本当は怖い平安京のリアル

平安京/wikipediaより引用

飛鳥・奈良・平安 光る君へ

本当は怖い「平安京のリアル」疫病 干ばつ 洪水で死体が転がり孤児がウロつく

大河ドラマ『光る君へ』で注目の「平安京」について、どんな印象をお持ちですか?

街全体を表すCGはクオリティが高いですし、街中に視線を持ってきても、散楽やら絵師(代筆屋)やら何やら楽しそう。

読んで字の如く「平和で安らかな京(みやこ)なんだろう……」というのが正解ではないことはご存知でしょう。

土煙の舞う地面に目を凝らせば、石ころは落ちていて、舗装もされていないから少し歩いただけで足元は泥だらけ。

郊外には死体が投げ捨てられ、川の中には死体が浮かぶ――劇中でのあの展開には「いったい平安京ってどんなとこ?」という想いが湧いてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

平安京を、もしも一人で歩いていたらどうなる?

他にも、同じような被害者はいた?

実際はどんな場所だった?

そんな疑問を解消するため、本稿では“平安京のリアル”について振り返ってみたいと思います。

 


平安京の治安はどうなのか?

平安京を出歩いて大丈夫なのか?

『光る君へ』の序盤では、まひろの母にせよ直秀一団にせよ、簡単に人が殺されていて「あまりに危険ではないか……」とゾッとした視聴者は少なくなかったでしょう。

現代人からすれば、中世の世界というのは実におそろしいもの。

公衆トイレ、コンビニ、舗装道路、蓋のついた側溝、街灯、交通標識……などなど便利なものは一切ない街は、実に危険です。

現代では考えにくい死亡状況もあり得る。

例えば、月あかりを頼りに夜道を歩いていたとしましょう。すると蓋のついていない側溝に転落してしまう。

どんな死因が考えられるか?

・溺死

・不潔な水により病気感染、病死

・安全な場所に辿り着けず凍死

現代人では考えにくいおそろしい状況が待ち受けています。

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死体が転がる平安京

週刊少年ジャンプの人気マンガ『呪術廻戦』に「呪胎九相図(じゅたいくそうず)」という呪物が登場します。

アイデアの元となったであろう「九相図」とは、美女が死に、だんだんと腐敗して骨になるまでの姿を描写したもの。

その思想背景については言及しませんが、注目したいポイントがあります。

死体が腐敗して、骨となるまでの様子を、当時の人が目にすることがあったからこそ、九相図という絵が存在したということです。

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平安京は死体が放置されることがしばしばありました。

しかも、犬や鳥が食い散らかす。

当時の貴族が気にすることは穢れです。もしも自邸に死体の一部が持ち込まれでもしたら、大事件です。しかし、彼らには死者を憐れむ気持ちすらあったかどうか。

例えば当時の孤児ともなれば物乞いでもするしかなく、いつか姿を消してしまう――そんな残酷な場所でもありました。

疫病でも蔓延すれば、ますます事態は悪化します。

至るところに死体が落ち、その始末は犬や鳥に任せるという、おそろしい事態を迎えました。

死体を悪用した事例もあります。

一条天皇の即位式の準備中、恐るべき事態が発生しました。

なんと高御座(たかみくら・天皇の玉座)の上に生首が置かれていたのです。

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一条天皇の即位により権勢を握る、藤原兼家に対する嫌がらせでしょうか。

その一報を受けた際、兼家は居眠りをしていました。

報告をした者が『この一大事になぜ寝ていられるのか……』と唖然としていたら、兼家は話が終わるとパチリと目を覚まし、テキパキと式の次第を指示したのでした。

つまり、聞いていないフリをして、即位を押し通したということです。

権力を前にしては、穢れを気にするという大義名分すら曖昧になる。

嫌がらせのためなら生首も調達できる。

『光る君へ』の劇中では、父の藤原為時がまひろの外出を止めようとします。

もし何かあって死んでしまったら、死体を食われてしまうかもしれない――そんな危険性を踏まえれば、親としては当然のことでしょう。

なんせ劇中では母ちやはが殺害されています。

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