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『どうする家康』感想あらすじレビュー第6回「続・瀬名奪還作戦」

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どうする“プリンスとプリンセス”

プリンスがプリンセスを助ける――そんなプロットをじっくり描きたかったのでしょう。

女性向けだとしたら、その見立ては正しいのか。

ディズニーアニメ『アナと雪の女王』が公開された後、自立したヒロインの姿に怒りを覚える男性は少なからず存在しました。

とある映画雑誌でも、ともかく罵倒されていて圧巻でした。

そんな怒りの代表格がこちらでしょう。

◆「アナと雪の女王」のクリストフはなぜ業者扱いなのか? 夏野剛×黒瀬陽平×東浩紀の3氏が男性視点で新解釈(→link

その理由として、文学観点からビシッと反論されています。

◆どうして『アナと雪の女王』のクリストフには財産がないのか〜女相続人の文芸史(注意:山ほどネタバレあり)(→link

私は理解できなくもありません。

ああした話に激怒してしまう男性とは、マリオがピーチ姫を救うゲームで遊び、ケンシロウがユリアを奪還するために戦う漫画を読んで育ってきた。

そして、カッコいい男性とは、わきまえた女を助けるものだとインプットされているのでしょう。

そうして生きてきて、いざ、自分がお姫様を救う年齢になったとき。

そうしたコンテンツを振りまいてきたディズニーから「ありのままの姿見せるのよ」と言われたら……自分の半生と価値観にまで氷漬けにされたような気持ちになり、それが怒りとして放出したのではないでしょうか。

それを批評でバンバンぶつけるのも、ストレス解消の手のひとつ。

もうひとつは、自分が手にした権力を使うことでしょう。

わきまえたお姫様を、どこかグズだけど性格はよい、自分の分身みたいな王子が救う。そうしたコンテンツを見てSNSでバズらせて心の癒しを得る。いわばセラピーなんですね。

だって作り手が“プリンス”と言っちゃってるもんな。

◆「どうする家康」第1回「どうする桶狭間」“か弱きプリンス”徳川家康に込められた思いとは【大河ドラマコラム】(→link

徳川家康がプリンスってなんなんですか?

本作の家康が徹底して情けないのも、もしかしたら感情移入要素なんですかね。

『麒麟がくる』の光秀みたいに漢籍ペラペラ引用するヤツはなんかムカつくし、『鎌倉殿の13人』の義時は政子に負けっぱなしでなんかムカつくし。

あー、そろそろ大河で癒しが見てえ!『青天を衝け』みたいなやつ!

そんなところではありませんか?

そんな仲間内だけで通じるようなセラピーなんて、居心地が悪いだけです。

◆「どうする家康」が“居心地の悪い”ドラマに感じるのはなんで 大河初心者の“見た蔵”とマニアの“同門センパイ”が第2回を大胆レビュー!(→link

 


どうするダジャレ

本作のオープニング曲はどう思われますでしょうか。

それ自体に物語があり、緊張感を掻き立てられた『鎌倉殿の13人』と比べると、やけにあっさりしていて、画面が白いまま終わってしまう。覚えているのは、最後にピカピカする家康の甲冑だけ。

そんな印象があったのですが、第5回放送では、素晴らしい仕掛があったそうですよ。

◆【どうする家康】オープニングアニメに粋なダジャレ、視聴者興味津々「第5話見て納得」(→link

タイトルロゴの下に「鶏」と「銭」が描かれていて、要は、本多正信服部半蔵を表していたとか。

この鶏は劇中に登場した本田正信が鶏を飼っていたこと、後に鷹匠として徳川氏に仕えたという史実を反映している。一方、銭は同じく劇中で正信が銭を与えた相手……、それは半蔵だ。つまり、嫌われ者の正信が、忍者集団服部一党の頭領である半蔵に銭を与えて瀬名奪還作戦に参加させる、という第5話のストーリーが凝縮されていたのだ。さらに驚愕すべきは鶏が生んだ銭が計8枚だったこと。「8」+「鶏(トリ)」で「ハチ・トリ」→「服部」となる。まさに遊び心満点のダジャレだ。

著者さんはなんだか盛り上がっていらっしゃいますが、そんなダジャレに凝るより、それだけで見たくなるオープニングにして欲しいです。

 


どうする祭り

大河といえば、ゆかりの俳優が地元の祭りに参加することも風物詩です。

今年は?

◆静岡まつりの大御所・家康役にココリコ田中直樹さんと別所哲也さん コロナ禍前と同じ規模で開催へ(→link

今川氏真役の溝端淳平さんは調整中だそうです。

撮影スケジュールもあるとは思いますが、やはり寂しいですよね。

昨年は8月でもこの盛り上がりでしたから。

◆「三嶋大祭り」が3年ぶり始まる 頼朝役の大泉洋さんらが雄姿(→link

 

どうするポリアンナ! さては「伏線回収」だな

伏線回収とは?

後の展開に活かすため、あらかじめ忍ばせておいた要素を、後の展開で意図通りに活用することを指します。

ですので普通は投げっぱなしはせず、必ず回収する。

例えば『麒麟がくる』の第1回に注目しますと、駒が光秀に、自分を助けてくれた武士が「麒麟がくる」と語ったと告げました。

実はこの武士とは光秀の亡父であり、かつ、光秀が麒麟が到来する世、つまりは孔子が理想とする仁ある世を追い続けるという伏線でもありました。

『鎌倉殿の13人』は、ミステリ好きの三谷幸喜さんだけに豪華でした。

まさかタイトルが指す「鎌倉殿の13人」がダブルミーニングだったとは! と、最終回で驚愕された方も多いかと思われます。

しかし、どうにも近年は「フラグ回収」、要は、お約束展開を指すようにも思えてきます。

「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ……」

こういうセリフが出るとSNSでケラケラ笑いだす、そんな反応です。

この手の単純なフラグ回収はSNSと相性がいい。視聴者のリアクションを引き出す即効性の薬ですね。

「フラグ回収」を「伏線回収」といい、バナナの皮を踏んづけて転ぶ人物が大量に出てくるだけでもてはやす。そんなネットニュースを山ほど見ました。

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』です。本作もその手法を取り入れたのでしょうか。

◆「どうする家康」“伏線回収”にネット感嘆も「鮮やか」本多正信“不安的中”「策が漏れては…」(→link

私がネットニュースで警戒するキーワードは

「伏線回収」
「ロス」
「神回」

です。

中身がない展開でも、SNSでこういう書き込みを拾って集めれば、「ネット大興奮!」と見出しがつけられます。

ただし、この手の記事は書き手が心底から興奮している時の熱量が足りない。

いずれChatGPTで同様の記事が量産されるかもしれませんね。

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