鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第7回「敵か、あるいは」

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第7回「敵か、あるいは」

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源頼朝謀反の知らせを聞いた平清盛が、その件を後白河法皇に伝えています。

後白河法皇の横には寵姫である丹後局もいて、頼朝の挙兵に驚く二人。

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しかし、大庭の軍勢が石橋山でこれを攻め、完膚なきまで叩き潰したと、清盛が嬉しそうに告げます。

丹後局が頼朝の行方について聞くと、これまた嬉しそうに返す。

「死んだ」

清盛は、二人をいたぶるように続けます。

どこぞの誰かにそそのかされたのか、兵を挙げてみたものの、あっけない最期!

高笑いをする清盛に対し、後白河法皇は悔しがるしかありません。夫を平家に殺された丹後局も同じ思いでしょう。

 

激怒する清盛 呑気な宗盛

席を後にすると、清盛の子である宗盛が話しかけてきます。

福原への都移しを急ぎすぎではないでしょうか?

誰がそんなことを言っているのか?と凄む清盛は、反乱の芽があれば容赦なく摘みとる性質です。

例えば彼の操る、子どもの密告スパイ・禿童(かむろ)は悪名高く、もしも遷都に不満を持つ者がいれば潰す気なのでしょう。

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しかし、宗盛はありとあらゆる人が申しているという。そして……。

「頼朝は海路で安房に逃れどうやら生きているもようです」

激怒する清盛。

「なぜそれを先に言わぬ! すぐ追討せよ! 必ず殺せ!」

対する息子の宗盛は、ことをさほど重大視していないのでしょう。源氏の嫡流とはいえ、たかが流人などすぐに追討せずとも……と口ごもったところで、清盛の怒りはさらに沸き立つ。

「すぐに追討せよ! ただちに首をとれ!」

平家の不穏さが見えています。

宗盛は亡き兄・平重盛と比較され、呑気な無能とされがち。ここでも欠点としてスピードを持って事態に対応できないとは示されてはいます。

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清盛はそのあたりは鋭い。とはいえ、なぜ急ぐのか、そうするのか、もっと宗盛に伝えるべきでしょう。

そもそも平家は仁政を心掛けなかった。

民の不満を押さえつけるのではなく、聞き入れるようにしていれば、運命はちがっていたかもしれません。

そのころ、安房国では――。

 

義時と義盛は広常を説得できるのか

北条義時和田義盛が、援軍を頼むため上総広常のもとへ向かっていました。

なんでしょう、この圧倒的な人選ミス感は。

義盛は全ては俺にかかっている、必ず味方につけてみせるとアピールしつつ、「ついでこい!」と走り出す。

と、このドラマは演出が盤石だなぁ。

そんなもん人力で走ってなんの意味あります? やる気アピールをするだけで実質的な意味はなく、消耗するばかりでしょうもない。でも和田義盛なら仕方ない感がある。

ダメな大河は無駄に主人公を走らせるんですね。

心がワクワクしているんだか胸がぐるぐるしているんだか……はっきりいって根性論。無駄な摩耗が肯定的に描かれると、ブラック企業の営業みたいで見る気が減退します。

今年は和田義盛がゴリ押しすることで、馬鹿馬鹿しさが強調される方向になって安心ですね。でかした!

かくして上総広常の館に着いた二人。

鶏に餌を与えている派手な着物の男が広常でした。

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かなりの迫力がありますが、結局は“坂東”でのトップなんですよね。

その辺に鶏がいるあたりが素朴ですし、派手な服も義時たちよりは高級そうだけどなんだか田舎っぽい。平安末期版のドン・キホーテで買った服と言いましょうか。

広常は和田義盛に見覚えがあるようです。坂東武者のイベントで会ったのでしょう。

三浦義明の孫と聞いて、義明の爺さんも死んじまったと言います。しかも「三浦が弱えのか、畠山が強ええのか」と言い放つ。義盛を煽らないで~!

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にしても広常はいいですね。言葉遣いがぞんざいで、所作も荒く、田舎者のボス感がある。そして大軍勢を擁しているからこそ、頼朝も加勢を頼むわけですが。

「気に入らねえなぁ」

広常は頼朝直々に来ないことが不満のようです。

雑魚どもじゃ話にならねえ……と、和田義盛が小馬鹿にされ、北条義時も名乗ったところで二匹目の雑魚扱い。

義時はオーラがありません。主人公補正がない。あいつはすごいと誰もがはっきり言わない。

聡明であることは、頼朝も政子も認めてはいるけれども、その辺の機微を小栗旬さんはうまく使い分けていると思います。

 

「つまり、頼朝はお飾りというわけか」

俺は素直な男だ。素直な男は損得で動く。頼朝につけばどんな得があるか?

広常は原始的であり、さらに、味方につけたいのは頼朝だけじゃないと語ります。

さっきまでそこに梶原景時がいた……!

なんでも大庭の奴らが無礼を働いたことを詫びに来たそうで、広常はまだどっちにつくか決めていないのでした。

「だが、ハッキリしていることがひとつある。この戦、俺がついた方が勝ちだ。さあ正念場だよ、雑魚さんがたよ」

そう言うと、おもむろに戸を開ける広常。なんと、そこには梶原景時もいました。

緊迫感を見せつつ、向かい合う敵と味方。ここも色々と凝縮されていると言いましょうか、景時は着ている着物がセンスがよい。シックです。

和田義盛なんか無駄に派手だし、袖を雑にまくっているし、義盛らしさ満点じゃないですか。広常もセンスが派手。義時は地味。

対する景時は落ち着きもあって、演じているのが中村獅童さんなので、所作が洗練されています。もう、何かが確実に違う!

義時は、義盛を促しつつ、こう断言します。

「まもなく平家は滅びます。これからは源氏の世。佐殿が源氏を再興するのです」

源氏の正統性を見せつけつつ、広常を動かしにかかる義時。

しかし相手はこうだ。

「だからよ、得は何かって聞いてんだよ」

景時は具体性があります。

大庭景親は平相国(清盛)の覚えがめでたいから、希望する官職をもらえる。例えば左衛門尉に取り立てていただくこともできる、と言う。

広常もこれには「悪かねえな」と納得のご様子。そして義時と義盛に「そっちは?」と投げかけてきます。

義盛は、味方してくれたら敵から奪った土地を望むぶんだけさしあげると言いきる。義時が止めると「俺がなんとかする!」と強気だ。

この作品は、説得力のない奴ほど自信満々で素晴らしい。ダニング=クルーガー効果ってやつです。

大して説得力もないのに「俺がなんとかする!」と目をキラキラさせ、それで上手くいってしまう安易な展開は見どころがありません。

実際、広常は、義盛の条件に魅力を感じていません。増やしてもらいたいほど土地に困ってないってさ。

そこで義時。

「はっきり申し上げて、我らについても得はないかもしれません」

「おい!」と焦る義盛に対し、義時は構わず続けます。

「しかし、これだけはわかっていただきたい」

坂東武者のために立ち上がったこと。平家に気に入られたものだけが得をする、そんな世を改めたい。我らのための坂東の世を作る。だからこそ、上総介広常殿の力を貸していただきたい。そう断言します。

スラスラとすごい言葉が出るようになりました。

でも、この言葉には不穏さと不敵さはつきまといます。

そこを広常が見抜く。

「つまり、頼朝はお飾りというわけか」

「そういうことでは!」

「お前は今そう言ったんだよ」

これには景時も同意です。義盛に「ばか!」と毒づかれる義時。なんという屈辱だ! 広常はこう言います。

「教えてくれ。頼朝は利用する値打ちのある男か?」

義時は、頼朝は天に守られていると言います。何度も命を救われている。そしてその運の良さに惹かれて、多くの者が集まっている。

そしてこう言い切ります。

「佐殿は担ぐに足る人物です!」

「だとよ」

ここでは梶原景時もジッと聞き、目を光らせています。広常は言い分はわかったと言い、今日は引き取るように言います。あとはゆっくり考えさせてもらうと。

 

頼朝は名刀なのか なまくらか

広常邸の門前で、義時と義盛が気合を入れ直しています。

そこへ梶原景時が現れ、馬で前を通ろうとする。

「梶原殿!」

義時が、頼朝から聞いた石橋山の一件(見逃してもらったこと)のお礼を言います。何も知らなかった義盛は驚くばかり。

「うかがってもよろしいですか?」

「なぜ助けたか」

「はい」

景時は語ります。あのとき、大庭勢は目と鼻の先にいた。にも関わらず、自分以外は誰も頼朝に気づかなかった。

そして景時が義時の言葉を引きます。あの方は天に守られていると。

「わしも同じことを感じた……殺しては神罰を受けると思った。答えになっておるかな」

そう馬上で振り向く景時。義時はうれしそうに「御無礼いたしました!」と言います。

この動機は謎でしたから、理解できます。景時は天命を見出したんですね。

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うれしそうに、明るい笑顔を見せる義時。

幼さすら感じさせ、こんな無邪気なのに、頼朝の強運ごと利用する雄大な策を堂々と言えるわけで。北条義時とは一体何者なのか……。

そして景時は最後にこんな言葉を残してその場を去っていきました。

「刀は斬り手によって名刀にもなれば、なまくらにもなる。決めるのは斬り手の腕次第……御免」

思わずキョトンとする義盛。

「今のわかったか?」

揶揄が理解できないんですね。義時は無言。

どうにも恐ろしいことになってきました。広常も頼朝を利用する気が満々で、景時もそう。

頼朝という刀を名刀として世に出す策を、馬に揺られながら考えているのでしょう。

そうやって心に火をつけたのは北条義時であり、景時の性格をちょっと考察してみたいと思います。

天皇は、神か? そうでないか?

日本史を学ぶ上で、必ずつきあたるこの問題。信仰心があつい景時にとっては、神聖であることは確かでしょう。

そんな景時が、朝廷をないがしろにする者を見たらどうするか?

ましてや帝の命を奪いかねない者がいたら?

今回、景時にとって許すことのできない人物が出てきます。

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