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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第6回「続・瀬名奪還作戦」】
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どうする所作指導
毎回、指摘していて我ながら辟易としますが、武士のように戦闘が身に染みている人は立ち姿からして異なります。
即座に臨戦態勢を取れるようにしている。
五代友厚の銅像が好例で、洋装でありながら立っているポーズはジゲン流特有のものをしています。
その点、本作はどうにもおかしい。
どれだけ妙なカッコつけをしていても、所作指導がぐだぐだでは意味がないでしょう。
『鎌倉殿の13人』では、出演者のみなさんが所作指導の先生のことをよく語られていて、義経役の菅田将暉さんも、政子に膝枕する場面について触れていました。
そういう何気ないシーンですら指導があったのです。
それが今年はどうにもおかしい。
手裏剣ひとつとっても、ああいう投げ方だと命中しないと思います。そもそも、ああいう手裏剣を実戦に使っていたのかも怪しいものですが。
なぜ『麒麟がくる』の菊丸の後に、本作のニンニン忍者となってしまうのでしょう。
どうする何もしない主人公
現在放映中の朝ドラ『舞いあがれ』は不思議な作品です。
もう終わりが見えてきたのに、ヒロインは何がしたいかわからないとおずおずと言う。
工場の切り盛りは母親がしている。脇役の恋愛模様をぬぼーっと見守る。
要は動かないヒロインです。
そのくせ、何かいいことがあると「やったね舞ちゃん!」と周囲が崇める。
要は主人公補正だけの存在であり、本作の元康もそうでしょう。
報告聞くばかりで自らは動かず汗もかかない。おまけに戦場からは逃げ出そうとしていたし、演じる俳優さんに対して失礼ではありませんか。
『麒麟がくる』の光秀。
『鎌倉殿の13人』の義時。
この二人は、癖の強い脇に「食われがち」だとして、演じる側も悩んでいたと言います。
そりゃあ坂東彌十郎さんの北条時政とか、佐藤二朗さんの比企能員とか、吉田鋼太郎さんの松永久秀とかに囲まれたら、主役も大変ですよね。
だからこそ、光秀と義時の二人には見どころがあった。歴史の裏できっちり動いていた。
では、この家康は?
撮影に手間のかかる、つまりは見せ場となるシーンを避けているとすら感じてしまいます。
印象的なのは、人形遊びや妻とイチャイチャする場面ばかり。
命懸けの戦場では我が身可愛さで逃げ惑うほど無責任だったのに、要所要所で綺麗事ばかり言わせている。
失敗は誰かのせいにして、成功は自分のおかげだと言い張るリーダーに、誰がついていくのでしょう?
そうかと思えば、こんなネットニュースもありました。
◆NHK「どうする家康」元康「命懸けで働いておるものを笑うな!」が名言と話題に…視聴者「胸に刻んでおきたい」「全社会人にまで響いた」(→link)
元康のセリフが名言だったそうです。
彼の行動そのもので判断せず、なんだかいい雰囲気っぽい言葉だけに酔ってしまう――まるで、なにかに洗脳されてしまうような危険性すら感じてしまいます。
どうするフェチズム
なぜ瀬名は、おんぶ紐をつけているのか?
当時あったか、ないのか、といった問題ではありません。彼女ほどの身分ならば、侍女が子を抱いているということも考えられます。
にもかかわらず、彼女のおんぶ姿を強調するような見せ方が、一種のフェチシズムを感じさせるんですよね。
公式サイトなどをはじめ、事前宣伝でも散々その写真が使われています。
どうにもこのドラマはくノ一といい、悪ふざけのようにムフフ要素を入れているように思える。
氏真が瀬名を「夜伽役」にすると迫るところも、サービス狙いとしか思えませんでした。
有村架純さんになんてことをさせているんですか?
どうする臭い決め台詞
死ぬ間際、情感たっぷりに決め台詞を言うのが本作のポイントのようです。
しかし、このせいでテンポが犠牲になっていませんか。
ナレなんとかというのは、別に演出上の都合ならば問題ないと思います。
家康の生涯ならば全てを描ききれるわけがないので、当然ながら取捨選択はある。
しかし、盛り上げノルマを達成するためか、死ぬ間際にしつこくドアップにして何か喋らせるのって、もう見ていられない。
本当に死ぬ気があるんですか。
『青天を衝け』でも平岡円四郎が左右から袈裟懸けに切られてから、ハキハキした滑舌でなんか喋っていました。
何か最期に言い残して死ねるのは、かなりの贅沢――『鎌倉殿の13人』では、そう学べました。
どうする撮影スケジュールと編集
今川氏真の甲冑姿は、まとめて撮影しているのでしょう。
前々回だったでしょうか。ラストで甲冑姿の氏真がいかにも出陣するようにして幕引きでしたが、次の回は於大の能天気な笑顔で始まりました。
照明や衣装からして、氏真のこの場面はまとめて撮影して、編集でぐちゃぐちゃに乱しているっぽい。
そのせいで時系列がおかしくなっています。
大河が順番通りでなく、まとめ撮りをすることは伝統です。
けれども、それにしたってもうちょっと調整のやりようがあるでしょうよ。
自分の出番が短いから引き受けたと、冗談半分でもインタビューで語る出演者もいます。出演者をSSRカードのように集めるためなら、編集や構成を犠牲にしても構いませんかね。
今川の恩義をセリフだけで雑に語らせますが、それこそ子役時代でその辺りを描くべきだったとも思います。
そこを踏まえてもう一度考えたい。
なぜ、瀬名奪還にここまで時間を使ったのか?
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