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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第11回「信玄との密約」】
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どうする季節感
『47 RONIN』は、一年中桜が舞い散る日本でした。
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今年の大河は、あの怪作をどうこう言えないレベルになってきたと感じます。
雪が降っていて寒いはずなのに、開けっぱなしの部屋。
同じく寒いはずなのに、夏場と変わらないペールカラーの服ではしゃいでいる瀬名と田鶴。
雪が降っているのに、太陽光が強すぎて、まるで初夏のように見える駿府の街中。
最低限の季節感すら出さないって、一体どういうことですか?
『鎌倉殿の13人』が好きなら、『47 RONIN』を見た方がよろしいかと。菊地凛子さんと米本学仁さんが出ています。
どうする使者
田鶴たちは、降伏するように告げてきた者たちを本気で撃ちました。
こういうことをするのは危険です。
脚本家は、戦国時代だから何でもありと考えたのかもしれませんが、当時だって最低限のルールはあり、まっとうな大名家は使者殺しを禁じています。
軍事のことを真面目に考え、あえてそうしたのなら、それに至る背景や説明が必要ではありませんか。
結局、ノリだけでそう描かれてるとしか思えず、苦しくなってくるのです。
どうする衣装センスと色彩感
このドラマと並行して華流時代劇を見ていると、色彩感覚が目に染みるほど美しく思えます。
伝統を踏まえつつ、現代的にアレンジしているのです。
『鎌倉殿の13人』はよかったです。東西の色彩感覚まで異なることを、わかりやすく見せてきました。
例えば、東の感覚でオシャレしてきた大姫を、西の丹後局が嘲笑うというシーンで朝廷側の残酷さを見せてきた。
プロットに色彩感覚を織り込んだ素晴らしい描写でしたが、今年はあまりに落差がひどい。
女性の衣装がペールカラーだらけだし、武田の赤備えはうっすらと汚らしいし。
信玄のふさふさも、穴山梅雪の頭巾も、不潔に見えてしまいます。
信玄の衣装が特におかしい。
肉襦袢のようなものを衣装の下に入れているのが、なんとなくわかってしまうと言いますか。どうして衣装すらまともに作れませんか?
このドラマは画面写真を見ているだけで気分が落ち込みます。
なぜか?
日本の伝統色彩色パレットを無視しているように思えるからです。
思い出したのは『平清盛』のこと。あのドラマでは襲(かさね)の色彩といった伝統を無視していたんですよね。本当に失望しました。
どうするおじさんの好きな女の子描写
やたらと芝居ががかっていた田鶴が不憫でなりませんでした。
情感込めすぎの、ねっとりした発声で、もう常に不気味。
しかも回想シーンで、冬なのにペールカラーの着物で話している二人がいる。あれでは寒いとしか思えません。
この田鶴の回想に出てくる場面が、おじさんが考えた若い女設定でさらに辛い。
「若い女はスイーツ食うよね!」
だから、このセンス、もうどうにかしてっての……。
串団子で、はしゃぎながら外食するってどれだけ陳腐な表現方法なんですか。怪我の原因にもなるからやめましょうよ。
とにかくもう、田鶴がいきなり悲劇のヒロインにさせられたので、見ている方はついていけなかったと思います。
お団子食べてはしゃいでいる時間があったら、統治者なり為政者なりの思いでも入れるべきだったのでは?
本作に、とにかくありがちな描写――ぶつ切りにして、臭い感動を入れればいいと思っている。
伏線も何もない。ただただ、雑でしかありません。
決定的に駄目だと思ったのは、こちらのインタビューです。
◆「どうする家康」田鶴の行動原理は瀬名への「強すぎる愛」 “裏切り者”の声も「うれしかった」(→link)
記事でわざわざ解説しなければならないほど、本編の描写が足りていない。
今年はSNSや動画を使った解説が盛んに投下されています。
それ自体が悪いことではないにせよ、補わなければ理解に格段の差が出るとすれば、肝心の放送で描写が不足している証拠でしょう。
必要なことはろくにやらないくせに、思いつきのようなことばかり次から次へとシーンに盛り込まれる。
バランスが悪すぎます。
そもそも田鶴の話は、後世の創作とされます。
それをここまで引っ張るばかりか、しょうもないアレンジを効かせて、台無しにしてしまう。
料理初心者ほどわけのわからんアレンジをして、色々ぶち壊しにする状態を思い出しました。
「レモン味の牛乳っておいしそう♪」と思いついて、凝固させてしまう感覚だ。
三谷幸喜さんならばわざと固めてカッテージチーズ風にできるし、森下佳子さんならばラッシー風にできるし、池端俊策さんなら寒天を入れることで解決する。
それが今年は、固まりかけのまずい牛乳だけが残っているんです……飲みたくありません。
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