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【島津家久】
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光秀や信長に接した上洛旅が微笑ましい
家久は天正3年(1575年)、初の上京を果たしました。
島津氏の三州平定に伴う神仏加護を伊勢神宮・愛宕山より得るためです。
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この旅については『中書家久公御上京日記』という文書に詳細な記載が残されており、史料的にもエピソード的にも見どころの多いものです。
まず、上洛の途中で八女(現在の福岡県八女市)のあたりに到着した際、難癖をつけてきた関守を部下に命じて殴打させると、室津(現在の兵庫県たつの市)では口うるさい水夫をまたもや殴打しました。
この行動を見た家久は、諫めるでも叱るでもなく「素晴らしい振舞いだ!」と部下を絶賛。さすがは薩摩人といったところでしょうか……。
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些細なトラブルを経ながら都へ入った家久は、当時名を馳せていた連歌師の里村紹巴と交流し、また彼のツテで公家や商人とも盛んに交流しました。
それだけではありません。
当時、同じく上洛を果たしていた織田信長の軍勢や城をいくつか見学し、その様子を日記にしたためていたようです。
このとき目撃した信長の軍勢が豪勢であったことを記録すると同時に、お茶目なことも記しています。
「信長、馬上で居眠りしてたぜ(笑)」
当時、信長は42歳頃でありながら、相変わらず戦場を駆け回っていて、よほど疲れていたのでしょう。
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ジワリ……と家久の文才を感じてしまいますが、実は教養面に関しては疎かったようで、明智光秀と面会した際に茶を勧められるとこう答えています。
「申し訳ない。茶道の礼儀は存じ上げぬゆえ、白湯にしていただけないだろうか」
教養溢れる人物として知られる光秀からは連歌会にも誘われますが、これも辞退しています。
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こうして日記に自分の教養不足を書き残してしまう家久が非常に身近に感じられますし、大都会・京都への旅で新鮮に驚く様は微笑ましい限りです。
しかし、家久とて薩摩・島津の代表として出向いているのですから、遊びだけではなかったことでしょう。
光秀と交流していることから、真の狙いは織田信長との関係作り、中央の情報収集であったと考えるほうが自然ですし、そのために逐一記録をつけていたのも合点がいきます。
こうしてわずかの期間ながら京都を満喫した家久。
薩摩へ帰還すると、彼の伝説的な活躍が開幕するのです。
耳川の戦い
国元へ戻った家久は天正4年(1576年)、伊東氏の支配下だった日向国高原城攻めに参加。
そこでも城の占領に大きく貢献し、力を見せつけました。
天正6年(1578年)には、一つ目の大殊勲【耳川の戦い】を迎えます。
没落した伊東氏の救援に大軍で押し寄せてきた大友宗麟の軍勢を、高城という要衝に籠った家久がよく耐え抜き、最終的には【釣り野伏せ】による戦術で大逆転に貢献するのです。
詳細は以下の記事に譲りますが、
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家久としては、大友を日向国から追放できた勲功により、同国の佐土原を領地として与えられました。
以降は、同じく島津家家臣の上井覚兼(うわいかっけん)と共に日向地方の統治者という性格を帯びるようになっていきます。
天正9年(1581年)には肥後の相良氏支配下にあった水俣城を襲撃。
以降もたびたび肥後の地へ進軍し、相良氏を降伏させることに成功しました。
こうして島津の領土拡張に多大なる貢献を果たしている最中、最大の敵である龍造寺氏の攻勢に耐えかねた肥前の有馬晴信から、救援要請の報が届きました。
敵・龍造寺の軍勢2万5千~5万とも(史料によってまちまち)。
対する島津勢は、援軍を出せても最大3千程度。有馬の軍勢と合わせて、わずか5千余の寡兵で万単位の軍勢に挑まなければならない状況でした。
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