのでしょうか?

 

月明星稀

私はずっと思っていたことがあります。

このドラマは『青天を衝け』に似ている――とは、大手メディアでもそれを認めるような記述があって勇気づけられた思いです。

◆『どうする家康』生きる決意をした“家康”松本潤、光の演出で心境の変化を表現(→link

以下の部分です。

第2回の光の演出を担当した村橋直樹氏は『青天を衝け』でも光に凝っていた。

例えば、第16回、徳川幕府、最後の将軍・慶喜(草なぎ剛)が「私は輝きが過ぎるんだ」と言う。

そのため慶喜はこれまでずっと目立たぬように輝きを消してきたが、そうしてもなお消せない将軍の輝きを、演出の村橋氏は照明を強烈に当てて強調していた。

何かと癖が強い照明という繋がりもありましたね。

そして、上に立つ者の覚悟が全くない、ペラペラの葛藤も共通点だと思えました。

確かにコーエーテクモのステータス値で一致しそうな家康像って『青天を衝け』と本作くらいですよね。家康でなくて、もっと別の弱小武将に釣り合う数値ですけど。

あの家康像は斬新だなんて囃し立てられる向きもありましたが、実際は「視聴率低下を招いていた」なんて分析もありましたね。

しかし改めて「私は輝きが過ぎるんだ」という徳川慶喜のセリフはひどい。

同時代人から「二心殿」(コロコロ意見変えすぎ!)というありがたくないあだ名で呼ばれ、何かあればすぐ誰かの影に隠れ、そのくせ手柄だけは乗っ取る。

困った時は周囲に投げっぱなし。

それで輝きが強いという自己認識をしているとセリフに書くってどういう神経をしたドラマだったのでしょう……。幕末史にそもそも興味がなかったんですかね。

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そもそも、個人の生きる決意で進退を決めるなんて愚の骨頂ですよ。

将兵を抱えているのに、そんな個人的な感情でウロウロされたら死人が出ます。その責任をどう取るおつもりで?

「私は輝きが過ぎるんだ」のなんだの言ってないで、もっと天下への志を込めろと言いたい。

月明らかに星稀(まれ)に 烏鵲(うじゃく)南に飛ぶ

樹を繞(めぐ)ること 三匝(さんそう) 何(いず)れの枝にか依(よ)るべき

月が輝くと星の光は見えなくなる 鳥は南へ飛んでゆく

木の周りを三度めぐって どの枝に宿るべきかわからない

曹操『短歌行』です。

詠んだ時期は不明とはいえ、彼が相当強くなってからでしょう。

実力が伴ったうえで「俺強すぎてみんなどうすればいいかわからないやん。ならおいで、うちで採用したるわ」と自信たっぷりに詩にして詠んでいるわけです。

光でペカペカ補うのではなく、そういうセリフやシチュエーションは期待できないんですかね。

「月明星稀」という四文字を使うだけでいいんです。

家康は曹操ゆかりの銅雀硯を使っていたそうですし……とかなんとか申し上げたって仕方ないですかね。

『麒麟がくる』での漢籍引用があまり反応されないどころか「生理的にムカつく」「受け付けない」「わけわかんない」なんて反応もありました。

それどころか「麒麟来ないじゃん!」という、おそろしく低レベルなツッコミもありました。

麒麟の概念を考えれば、最終回時点でこないことが正解でしたが、

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そんな回りくどいことは邪魔くさいんですかね。

『どうする家康』は、クオリティやスタンスでは『青天を衝け』と一致しながら、初動ミスのため戦略で大ゴケして今後どうなるか?

さあどうするメディア?

ワタシみたいにぃ、サバサバしとくぅ?

『ワタシってサバサバしてるから』の3週目、『大奥』3回目に期待しています。

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文:武者震之助note

【参考】
どうする家康/公式サイト

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