麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第8回 感想あらすじ視聴率「同盟のゆくえ」

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麒麟がくる第8回
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信長に対しても、出演者から「あまりに現代っ子」という感想があります。

しかし、そこで終わらせては勿体ない。

現代にしかいないのか?
それとも古代からいるのか?
いたとしても「こいつはおかしい」と幽閉なり、殺害なり、記録抹消なり、消されてしまっていたのか?

そこまで考えてみても興味深く、社会的なメリットもあると思います。

『ゲーム・オブ・スローンズ』には、ティリオンという人物が登場します。彼は「インプ(小悪魔)」と呼ばれており、小人です。

作中屈指の知性の持ち主ではありますが、小人という時点で表舞台に出られなかった可能性は高い。大貴族の男子だからこそ、ああして活躍できた。

そうです。
普通じゃない人はいつの時代にもいるのです。

彼らを消すか、活かすか――それは時代の進化による。そこを世界的には考えるようになってきています。

光安は自分の功績をさりげなくアピールしたい。利政はそこを一応は認めてすぐに流し、尾張で見た信長の感想を知りたがっております。

「噂では相当なうつけものだという。そうか?」

「風変わりですが、うつけかどうかはわかりませぬ……」

光秀は正直ですし、とても勇気がある。

自分の見解を言えばよいのに、そうしない。光安タイプならば「はい、うつけです」でおしまいでしょう。

いわば王道ならば、キリッとした顔でこういうことを言わせればよい。

「うつけ……いや、わしには何かただならぬものを感じました。帰蝶様にふさわしき方かと」

「うむ……さすが十兵衛じゃ!」

BGMをジャカジャカ流し、はい、おしまい。

けれども、実は利政には結論は出ており、確認に過ぎないのです。

・(うつけかどうか)それはいずれわかる。信秀が家督を譲ったのは、己が重病だから

・信秀さえ片付ければ、信長などどうにでもなる

本作は後付けの神目線を使いません。

利政なりに分析済み。
信秀の弱体化を見越して、帰蝶を嫁がせ、海のマネーを狙う。それが一気に片付いて、こんなにもハイテンションで喜んでいるのです。

大物の光秀と信長、その出会いに鳥肌が立ったと思うのだとすれば、それは後付け。二人とも、当時はまだただの若者に過ぎません。

 

むしろ高政には【乙女心】がある?

ここで、足音をドスドスとたてて、武士がやって来ます。斎藤高政斎藤義龍)の配下です。

「御同道いただきたい!」

あー……なんだかお怒りのご様子。外まで連れ出されると、そこには国衆を従えた斎藤高政本人がおりました。

ここの緑。三月ともなると、放送当初言われていた尖り過ぎた色合いがかなりこなれてきました。

「帰蝶が明智の館を出て、稲葉山に戻ったと知らせがあった。何故引き留めなかった! 裏切ったな? 一緒に来い。従わねば斬る!」

家臣団の鯉口を切る音がする。
殺すと脅されてます。

光秀の人生は、ずっとこんな調子ですか。かつては、帰蝶に栗をやりたかったから早く来いと言われた。そして今はこれ。そんな人生に嫌気がさして本能寺の変になるのかな。心理的ストレスはかなりあるのでしょう。

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でも、高政にも言い分はあるんです。

第3話で、光秀は高政に味方すると誓ったわけですから。

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乙女心って、乙女だけのものでもない。帰蝶よりも、高政の方が光秀への情熱を意識していると思えます。別にBLにしろというわけでもない。むしろ、光秀に寄せられる思いって、恋愛かそうでないかの垣根を超えている気がしてます。

光秀がかわいそうではある。

老若男女から、いつのまにか熱烈な思いを寄せられ、それで「裏切ったのか!」と傷つかれる。逆恨みされかねない。ストレスが溜まることでしょう……。鈍感にならないと、心理的にしんどくてたまらないと思う。あの鈍さは自己防衛です。

 

土岐頼芸は心を操る

連れて行かれたのは土岐頼芸の館でした。

「明智十兵衛面をあげよ、わしの顔を覚えておるか?」

「おそれながら……」

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頼芸は、幼い頃、父に連れられて鷹を見にきたことがあったと言う。しかし、それは何歳のとき?
と思ったら、二、三歳の頃でした。

すかさず光秀は言い切る。

「二、三歳ならどなたのことも覚えてはおりませぬ、申し訳ございませぬ」

真面目だなぁ。不器用だなぁ。おべんちゃらでも、軽く嘘をついて、なんでも言えばいいと思います。

そうそう、まだまだ出てこない秀吉ですけれども。

ご存知のように光秀最大のライバルです。ここが器用で、ちょっと不真面目で、それこそ【人たらし】の真骨頂になると予想します。

佐々木蔵之介さんが演じていて、ともかくチャラく人の心をとかす。コミニケーション能力で天下を取る。宴会幹事はこいつに任せろ、パリピ秀吉!

理想的なようで、不器用な光秀の目線になると、なんだかちょっとゲスで嫌な奴だと思ってしまう。そういう人物像になりそうです。

両者ともに賢い。でも、そこが違うのだと。

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信長「ピュアだからなんかホトトギス殺しちゃう」

秀吉「パリピの前だとホトトギスも踊る」

家康「先輩がどうやってホトトギス対処するか、観察してる……」

さて、話を戻しますと。頼芸もコミニケーションが得意ですので、鷹狩から話を展開します。

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光秀に鷹狩りについて尋ねて、叔父・光安の名前が出るとこうだ。

「ねえみんなぁ〜、光安感じ悪くなーい? 好きな人いるなら手を挙げて〜マジかよ、一人もいないし〜」

そこはしっかり流麗な時代劇口調ですが、感じの悪さを出すとこんなノリです。すみません、池端氏の美麗な言葉をふざけさせて申し訳ない。

「なんでかわかる? 斎藤利政のパシリになっててダサいから。でも、きみはちがうでしょ? 土岐源氏につながるプライドがあるわけでしょ? なのにどうして帰蝶を稲葉山に戻すかなぁ? 空気読めよ」

うっわー、感じ悪い。光秀は鈍感で正解です。敏感だったら展開が変わりますね。

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帰蝶が信長に嫁ぎ、手を結んだら、今川義元と戦うことになる。義元が手強いこともあるけれども、頼芸の本音は自分の頭越し、腹ひとつで決められたことが不愉快なのです。プライド問題、空気読めよ蝮。

光秀は迫られる。

「利政の横暴は許さぬ、そのことを肝に銘じよ。今からでも遅くない、織田との和議を潰すのじゃ! 帰蝶を稲葉山城から連れ戻し、織田への嫁入りを拒むのじゃ! それがそなたの役目ぞ、十兵衛!」

しょうもない……義元の危険性を説くのであれば、まだしも光秀は聞いたかもしれないのに。彼には通じません。

そして考えたいことがある。

プライドを傷つけられたくらいで、和議を拒むことは愚かそのものに思えるとすれば?
それこそ現代人だからかもしれません。

時代的に近い、イングランドのヘンリー5世シェイクスピアの歴史劇では、フランス侵攻の理由がプライドの問題です。

ヘンリー5世は、イングランドの織田信長といえるかもしれません。若い頃はフォルスタッフと遊び回る「うつけ者のハル」であり、父を嘆かせました。

即位後、フランス大使からフランス王太子(ドーファン)の贈り物として、箱いっぱいのテニスボールが届きます。うつけは我が国と交渉なぞせず、遊び呆けていろという嫌味です。

これに激怒し、彼はフランス侵攻を決めます。

名場面ではあります。欠かせない場面です。ただ、あまりに馬鹿馬鹿しく、短絡的でもある。そんな箱いっぱいのテニスボールで、戦争をするって! 野蛮の極みといえば、そうではありませんか。

それなのに、シェイクスピアは英雄王の怒りとして描いた。当時、この決断は愚かなことではなかったのです。

※BBC『ホロウ・クラウン』より

頼芸が極めて愚かで短絡的なのではありません。

光秀がむしろ時代を超越した感覚があることを、ここで認識していただければと思います。

 

光秀の主張、高政の傷心

光秀は反論します。

◆同盟には価値がある!

熱田を見てきました。あれほど大きな市場は、美濃では見たことがない。珍しきものがある。熱田の港と海もすごい!

たくさんの船が来て、諸国の産物をおろし、市場でさばき、尾張で手に入れた品々を運ぶ。

日々それを繰り返すことで、尾張は豊かになる!

そういう国と戦をしてきた。

けれど、それで豊かになるのであれば、血の一滴を流さずそれができるのであれば、それはそれでよいのではと。

今川義元が尾張を手に入れたい理由はわかる。攻めあぐねている。それを血を流さずにできる!

光秀はそう説く。

光秀は賢い。それだけではなく、人の心を動かしたいと願うし、血の流れるところを見たくない。そういう人物なのです。

けれども、高政には納得ができないのです。

◆そういうことじゃない高政の誇り

尾張を支配するのは斯波家。

金がある? 港がある?

斯波家の一家臣でしかない織田信秀など馬鹿げておる!

これは潰すしかない!

そう興奮気味に頼芸に語りかけるのですが、相手はいなすわけです。

「それをそなたの父がやろうとしている」

「それゆえ、私は!」

「今日は鷹狩りゆえ、いささか疲れた。そなたの志、いたく見に染みて感じ取ったぞ。が、この話、おのおのよくかんがえ、再び相見えて議を重ねるべきかと思うが、いかがじゃ」

「しかしながら!」

高政よ……やはり、光秀の鈍感さは身を守る盾になる。高政はなまじ敏感なだけに、プライドがズタズタになりました。

これも残酷。無害なようで頼芸は賢い。手懐けた高政の心を容赦なく持ち上げ、貶め、傷つけてゆくのです。

実子説もどうでしょうかね。

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血統はさておき、身分においてはあの憎き利政の嫡子ですから。所詮は道具なのです。

まさか彼のために、同情心がこんなにも刺激される日が来るとは思わなかった。演じる伊藤英明さんも、どっぷり浸かってしまいますね。

このあと、稲葉良通と頼芸が密談をしております。

「十兵衛の始末、いかがいたしましょう?」

「放っておけ。斬れば利政が出てくる。今、利政と戦うて勝てるか? 暫し様子をみるしかない……」

光秀はしみじみと不思議な男。鈍感さゆえに、物怖じしない真っ直ぐな心ゆえに、周囲の状況を変えられる。

必ずしも能動的ではない。そこがすごい。

主人公となれば、水の流れをかき回して時代を変える力を期待される。それなのに、この光秀はむしろ渦に飛び込み、身を任せることで、周囲を変えてしまう。

どうしたらこういう造型にできるのか。驚かされるばかりです。

そして頼芸は、彼なりに情報を得てはいる。

「織田信秀、よりにもよって利政と手を組むとはな。よほど病が重いのか。今川義元が怖いのか。 帰蝶はあの気性じゃ。相手はうつけと聞く。もって一年、二年と持つまい……」

やはり、帰蝶は【めんどくさい女】枠か。帰蝶は変わっているのです。

父が縁談を持ってきて、話すら聞かない。

親孝行はどうしました?
儒教道徳を無視しているぞ!

頼芸が愚かであるとは思わない。妥当な判断です。

ただ、信長と帰蝶は、その妥当な判断を上回るものがあり、それゆえ気が合ってしまうのです。

そして高政は、光秀の裏切りにショックを受けています。

「こたびのこと、あいすまぬと思うておる。お主の申すこともよくわかるのだ」

「帰れ帰れ!」

やはり、この兄と妹は、兄の方が【乙女心】の持ち主に思えるのです。

女の子がみんな金星から来たわけでもないし、男の子がみんな火星から来たわけでもない。

この兄と妹は、逆だと思ったほうがわかりやすくなります。化粧をするとか、髪の毛を切るとか。そういう単純な話でもない。

 

【金】か【誇り】か?

高政は、母・深芳野のもとを訪れております。彼女は我が子に、頼芸様は頭痛持ちゆえ日によって気分の良し悪しがある、と慰めている。

元愛妾だけに説得力があるようで、そうでもない。

頼芸は明瞭な意思で、高政という小僧を手玉にとって、心を傷つけていたのだから。

「そなたを疎ましくお思うておるわけであるまい」

「左様でござりましょうか?」

高政は悔しい。
心の底から美濃の行く末を案じ、尾張との和議がどれほど道に外れたことか、話そうと思った。それなのに、さっさと座を外された。あれでは皆を集めた私も立場がない。恥をかきにいったようなものだと思う。そう屈辱感を訴えるのです。

でも、これって光秀の責任は重大ですよね。頼芸は、光秀の意見に道理と説得力を感じていたとはわかります。あそこで光秀が黙っていたら、結果は違っていたでしょう。

【貝合わせ】をしつつ、深芳野は言います。

「頼芸様はそなたの気持ちをわかっておられると思う。ただ、我が殿が怖いのじゃ。表立って歯向かえば殺される」

「あの下劣な男が、それほどに怖いのですか!」

「下劣?」

「金、金、金! 全て金で動く男ではありませぬか! 己の損得勘定で尾張などに嫁を出す、何の誇りもない恥知らずではありませんか!」

「自分の父親ではありませぬか!」

「あれが父親のものか! お願いです、まことのことをおっしゃってください! 私の父は頼芸様では? 頼芸様も我が子と思っておると仰せになりました。それはまことでございましょう?」

高政は悲鳴をあげるように、心から血を吹き出すように、そう母に訴えます。

同じ疑いを投げ掛けられたとき、深芳野はかつて怒った。それがもうできない。

普通の人が相手に怒り、傷つけ、悪口を言い、反論できるのは、相手が傷ついていないとき。ましてや我が子です。彼女は苦い口調でこう返します。

「そう思いたいのなら、それで満足なら、そう思うがよい。ただそれを盾として、殿に立ち向かうのはおよしなさい! いずれは、そなたに家督が譲られるのじゃ。全てはそれからぞ。母もその時を心待ちにしておる。今はじっと我慢じゃ」

本音でぶつかられて、深芳野はそう返すしかない。

悲しい女性だ。利政の前では艶かしく振る舞える。そういうことが身についてしまった。愛されなければ生きていけない女性として、媚びる術を身につけてきた。

けれども、そんな虚しい華やぎを捨て去り、老母として我が子を見守るほうが楽ではあるのでしょう。そうなる日、彼女に安らぎはないのですが……。

それと、金とプライドの問題も重要です。

金を稼ぐことは卑しい。直江兼続は、伊達政宗の小判を扇でポンポンと見て、不浄だから触りたくないと言った……という話があります。

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これも本音と建前ですよね。
何をするにしたって、金はいる。金の話をして何が悪い?

名誉と金を天秤にかけて、金金金いう奴を卑しいと思う気持ちは、これまた世界共通でして、典型例がユダヤ人です。彼らが差別される理由には、商業に強いというイメージがどうしたってつきまといます。『ヴェニスの商人』のシャイロックが典型例ですね。

現代でも【金】と【名誉】は「金よりやりがい!」という【やりがい搾取】めいた手口が渦巻いております。ただし、戦国時代と同時期に世界的にはバランスが変化しつつありまして、日本も関係があります。

ヨーロッパは、折しも宗教革命に直面しております。カトリックとプロテスタントに分かれる。このうち、プロテスタント国が商業的には発展する傾向が出てくる。

これが日本にも関係しているのです。

貿易と布教をワンセットにするカトリック教国に対して、プロテスタントのオランダとイギリスは、貿易のみをすると条件提示をしたのです。

イギリスはその後撤退し、オランダのみが残る形となります。

毎週のように書いていますが、そのあたりは『MAGI』がおすすめ。大河の上をいき、落差が厳しい作品でしたが、今年がぐんと追いついたためか、相互補完的な立ち位置にあります。

※カトリックが日本に到達します

金が誇りを脅かすという恐怖は、歴史の流れを見れば理解はできます。

江戸時代士農工商はそこまで厳格でもありません。金で武士の身分は売買できました。

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中国では、大商人が賢い子弟を勉強させて、科挙を通過させて官僚とさせることができるようになっていった。

イギリスでも、近世を動かした階層は世襲の貴族よりも、経済力を背景に大学を出て軍人や法律家のいるアッパーミドルクラスとされている。

血統よりも実力主義。そういう流れが、この時代にはありました。

 

恋心、よくわからぬ

光秀が明智荘に戻ると、常が出迎えます。

「おかえりなさい、今日は賑やかですよ」

駒が明日、京に帰るそうです。伝吾や村の者が来て、宴を開いているとか。牧は、もう少しいるよう訴えたものの、そなたの傷も癒えたゆえ、と言うのでした。

かくして、当時の楽器を使い楽しそうに宴をしております。

ここで一番頑張っているのは、扇を持ち踊る駒です。旅芸人一座にいただけのことはあり、上手です。門脇麦さん、流石です!

光秀もじっとその姿を見ています。とはいえ、あくまで生真面目な反応です。

これだけ生真面目に演じているのに、色気だの艶だの言われまくる長谷川博己さんがかわいそうになってきたんですけど……。
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