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【ボブスレー・リュージュ・スケルトンの歴史】
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リュージュの歴史
リュージュをご存知でしょうか?
冬季五輪ファンの方には当たり前の存在かもしれませんが、ボブスレーとは違い一人用のそりがリュージュとなります(2人乗りも)。
これが中々楽しいことは、雪国育ちの人であれば思い当たるでしょう。
その楽しみについての記録は、実に15世紀から残されています。
リュージュ競技の芽生えも、ボブスレーと同じです。
冬場にサンモリッツを訪れた旅行者が、そり遊びを始めたことがキッカケでした。
複数の選手が一台のそりに乗るのがボブスレー。
それに対して、小さなそりに一人で乗るものがリュージュ。
そう分類されたわけです。
ちなみに「リュージュ」の語源はフランス語で、「小型のそり」となります。
ボブスレーは英語で、リュージュはフランス語。
ヨーロッパの二強で争っているようで、なんだか興味深いですね。
なお、冬季五輪にリュージュが正式採用されるのは、ボブスレーよりかなり遅れます。
第二次世界大戦後の1964年、第9回インスブルック大会からでした。
スケルトンの歴史
さて、最後にスケルトンです。
リュージュよりさらに簡素なそりを用いた競技で、普通は頭を下にして、腹ばいになって滑ります。
私には経験がありませんが、コース上の氷からわずか数センチ、数十センチのところに顔があり、それでいて凄まじいスピードで滑り降りるだなんて怖くてとてもできません。
この滑り方は、1887年の大会で、コーニッシュという選手が現在のような頭が下、腹ばいスタイルで滑り、それ以来、この姿勢が定着したんだとか。
最初にチャレンジした人の勇気には慄くほかありません。
元々は、「クレスタ・ラン」というウインタースポーツの競技でした。
これは現在も行われている競技で、サンモリッツの指定されたコースのみを滑ります。
指定コース以外も滑るようになった競技が、「スケルトン」です。
なぜスケルトンという名称なのか?
と申しますと、競技に使うそりが“骨組み”だけのように見えたことから、骸骨を意味する英語「スケルトン」となっています。
冬季五輪の正式競技としての採用は、なかなか複雑でして……。
1928年、1948年の大会を除き、なかなか採用されずにいました。
恒久的に正式採用されたのは2002年大会からです。
★
歴史そのものは長いながら、スポーツとしての歴史・認識は浅い。
サンモリッツの旅行者たちの遊びだったそりが、弾丸のように滑り抜ける激しい競技に進化したというのも、驚きですね。
次の冬季五輪でもどんな熱戦が繰り広げられるのか、楽しみに観戦したいと思います。
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文:小檜山青
【参考文献】
高橋幸一/野々宮徹『雪と氷のスポーツ百科』(→amazon)