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【青天を衝け第38回感想あらすじレビュー】
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慶喜の子供たちって……
さて、ぬぼーっとした篤二ですが。
芸者遊びをしています。そこで渋沢一家がやたらと誉められる。差別的な優生学の穂積も誉められていました
そして篤二が歌うのですが……歌唱指導をもっときちんとして!と嘆きたくなる。
篤二は、栄一のもとではなく、姉のうた夫妻に育てられていて、うたが迎えに来ました。
そして怒っている。
ただ、セリフがボソボソしていて聞き取りにくくて……。
大河に出て未来の明るい若手俳優の発声指導も見直すべきではないでしょうか。
明治23年(1890年)、初めて衆議院議員選挙が行われました。
といっても、選挙権があるのは25歳以上で高額納税者のみ。貴族院議員も選出され、栄一も選出されました。
ここまで政府とべったりで「民だ!」と言い張るのはさすがに無理を感じる。
栄一の事績をすっ飛ばしまくるため、有能な人物に見えないのも痛い。
本作は要人の公私混同を平気で流すから、やっと仕事をしたと思ったら、篤二のゴタゴタが持ち込まれて場面が変わる。
結局、篤二は熊本に預けられることになりました。
いい加減、事業の話にしてくれー!
そう思ったら、今度の話題は美賀子の乳がんです。
慶喜はこの正妻を散々邪険に扱っておいて、ここが数少ない美談ですので、欠かせないのでしょう。
堅苦しい事業の話はウケが悪いと考えているかのようで、もはやワイドショー化しています。
そして子供の遊ぶ場面が入るのですが……。
なんでしょう。まるで来賓に見せるため「お遊戯の舞台」を演じているようだ。
しかも、くどいようですが、ここの子供は全員が美賀子の子じゃない。
慶喜が女中に産ませた子です。
女中が腹だけ貸して美賀子に子を捧げたように見えなくもないし、あるいは美賀子が全てを諦めて自分以外の女が産んだ、夫の子をあやしている図とも見ることができる。
いずれにせよ残酷なシーンだ。なぜ、いかにも「よい場面」のように見せてくるのでしょう。
篤二の駆け落ち騒動
栄一が「水道管は国産ではなく外国産を使う」と言い出します。
また突然の話がきました。
ここまでの流れをきちんと説明して欲しい。
安全性を重視しているとは言うものの、腕組みして偉そうにしているだけで、外国産ならどこがどう安全性が高いのか、さっぱりわかりません。
本作を取り上げる記事の中で、栄一のセリフはともかく長くて大変だ、と役者本人から共演者まで、くどいほどに繰り返されます。
だからでしょうか。
いざとなったら具体性のある長いセリフがカットされ、「おかしれぇ」「がっぽんがっぽん」「ぐるぐるする」というしょうもない決め台詞ばかり連呼されるのかと勘ぐってしまう。
渋沢栄一のセリフは、量が多くても難易度は低く、要は中身のないセリフばかりです。
例えば第36回放送では、
「こっちを間違っているというお前が間違っているというこっちを間違っているお前が間違っている……」
という驚きのセリフもありましたよね。
昨年の長谷川博己さんの方がはるかに大変だったと思います。
セリフだけでなく、初回から屋根へワイヤージャンプしたし、甲冑も着用したし、乗馬もしたし、古式剣術もこなしたし、漢籍も読みこなした。今年が大変なら、去年は神の所業ですよ。実際素晴らしかったですし。
去年のことはさておき、話を今年に戻しますと、中途半端な説明の最中で栄一は席を外します。
しかも用件が馬鹿息子・篤二のことだからどうしようもない。
なんでも駆け落ち騒動を起こしたとか。
栄一は、女癖のだらしなさは自分の悪影響か?と反省してもよいところですが、当然ながら触れません。
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うたは責任を感じ、父を煩わせるわけにはいかないと言っています。
このドラマの女って全員がわきまえていますよね。妾のくにはニコニコ笑顔で追い出されるし、うたもこの調子。理想の放置女しか出てこない。
正直、こんなどうしようもない家庭事情、心の底からどうでもいい。
草むしりとは思えない草むしり
ここから篤二の血洗島の時間です。
肝心要の栄一の事業話は飛ばし、お蚕様のことをしつこく繰り返す。
序盤はまだヤル気もあって、それなりに調べたのでしょう。だから使いまわす。
そしてここで、本作お得意「思った本音をいきなり語り出すシステム」の発動です。
「がんばれば母が治るっていうから、庭の草むしりをしたのが父との唯一の思い出だもん」
お庭の芝生で篤二と栄一がチョロチョロしています。
草むしりするのに、むしったものをその辺に捨てるだけって……所作指導も半端で、とても草むしりをするように見えません。
和装なら袖をたすきでとめるぐらいしましょうよ。
栄一は農家出身だ、庶民派だ、と何かといえば主張しますが、こういうディテールが甘いから嘘くささしかないのです。
何かのセレモニーでちょっとだけ土をさわり「植樹した」とアピールするVIPじゃないんだから。
そして千代が死んだ場面の回想です。あらためて叫び方がわざとらしかったなぁ。
「だから夏が苦手なの」とアピールする篤二。
しかし、どうしたって話の流れが不自然です。
例えば千代が肺結核で、それを心配しながら草むしりするならわかりますが、容態が急変するコレラでこんなことやってます?
どうも千代の死が、古典的な悲運の死である肺結核をアレンジしているようで、設定が無茶苦茶に思えてきます。
それに篤二の「愛を知らないかわいそうな僕ちん」アピールも大概にしろ、と。当時の子供は、往々にして凄絶な人生を送っています。
今時の若い世代の歴史ファンは『ゴールデンカムイ』の尾形あたりで、明治少年の暗黒を知ってます。
※尾形……父親に捨てられた妾の母親が精神を病み、その母親を殺鼠剤で殺害。後に父親と義理の弟(正妻の子)も殺す
篤二の苦悩など、だから何だ?としか言いようがありません。
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そしてまた、初期に得た知識使い回すようなプロモビデオ。
地元料理を前大統領にふるまったり、埼玉県民へのアピールに余念がありません。
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