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【政宗の狙いは天下よりも会津】
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失われた何かを求めて、暴れる政宗
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なんだかいきなりポエムを入れてすみません。
苦心して強奪した会津は、豊臣政権のもとに呆気なく没収され、以降、蒲生氏郷の領地とされました。
面白くない。やってられるか。
政宗がそんな蒲生氏郷に対して塩対応を取り、氏郷の方もイライラしていたことは確かです。
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氏郷にとっても、迷惑極まりない話です。
生まれ育った場所から引き離された挙句、その先で政宗がオラついているのですから、ストレスが溜まることでしょう。
おまけに豊臣政権からは
「お前ら、奥羽大名同士で仲良くしろ」
なんてマトメられるものだから、政宗と氏郷は切りたくても切れない関係となってしまいます。
氏郷は行事の席次等で、政宗より義光を優先するようにしばしば進言しています。
足利一門かつ、伯父で、年齢も上。
そういう理屈が通りますが、政宗からすればただの嫌がらせです。
そんなギスギスした二人の近くに座らされる、最上義光にとってもいい迷惑であり、完全にとばっちりですね。
蒲生氏郷は文禄4年(1595年)に急死します。その死因は毒殺だったという説がありましたが、現在では否定されております。
政宗がその早すぎる死を、どう受け止めたのやら……。
伊達や最上の押さえとして景勝を
その後、関ヶ原の前夜へ。
晩年の豊臣秀吉、まだ幼い豊臣秀頼にかわって、石田三成らが策を練りました。
「伊達政宗や最上義光をおさえるのであれば、会津は上杉景勝に」
これは妥当な判断ではあるのですが、やはり政宗としては気に入らなかった様子です。
政宗の出生地・米沢まで上杉領ですから、ムカつきは半端ない。
そのためか、上杉家と伊達家にはいろいろと因縁がある。
直江兼続が伊達政宗をコケにした逸話も多くあります。
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こうした逸話がどこまで真実か不明なれど、ギスギスしていたのは間違いないでしょう。
政宗には、会津とその統治者に突っかかっていくオラつき傾向を感じます。
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誰にでも喧嘩を売る性格とまとめれば、それはその通りではあるのですが。
人生最大の快勝。
若くして得た奥州の要。
会津抜きの奥州探題なんて画竜点睛だぜ!
やっぱり奥州を統治するのであれば、会津が欲しいんだよ!
米沢のような政宗生誕の土地でもなければ、仙台のように築き上げた土地でもない。
岩出山の方がずっと縁がある。
それでも政宗にとって、何かと因縁がある。
政宗が欲しかったもの。それは、天下よりも会津だった――そんな可能性も感じさせるのです。
興味深いことに現代では立派な観光資源
会津側から見たらいい迷惑でしかありません。
八つ当たりで殴られ、燃やされた、大災難。
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そんな伊達家の仙台藩と会津藩が、幕末に手を組むのは有名な話ですね。
戊辰戦争に敗れた後、屯田兵として真っ先に北海道へ移住したのも両藩でした。
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当時は大迷惑であった、そんな会津にとっての政宗。
しかし、現代では立派な観光資源として、会津に恩恵をもたらす存在になっているのが興味深い。
2019年に入りVOD(動画配信サービス)がますます加熱していく中、あのNetflixが、伊達政宗のドキュメンタリードラマ製作を開始したのです。
事前の評判では和風『ゲーム・オブ・スローンズ』とされる壮大なスケールの作品で、かつ世界配信が決定。
先陣と言ってもいい名誉なことでしょう。
◆Netflix、戦国武将・伊達政宗の実録ドラマを製作へ ─ コミックと日本美術に敬意、北米ドキュメンタリー製作チームが手がける(→link)
政宗が会津に執着する過程が世界に届くなんて――これは快挙ではありませんか。観光効果も期待できますね。
さぁ、政宗の恩返しを期待しようではありませんか。
会津旅行の際は、その息吹を感じてみたい。
もちろん、蘆名の息吹もお忘れなきよう。
会津を幕末だけと片付けては、あまりに勿体ない。
馬刺し、ソースカツ丼、蕎麦、喜多方ラーメン、日本酒、そして歴史。皆さんへオススメしたい食も歴史も色々とあるのです。
政宗――Netflixで会津、奥羽、日本どころじゃない、今度は世界制覇だ!
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【参考文献】
林哲『会津芦名四代』(→amazon)
林哲『会津芦名一族』(→amazon)
野口信一『会津ちょっといい歴史』(→amazon)
遠藤ゆり子『東北の中世史4 伊達史と戦国騒乱』(→amazon)
高橋充『東北の中世史5 東北近世の胎動』(→amazon)
遠藤ゆり子『戦国時代の南奥羽社会』(→amazon)
他