『おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]』/amazonより引用

おんな城主直虎感想あらすじ

『おんな城主 直虎』感想レビュー第50回(最終回)「石を継ぐ者」

2017/12/18

こんばんは、武者震之助です。

◆「不思議な感覚になった最終回を見てほしい!」森下佳子(脚本)【「おんな城主 直虎」インタビュー】(→link

◆「登場人物には、私の好きなタイプの男性をずらりと並べました(笑)」森下佳子(脚本)後編【「おんな城主 直虎」インタビュー】(→link

面白いインタビューです。

「私の好きなタイプの男性をずらりと並べました(笑)」というのも、よいと思います。

「好きなタイプ」といっても、別に異性として恋に落ちるイケメンではないわけですよ。

仕事仲間にしたいとか、飲み友達とか、要するに「一緒に居て不快じゃなくて、楽しい人」というニュアンスかな、と思います。

そう言われるともの凄く納得できます。

ここで上がっている近藤康用なんかもそうですけれども、憎まれ役でもよい面があったりするのが本作で。

まったく近づきがたかった信長すら、前回嬉しそうに家康に贈る茶器を選ぶところで「あっ、いいところあるんだ……」となってしまうわけです。

型にはめずに、人物に愛情を注いでいる。

そういう良さがありました、うん、森下さん、最高!!

 


龍雲丸とマニラ辺りで幸せに暮らしてくれても

さて、いよいよ最終回です。

徳川家康は、織田信長暗殺の陰謀に関わったことはひた隠し、何食わぬ顔で信長の弔い合戦に向かいます。

一方で堺にいるおとわは、明智の子である自然をどう守るか悩んでいました。

南蛮に誘われているという龍雲丸は、おとわも誘います。

しかしおとわは、餞別の水筒を渡すと、笑顔で別れを告げるのでした。

「吾より先に死ぬなよ!」

そう言葉を残して。

この人は結局そう……愛だの恋じゃなくて、大志のために生きるんですよ。

いいじゃないか、もうここで南蛮にお頭と手を取り合って渡っても……ここまでいろいろ我慢して頑張ったんだし。

でも、そうじゃないんですよ。

私はちょっと残念に思ってしまったのです。

この二人が、史実なんか無視して、南蛮でなくても、例えば高山右近のようにマニラあたりで幸せに生きて欲しかったのです。

この笑顔が見られるのはあと少しかと思うと、なんだか寂しくて。

史実なんて、いっそ無視してくれ!

でも、ここで史実の運命に戻って来るからこそ、私の好きなおとわなのです。

 


明智の遺児を殺そうとする万千代と家康母

信長の弔い合戦は、電光石火の勢いで羽柴秀吉が明智光秀を討ち取ってしまいました。

家康は信長のために一矢報いるため、武田遺領に侵攻します。

昨年の『真田丸』で描かれた、「天正壬午の乱」への突入ですね。

浜松では、今川氏真が万千代に相談を持ちかけておりました。

井伊谷にいた明智の遺児・自然の存在が表沙汰になれば、謀叛に関与したと思われてしまいます。

そのことだけは、避けなければいけません。

おとわは井伊谷に戻り、自然を隠し里に隠そうとします。

しかしその直前に、万千代が自然を引き取りに来ました。自然の身の安全を徳川で保護するためと言いますが、信じられませんよね。

「この子を葬り去るつもりか? 徳川様がそうせよと言うたのか?」

迫るおとわ。

と、そこへ於大の方が現れ、自分の指示だと言うのです。

「その子をお渡しくだされ。御家のためにございます」

「己の子以外は子に見えぬか?」

「子を持たぬ尼殿には、わかりますまい」

あ~、これは痛い台詞だ。

 

どういう人生、結果でも、その人なりの実りがある

於大の方の迫力に対し、おとわはも負けてません。

子がいないからこそ、どの子も可愛らしく尊い、と返します。

この台詞がいいね!

二年前の大河で【愛する男の子を産んでこそ女の幸せ】としつこく何度も強調してきた呪いを、キッパリと断ち切ります。

妻でなくても。

母でなくても。

そんな女でも、大河の主役になっていいじゃない、というキッパリした宣言です。

『アナと雪の女王』日本公開から三年目で、やっと世界に追いついたんじゃないですか。

どういう人生でも、どういう結果でも、その人なりの実りがある。

そうキッパリ物語中で示して見せたんじゃないでしょうか。

テンプレから外れても、ありのままの幸せがあると、昨年のきりと今年のおとわで、答えは出たんじゃないでしょうか。

おとわは、これは井伊の子、渡せないと言い張ります。

それでも奪おうとする万千代に、傑山が矢をつきつけます。

「若がどのように生きてこられたか! 答えられよ!」

万千代は怯みます。

ここで井伊谷の面々は、万千代を守っていると思います。

かつて、虎松(万千代)の身代わりとして、罪のない幼子を手に掛けた小野政次を、彼らは守れませんでした(第31回)。

彼らの脳裏には、身代わりで死んだ子の姿も、手に掛けた政次も、浮かんでいたことでしょう。

 


まさかのロングパス ここで信長茶碗とは!

そこへ、織田の手の者が駆けつけました。

ここに明智の子はいないと言い張る井伊の者たちです。

「この子は信長公のお子じゃ!」

おとわはそう言うと、信長から中野直之と奥村六左衛門が拝領していた超高価な茶碗を差しだします。

茶碗だけでは引き下がらない相手も、添えられた信長の花押入り書状を見て、思わず後ずさりするしかありません。

うはぁ、あのときの茶碗か!(第42回)

まさかのロングパス!

咄嗟によくぞ思いついた! まさかあの茶碗がこう来るとは!

おとわってこういう人でしたよね。

そうだ、第一回から鶴之丞の身代わりになって、敵を欺こうとする人でした。

一難が去ると、おとわは自然の健気さを褒めて抱きしめます。

その様子を、じっと見守る於大。彼女も殺したくはなかったのです。

「守れぬ命も、山のようにございます。ならばこそ、せめて、守れるものを」

「織田様の忘れ形見の子のこと、どうかよしなに、お願い申し上げまする」

万感をこめて、於大はそう言います。

家のために孫である元康を犠牲にしたからこそ(第45回)、この一言が胸に響きます。

自然が救われたことは、彼女にとっても救いではないでしょうか。

 

休む間もなく咳を患う直虎は……

自然は得度式を終え、龍潭寺の僧・悦岫(えっしゅう)となりました。

その姿は、かつてのおとわを思い出させます。

この悦岫も、茶碗のことも、史実で裏付けがあるからまた凄いのです。

ロングパス、伏線のつなげ方、脱帽しかありません。

おとわは少し疲れたようにも見え、咳き込んでいます。

彼女は休む暇もありません。

新井野家のあやめが嫁いだ庵原朝昌を徳川にとりなしてもらいたい、桔梗も夫を失ったとのこと。

この際、井伊谷の者をまとめて万千代に引き取って欲しいと言い出すおとわ。

南渓はさみしそうにしていますが、おとわは井伊谷をアジールとして機能させたい、井伊谷全体を寺がひとつあるだけ、世捨て人のための隠し里にしたいと考えているのです。

「逃げ回り、策をめぐらし、挙げ句潰しまでし、それでも命脈を保ってきた井伊じゃ。それが、井伊が負うべき役目かもしれんのう」

そう語る南渓でした。

 

「今となっては、ひどく生きたいと思うておりまする」

おとわは近藤康用の元を訪れます。

近藤は高瀬を養女とし、万千代とめあわせたいと言い出します。おとわと高瀬は、口をあんぐりと開けます。

「同じ顔をしておるではないか! やはり、親子じゃの」

そう告げる近藤。

騙されたふりをすれば、高瀬を手元におけると思っていたのでした。それも潮時だと。

うぅ……最終回まで近藤殿のかわいらしさがアップしてゆく、天井知らずだぞ! どうしてくれる、このままでは近藤ロスになってしまう!

おとわから井伊谷の井伊家を畳みたいと聞かされ、近藤は動揺します。

奪っておいて今更かとは思いますが、それはそれ。この人は、根は陰謀に向いていない善人なんですよ。

おとわはここから徳川に天下を取らせたいと近藤に言うと、クスクス笑うのでした。

本気なのか、冗談なのか。おとわもお茶目です。

ここでおとわは動けなくなってしまい、寝込んでしまいます。

ああ~……ギリギリまで奮闘するおとわらしいですね。

気力で頑張っていたのに、ガクッと駄目になるところが彼女らしいのです。

疲労と病で寝付いてしまったおとわ。おとわは見送るばかりの人生を振り返り、この世に未練などないと思っていたと語ります。

「なれど、今となっては、ひどく生きたいと思うておりまする。井伊の旗のもとに皆が集い、徳川の旗のもとに日の本中のものが集うのを、この目で見たい……」

そんなおとわを励まし、その日が来たら酒をたくさん飲もうな、と誓う南渓でした。

 

直親、政次、龍雲丸たちと井戸の中へ

そのころ、徳川遺領をめぐり、徳川と北条が対立していました。

ここで本多忠勝が「真田が北条についた!?」と動揺しております。

そうそう、旧武田の国衆がうろうろしていたんでしたっけ。

昨年の『真田丸』でおなじみですね。ここで真田がいかに悪辣で厄介かわかるのは、昨年のおかげです。

万千代は慰労のために笛を吹けと命じられ、探し回ります。

しかしあるべき荷物の中に入っていないのです。

これは何やらありそうな予感です。

その晩、寝付けぬおとわはどこかから聞こえる笛の音に導かれ、井伊の井戸端にやって来ます。

井戸の側には、亀之丞と鶴丸がいました。

「待ちかねたぞ、おとわ」

「おとわ様、遅れるにもほどがございまする」

何故子供なのかと困惑するおとわ。

彼女もいつの間に、子供に戻っていました。亀之丞と鶴丸は、この先を見るために行こうと言い出します。

「いやじゃ~! 吾にはまだやらねばならぬことが! やっと先に見えてきたのに!」

亀之丞は大事ない、おとわが俺の志を継いだように、誰かがおとわの志を継いでくれると言います。

そこに、少年の龍雲丸もやって来ます。

「では皆様、参りますぞ」

「いざ!」

鶴丸がそう言うと、四人は井戸の中へと消えてゆきました。

おとわに、竜宮小僧が寄り添います。

 

井伊谷の棚田に村民たちも集まり、そして龍宮小僧になる

その翌朝、おとわは笛の転がった井戸端で、微笑みながら息絶えていたのでした。

遠い西の海岸には、難破した船が一艘……傍らには水筒二本が寄り添うように落ちていました。

龍雲丸もまた、命を落としていたのです。

互いに自分より先に死なないように言っていた、そんな二人の死でした。

井伊谷に皆が集い、おとわの、井伊直虎の葬儀が営まれました。

南渓はどうしても経を読みたくないため、欠席しています。

ああ、愛された領主の葬式です。

そして直盛や直親の葬儀と比べて、なんと穏やかで満ち足りたことか。

南渓は猫を膝に乗せ、ひとりおとわを悼んでいます。

「そなたが読んでくれるはずではなかったのか、わしの経を……」

彼は今回も、大事な人を見送ってしまったのです。

領民たちはおとわの棺を抱え、黄金色に実る稲穂を見ながら歩んでゆきます。

大事な人が亡くなった日でも、民は実りを確認しています。

「殿! 今年もはぁ、よう実りましたで! 今年も、来年も、その先も、たーんとお供えしますにぃ! 楽しみにしてくださいよ!」

そう呼びかける声が響きます。

領民に最期まで慕われたおとわでした。

そして皆がいなくなったあと、一人おとわは井伊の豊かな実りを見下ろすのでした。そこから視点は、空へと向かいます。

おとわは、ついに竜宮小僧となりました。

そうして、これから先も見守るのです。

万千代は陣中で、おとわの訃報を受け取ります。

中野直之、奥村六左衛門、小野万福、万千代、そして家康。

それぞれが、大事な人の死を知って、それぞれの悲しみの表情を見せます。

 

直虎から直政へ伝えられる井伊の魂

徳川は北条と和睦することに。

評定の最中、呆然とする万千代に、榊原康政が厳しい声で「気が入らぬなら下がれ、目障りだと言うておる!」と叱りつけます。

クールな康政センパイ。これも思いやりですね。

身内が亡くなったら休んでいい。そんな配慮です。

万千代のことを南渓が待っていました。

南渓は万千代に笛を渡します。

おとわの最期を聞かされる万千代。おとわは労咳(肺結核)だったのでした。

南渓も、長くはないと知っていたのでしょうね。万千代はおとわから遺言はなかったかと尋ねます。

「井伊の魂じゃ。何じゃと思う、それは?」

・井戸端の拾い子が作った国

・よそ者にあたたかい

・民には、竜宮小僧のようにあれかし

・泥に塗れることを厭わず、恐れず、戦わずして、生きてゆく道を探る

万千代はそう答えます。

「殿は小さな谷でそれをやった。そなたはそれを、この日の本を舞台にやるのだ。頼んだぞ」

井伊の、そしておとわの志は、小さな碁石を通して万千代に継承されました。

 

吹っ切れた直政、工作&交渉役を買ってでる

万千代は吹っ切れた様子で評定に戻ると、北条の使者になると志願します。

若造が使者で元も子もないと酒井忠次が言うものの、万千代はそれを逆手に取ると宣言。

若造で、かつ潰れた家の子だからこそ、徳川で出世できた、度量の広さを見せ付けるのだと、そう主張します。

康政はただの和睦ではないと説明します。

問題となるのは、甲斐・信濃・上野。

甲斐と信濃を得て、国衆に火種を残すなと康政が釘を刺します。

「できます! 潰れた家の前髪だからこそできる和睦を、ご覧にいれまする!」

万千代はこうして和睦の使者を任されました。

万千代の元に、瀬戸方久が犬の鳴き真似をしながら登場。

直虎形見の硯を託します。

・直親の笛
・政次の碁石
・直虎の硯

万千代はこれらの品を受け継いだのです。

一方、家康は、於大から南渓の書状を受け取りました。

 

「井伊万千代、今日これよりは直政と名乗るがよい」

万千代は、中野直之、奥村六左衛門、小野万福とともに国衆の元を回り始めました。

六左衛門は、自分は材木を切るしか能が無いのに、出世できたと語ります。

万福は、育ての親が磔になった子でありながら、出世できたと語ります。

万千代は、潰れた家の子でありながら、こうも大役をつとめていると語ります。

それぞれの悲しい過去を、笑顔で語れるようになったのですね。

こうして国衆の臣従をとりつけ、北条側に和睦案を持ちかけ、万千代は交渉をまとめたのです。

和睦成立後は宴会が始まりました。

今川氏真、徳川家康、酒井忠次、本多正信が、豆狸がエビで鯛を釣るダンスをしています。

最後までかわいさをあげてくるこの四人じゃあないですか。

本多忠勝が、ここで酔い潰れた万千代に願いを聞きます。

「元服を」と酔っ払いながら言う万千代。

四天王のうち三人がすっかり宴会モードなのに、クールな康政だけは平常心を保っています。ったく、こういうところがいいんだよなあ!!

こうして万千代は、いよいよ元服することになりました。

「井伊万千代、今日これよりは直政と名乗るがよい」

井伊の通り字“直”。

小野の通り字“政”。

これよりないよい名だと思う、と家康。万千代改め直政も万感の思いです。

百尺竿灯に一歩を進む

大死一番、絶後に蘇る

禅語を引用する直政。

ちなみにこの禅語は、サウンドトラック『鶴のうた』収録「君看よ双眼の色」で小野政次(高橋一生さん)が朗読しているので、要チェック!

「何事も、大死あってこその蘇りにございましょう」

新生井伊はここから始まる宣言です。

ああ~、小野政次の大死が(第33回)、ここで報われました。

 

赤備えを率いて一番槍を目指す大将

ここで康政が直政への褒美を発表します。

松下家、庵原家、井伊谷三人衆を含めた七家が配下となります。瀬戸方久はスルーされましたけど。

さらに武田より新たに臣従した赤備え組が、侍大将・井伊直政の配下となりました。

「直虎殿は、家の潰れるあわれを無くすことを考えていたそうだ。ならばこれが、井伊にふさわしい役目ではないか」

「恐悦至極に存じます!」

潰れた家の武田、その赤備えが井伊の配下となる、見事!

井伊谷では南渓が酒を器に注ぎ、一人新たな船出を祝っていました。

「皆様参りますぞ、いざ!」

船出とは『真田丸』の第一回のタイトルです。見事なまでの、エール交換です。

高瀬は川手良則の嫁となり、梅の妹松が侍女にあがりました。

そして井伊の赤鬼となった直政。小牧長久手の戦場で、配下の元武田赤備えから「若造」と侮られています。

そこで、なんとしてでも一番槍として敵陣に向かう宣言。

井伊直政は味方を率いて突撃してゆくのでした。

ここでナレーションが響きます。

時は戦国。群雄が割拠し、戦や略奪が繰り返された混乱の世、その流れに果敢にも飛び込んだ女子がおった。

彼女が守り抜いた井伊家は、260年に渡り徳川家の屋台骨となった。

勇ましい男名で、男達とわたりあったその女の名は……おしまい。

ここで碁盤は映り、そこには碁石で描かれた「完」の字。

にゃあーん。

初代にゃんけいが鳴いて、おしまいです。

 

MVP:おとわ

一年を通してのMVPですし、やっぱり改めて彼女のことが大好きなんだと思いました。

第一回のラストシーンでおとわは、亀之丞の格好で今川家の追っ手の目をくらましていました。

その頃からまっすぐ、人の命を機転で守ろうとする人だったのだと思い出しました。

たった一つの命を守ることができずに、無力さに涙していたおとわ。

そんな彼女が成長して、鮮やかに命を守る。一年間を通して描かれた成長を感じました。

第一回から命を守りたいと願い続けたおとわ。そんな彼女の奮闘を楽しませていただきました。

柴咲コウさんもお疲れ様でした。柴咲さんが主役で本当によかったです。

透き通った歌声、凛としたたたずまい、まっすぐな瞳、すべてが素晴らしかったです!

 

総評

燃え尽きていてなんかもう、小賢しいことを一切書きたくない……。

まとめて総評も掲載しますので、今日はこのまま余韻に浸りたい。そんな気分です。

大好きです、ありがとう、しか言いたくない。

終わってしまったことも信じたくない。

来週から『おとこ当主 直政』が始まるんじゃないかと思うし、『真田丸』の第一回「船出」から見直したい気持ちもあります。

最終回を見て欲しいという森下氏の気持ちも、理解できました。

小野政次の辞世にもつながる碁盤に「完」の文字。無邪気な直虎の笑顔。ニャーンという猫の声で終わる軽やかさ。

あのラストシーンが永遠に続くような気持ちがしてしまう。

終わり方としては百点満点中十万点じゃないの、くらい叫びたいです。

多分これは本作が個人的な好みのツボを突いて来るがゆえの、評点が甘いのを通り越して「クレイジーになっている」ので申し訳ございません。ハイテンションなのも承知の上です。

最終回といえば大抵「死」を描くわけですが、今回は見事でした。

おとわが井伊谷をみおろす場面から、ドローンによる撮影で鳥瞰目線になり、この人は本当に竜宮小僧になったのだな、と表現するわけです。

各人の反応を見せ、故人の残したものを見せるわけです。

多くの人を見送ってきたおとわが、今度は見送られる側になって、何を残したか。そこまで描いて「完」。

こんなにも幸せで満ち足りた大河の最終回ってあったのでしょうか。

◆柴咲コウのNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』が最終回 "異例"の1年を振り返る(→link

「何となくなんですけど、この先に女性主人公の大河の鉱脈みたいなものがあるんじゃないかなぁと…。引っかき傷くらいかもしれないけれど、穴を開けられたんじゃないか」

このことについて、私の見解を述べて終わります。

その通りです。二年前の女大河が、後退させてしまった潮流を二十年くらい進めたと思います。

妻でもなく、母でもなく。

そんな一人の女性が、リーダーとして、女性として、懸命に生き抜いた。そして竜宮小僧になった。そんな風穴を開けました。

十年後、二十年後、あれは凄かったと語られる、そんな名作を二年続けて大河ドラマは作り上げました。

ありがとうございます。

美しい魔法をかけられたような一年間でした。本当にありがとうございました。

このレビューを一年間読んでくださった皆様にも御礼申し上げます。

ありがとうございました。


あわせて読みたい関連記事

井伊直虎
井伊直虎の生涯|今川家や武田家などの強国に翻弄された女城主の生き様

続きを見る

井伊直政
井伊直政の生涯|武田の赤備えを継いだ井伊家の跡取り 四天王までの過酷な道のり

続きを見る

徳川家康の肖像画
徳川家康の生涯|信長と秀吉の下で歩んだ艱難辛苦の75年を史実で振り返る

続きを見る

本多忠勝の肖像画
本多忠勝の生涯|家康を天下人にした“戦国最強武将”注目エピソード5選とは?

続きを見る

榊原康政
榊原康政の生涯|秀吉に10万石の賞金首とされた“徳川四天王”の生き様とは?

続きを見る

絵:霜月けい

【TOP画像】
『おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]』(→amazon

【参考】
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』公式サイト(→link

TOPページへ


 



リンクフリー 本サイトはリンク報告不要で大歓迎です。
記事やイラストの無断転載は固くお断りいたします。
引用・転載をご希望の際は お問い合わせ よりご一報ください。
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

-おんな城主直虎感想あらすじ

右クリックのご使用はできません