ボブスレー・リュージュ・スケルトンの歴史

1910年頃のボブスレー/wikipediaより引用

世界史

ボブスレー・リュージュ・スケルトンの歴史~その始まりはスイスから

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リュージュの歴史

リュージュをご存知でしょうか?

冬季五輪ファンの方には当たり前の存在かもしれませんが、ボブスレーとは違い一人用のそりがリュージュとなります(2人乗りも)。

これが中々楽しいことは、雪国育ちの人であれば思い当たるでしょう。

その楽しみについての記録は、実に15世紀から残されています。

リュージュ競技の芽生えも、ボブスレーと同じです。

冬場にサンモリッツを訪れた旅行者が、そり遊びを始めたことがキッカケでした。

複数の選手が一台のそりに乗るのがボブスレー。

それに対して、小さなそりに一人で乗るものがリュージュ。

そう分類されたわけです。

ちなみに「リュージュ」の語源はフランス語で、「小型のそり」となります。

ボブスレーは英語で、リュージュはフランス語。

ヨーロッパの二強で争っているようで、なんだか興味深いですね。

なお、冬季五輪にリュージュが正式採用されるのは、ボブスレーよりかなり遅れます。

第二次世界大戦後の1964年、第9回インスブルック大会からでした。

 


スケルトンの歴史

さて、最後にスケルトンです。

リュージュよりさらに簡素なそりを用いた競技で、普通は頭を下にして、腹ばいになって滑ります。

私には経験がありませんが、コース上の氷からわずか数センチ、数十センチのところに顔があり、それでいて凄まじいスピードで滑り降りるだなんて怖くてとてもできません。

この滑り方は、1887年の大会で、コーニッシュという選手が現在のような頭が下、腹ばいスタイルで滑り、それ以来、この姿勢が定着したんだとか。

最初にチャレンジした人の勇気には慄くほかありません。

スケルトンのスタート

元々は、「クレスタ・ラン」というウインタースポーツの競技でした。

これは現在も行われている競技で、サンモリッツの指定されたコースのみを滑ります。

指定コース以外も滑るようになった競技が、「スケルトン」です。

なぜスケルトンという名称なのか?

と申しますと、競技に使うそりが“骨組み”だけのように見えたことから、骸骨を意味する英語「スケルトン」となっています。

冬季五輪の正式競技としての採用は、なかなか複雑でして……。

1928年、1948年の大会を除き、なかなか採用されずにいました。

恒久的に正式採用されたのは2002年大会からです。

歴史そのものは長いながら、スポーツとしての歴史・認識は浅い。

サンモリッツの旅行者たちの遊びだったそりが、弾丸のように滑り抜ける激しい競技に進化したというのも、驚きですね。

次の冬季五輪でもどんな熱戦が繰り広げられるのか、楽しみに観戦したいと思います。


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文:小檜山青

【参考文献】
高橋幸一/野々宮徹『雪と氷のスポーツ百科』(→amazon

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