どうする家康感想あらすじレビュー

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第15回「姉川でどうする!」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第15回「姉川でどうする!」
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どうする「義」

浅井長政が、信長に「義」はないと言っていました。

では、長政が言う「義」とは何を指すのか?

英語の「ジャスティス」とはまた別ものでしょう。

むろん、漢籍には詳しいはずの戦国大名ですから知ってはいると思うのですが、本作から感じる文意は何かがおかしい。

「長政くんは真面目だから」程度のノリに見えてしまう。

『麒麟がくる』は朱子学が根底にある大河ですので、仁義礼智信は明確でした。

光秀はそれを信長に教え込み、麒麟の到来をめざした。それが頓挫し、家康に望みを託しつつ、本能寺へと向かっていくわけです。

今年は、正義なんて、せいぜいが真面目くんのカッコつけ程度で、魅力的に見えません。

過去のフィクションから信長は“暴君”だと語られたりしますが、彼には彼なりの正義感なり、報いなり、意識していた。

天意――そういう概念を書き記している。それに背けば報いを受けると。

『麒麟がくる』は心理描写が丁寧でしたので、その中身と、光秀との関係性、信長の承認欲求をきっちりと描いていました。

しかし、それからわずか数年後に、私たちは耳噛みパワハラ信長を見せられているわけです。

 


どうする布陣図

歴史作品のお約束として、布陣図を眺めるシーンがでてきますよね。

今年はそれが落書きの上におはじきを載せているレベル。

信長の指示も無茶ぶりだろうけど、こんな雑なことで何かが成し遂げられるのでしょうか。

NHKの苦悩を想像してしまいます。

今の朝ドラは牧野富太郎をモチーフとした『らんまん』。あのドラマでは植物、標本、図面などなど……間違ってはいけない小道具がたくさん出てきます。

そっちに人材を持っていかれたのでは?と邪推したくなるほど。

今のところ『らんまん』は傑作の予感があり、秋にはドラマ10『大奥』シーズン2もあり、大河の人材が枯渇しても仕方ない……と思わないとやってられません。

 


どうするVFX

姉川の戦いでようやく大規模な戦闘が出てきたと思ったら、安っぽいVFXで肩透かしでした。

これでは今後も期待できないのでは?

関ヶ原の戦場でも“えびすくい”をやられたら、もう降参です。

 

どうする法螺貝と号令

法螺貝の使い方は、あれで正しいのでしょうか。

軍事ですからルールがあり、ボタン連打の感覚で鳴らせないはず。

指揮系統と連動しているのに、思いつきでグチャグチャにしていいわけがない。

このドラマは脚本の時点で、合戦に何の興味もないことが伝わってきます。

人間の集団はそうホイホイとは動けない。今だって大集団のイベントで群衆が雪崩を起こし、重大な事故が発生することがしばしばあります。

戦場となった現場でまったく指揮が取れず、乱れたままで混沌としている。そういうニュースだって見聞きする時代です。

このドラマの作り手は、戦国時代や歴史だけでなく、現実にすら興味がないように思えます。

まるで自分たちが楽しければいい、というような……それがハッキリしているのが、秀吉の描写でしょう。

本作の秀吉を「クズ」とみなす意見もありますが、あんなにわかりやすいクズであれば周囲に嫌われ、いずれ足を引っ張られるはず。いざという時、誰も味方をしてくれない。

真に恐ろしいのは、はたから見れば魅力的な人物なのに、腹に凄まじい猛毒を隠している人物でしょう。

ニコニコと笑顔で、家康に対しても極めて優しい。けれど、周囲の全員を蹴落としてでも、いつか自分だけが頂上に立とうとしているような秀吉。

私が怖いと思うのは、そういうタイプです。

だからこそでしょうか、本作の秀吉には何らリアリティを感じられません。

彼は今回の一斉射撃を指示する時でも、やる気がない声で「はなて」と言っていた。

セコいゲスさを演出したいのかもしれませんが、腹の底から声を出し、もっとわかりやすい指示を出さないと聞こえないのでは?

鉄砲の発射音を何だと思っているのでしょう。そういうリアリティも欠如しているから、まるで緊迫感のない画面になってしまっている。

 


どうする説明セリフ

以前も触れましたが、『鎌倉殿の13人』の小栗旬さんは「三谷幸喜さんは説明セリフがないから素晴らしい」と褒めていました。

心情まで全て説明セリフの本作を見ているとよくわかります。

「あほたわけ信長!」

って、そんなこと叫びますかね?

信長と家康の間に揺るぎない強烈な信頼関係があり、何を言ってもいいような間柄で描いてきたのならまだわかりますが、浅井につくかどうか本気で悩む状況ではとてもそうとは思えません。

「あほたわけ」という表現がふさわしいかどうかではなく、思ったままのくだらない罵詈雑言を、いい歳した大人が、セキュリティ意識ゼロでぶちまけることの是非を問いたいわけです。

こんな台本を受け取った役者さんはどう思うのでしょう。

ページをめくってもめくっても、薄っぺらい言葉ばかりが並ぶなんて、想像するだけで辛くなってきます。

 

どうするメイク

舞台は戦国時代ですから、武将たちに疲労感があってもおかしくはない。

それにしても、役者さんの表情が冴えないように見えます。

目の下のクマが目立ち、顔色が悪く、精気がない……というのは私だけの印象ですかね。

前述のセリフの薄さからして、演じる方々に充実感がないのであれば、彼らのモチベーションが心配でなりません。

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