やったー!
死者との戦いが終わったぞー!
グレートウォー(生者と死者の大戦)の5W1Hをマトメておきますと……。
◆When(いつ)
304〜305
◆Where(どこで)
ウィンターフェルで阻止
◆Who(誰が)
女王デナーリス・ターガリエン
その配下の北部総督ジョン・スノウおよびサンサ・スターク
総帥エディソン・トレット率いるナイトウォッチ
トアマンド率いる自由の民
シオン・グレイジョイ以下グレイジョイ家
ジェイミー・ラニスター
ブライエニー・オブ・タース
アリア・スターク
メリサンドル他
vs
ナイツキング率いる死者の軍団
(サーセイ・ラニスター、ユーロン・グレイジョイ、ゴールデンカンパニーは不参加)
◆What(何を)
死者の軍勢との戦いのため、生者同士は団結し戦わねばならない
ウェスタロスの運命を賭けた戦いだった
◆How(どのように)
アリア・スタークによるナイツキング襲撃により勝利
◆影響・結果
北部大打撃
アンバー家、モーモント家当主死亡
食料が兵糧として大量に消費される
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戦いには勝った――されど、その代償は大きい。
さようなら、サー・ジョラー。デナーリスがその死を惜しみ、葬ります。
さようなら、シオン。サンサも泣いています。
勇者はかくして葬られていくのです。
ここでジョンの演説です。
自らを犠牲にし、散っていった者たち。
生存者は、この借りを返せない。この偉業を、語り継ぐと誓う。
我々の子孫。そしてその子孫たち。
人が続く限りずっとそうする。こんな勇者はもう現れない!
やはり、あの戦いでの死者は幸せだったと言えるのかもしれない。
ここから先は、見ない方がよいことがありそうで……先週も紹介したゲーム版は、メリサンドル視点でした。
つまり、死者を倒せばそれでおしまい。
その時点で、それから先は割と平穏ですが。ドラマは違うようでして。
遺体損壊(※狼ヘッドをくっつけるとか、犬の餌とか)や、遺体と遺品の返還騒動は発生しないようです。
一括で火葬ならば、取り戻すということにはなりませんからね。
彼らの屍に火が放たれるのでした。
これで一応の戦後処理は終わり……ではない。
ここからが大変ですし、ここから先は誰も死なないなんてこともあるわけがない。
ストームズエンドの領主・ジェンドリー公
遺体を焼く匂いの中、宴会が始まります。
ハウンドがなんだかぶつぶつと皮肉を言っています。彼の中ではおさまらないものがあるようでして。
デナーリスが、ジェンドリーを呼び出します。
そして、詰め寄ること。
「お前の父のロバートが、我が父に叛乱を起こしたんだな」
なんだか嫌な雰囲気です。ところが、ここで逆転。
ストームズエンドの領主は不在。
確かにロバートとその子も、スタニスも、レンリーも、その子供も不在です。
そのストームズエンドの領主にすると決めたと宣言するのでした。
ウェスタロスでは、庶出であっても嫡出認定可能であることは、ラムジー・ボルトンという前例があります。
やっとまともな判断ですね。
これで恩義を打って、一人の領主を確実に支配下におけます。
「ジェンドリー公!」
すごいぞ、ジェンドリー。よくぞここまでたどり着けました。
しかも褒賞としては巧みです。
これにはティリオンも素直に感心しています。
ただ、サーセイからすれば最悪の処置だとは思いますよ。
お互いが理解できない者たち
このあと、ダヴォスはメリサンドルの死について、複雑な気持ちをティリオン相手に語っています。
手を下す前に、自ら死を選んでしまったと。
ダヴォスにはメリサンドルが理解できない。
彼女は人間らしい忠誠心とか、愛とか、そうではなくて信仰心だけで生きていましたからねえ。
「ならそれでいいんじゃね」と突き放すティリオン。
そういうもんだとは思いますよ。理解ができないなら、それはそれでいいじゃない。
ティリオンは、ブランの車椅子を褒めます。
俺の考えた馬の鞍よりいいじゃん、って。これは、ディロン・ターガリエンという歴史上の人物と同じものだそうでして。
スタークを支配しないといけないな、と言われてもブランは断ります。
ブランは嫡出の男子であり、今後の結婚や後継者育成には問題があるかもしれません。
とはいえ、継承権を請求してもよいはず。彼自身は領主を望まないと言い切るのですが。
ティリオンは羨ましいね〜と返します。
彼からすれば、権力より自由を選ぶなんていいじゃんということでしょう。
しかし、ブランはそうじゃない。もう過去に生きているようなものだから、と言います。彼の苦しみも孤独も、もう彼しかわからないのでしょう。
戦を終えて宴会をしている。
共通の敵と戦っている間は理解できたのに、もうできなくなっている。
ティリオンほどの知恵があろうとそういうもの。そんな虚しさがあります。
宴席では、ドラゴンの女王と英雄となったアリアへの賛美がなされています。
ただ、その賛美を受ける側がどう感じているのか、ちょっとわかりません。
賭けの対象となる過去と貞操
ブライエニーは、ラニスター兄弟と賭けて酒を飲んでいます。
本当のことを言われたら飲もうぜゲームですね。ティリオンとシェイが遊んでいたっけ。
ジョンは、トアマンドから大絶賛されております。
「ドラゴンに乗って戦うなんて、あんたすげーよ!!」
そんな中、デナーリスの目がどんどん冷たくなっていって怖い……。
おぅジョン、お前なぁ、私が蘇らせたからのドラゴンやろが?
あ? 調子乗ってんじゃねえぞテメー。
そういう目つきと言いますか。
ゲームでは、ブライエニーがティリオンに「サンサの前にも結婚していたでしょ〜」なんて聞いています。
それを聞くのはちょっと……しかもジェイミーがいるし。
ティリオン初婚の妻は、ティシャという庶民の娘です。
16歳の時、暴漢に襲われている彼女を救出し、恋に落ち、結婚までしました。
しかし、これが狂言でして。
ティシャは雇われた娼婦。そろそろ弟も童貞を捨てる頃だと。それで終わりかと思ったら、まさか結婚まで言い出してネタをばらしたのです。
このあと、タイウィンはこの結婚を諦めさせるため、彼女を部下の兵士たちに陵辱させました。
ティリオンにはその様子を見ていると言いつけて。陵辱のたび、彼女の手には銀貨がこぼれおち、その音がティリオンの耳に焼きついたのです。
ここまでが、ドラマと原作共通設定。
ここからは原作の設定です。
タイウィンは、陵辱の最後はお前だとティリオンに告げました。そしてその対価は、ラニスターらしく金貨で支払えとも。
ティリオンが裁判で死刑となったあと、逃す過程でジェイミーはさらに告白をします。
ティシャのことは狂言ではなかった。本物の庶民の娘で、娼婦ではなかったのだと。
ただ、タイウィンは庶民との結婚を嫌っていました。
亡き父が庶民出身の愛人を作り、その女に彼の母である亡妻の形見を贈ったことに激怒していたのです。
そういう過去の因縁もあって、我が子の結婚をぶち壊したのでした。
ティリオンは、この話を聞いた直後に父を射殺します。
そして、黙っていた兄貴も許さねえと誓ったのでした。原作はともかく、ドラマでは和解しております。
このあと、処女だかどうかと迫られる賭けのネタとして言われるブライエニー。
おいティリオン! やめなさいって。自分の結婚ネタが腹に据えかねたのかな?
ここでごまかして彼女はトイレに行きます。そういうのやめろよー。
ハウンドは、ブライエニーに失恋確定したぽい、そんなトアマンドにからまれて辛そうです。
私はもう、小鳥ではない
サンサもなんだか複雑そうな表情。
ハウンドは全然楽しそうじゃない。満たされるものはないとハウンドはサンサに言います。
「昔は自分を見てくれなかなかったよな」
そうサンサに語りかけるハウンドです。
ハウンドは、サンサに憧れのような複雑な気持ちを感じていたのです。
ジョフリーに恋をしている、あまりに繊細で、可憐で、汚れのない少女。
少女を何度か危険から守ったのに、彼女は感謝をするどころか、怯えて見ようともしない。
そんな少女は、もうそこにはいません。
サンサは「もっと醜いものを見てきたから……」と語ります。
ラムジーとの体験、そして犬の餌にしたこと。うん、あなたは苦労したね。
※犬の餌になっちゃった……
「小鳥よ、あのとき俺と都から出ていたら、ラムジーもリトルフィンガーにも出会わなかったのに」
かつてサンサに逃亡を呼びかけたのに、彼女は断りました。
そう語るハウンド。
「でもそのおかげで、私は小鳥ではなくなった」
そうサンサは語るのでした。
かつてハウンドが憧れた、小鳥はもうそこにはいません。小鳥でないなら、何なのでしょうか。
私がレディであったことはない
そのころ、アリアは弓矢の訓練中でした。
ジェンドリーが、寒いし中で祝えばいいと言います。宴会が合わないようです。
そして、本作屈指のストレートかつロマンチックなプロポーズをするのでした。
「俺、実はストームズエンドの領主になったんだ。君を愛しているんだ、君がいないと虚しいんだ、一緒にいてくれ!」
そう求婚するジェンドリー。
アリアは、そんな彼にそっと優しくキスをします。
「あなたはよい領主になる。あなたの妻は幸せになるだろう。でも私はレディじゃない。最初から違う。私じゃない」
そうきっぱりと断るのでした。
エダードが処刑され、サンサが捕まったあと。アリアは男装して、ジェンドリーと逃亡しました。
その性別と身分を知った時、ジェンドリーはレディじゃねえかと驚いたものです。
あの頃から、レディなんていなかったんだぜ。
ブランはもう、領主になりたいと思わない。過去を生きている。
サンサはもう、小鳥ではない。もっと別の何かだ。
アリアはもう、いや最初から、レディであることを捨てていた。
そんなスタークのきょうだいでした。
二人の騎士
トイレに立ったまま、ブライエニーはゲームをやめて部屋に。ジェイミーと二人きりになります。
「まだ酒を飲んでいない。あれはゲームだったろ」
そう言い、ジェイミーはブライエニーに酒を勧めてます。
ジェイミーは部屋があたたかいなぁ、と言います。ブライエニーは北部に来て、まず暖炉に薪を足すことを学んだのだと語ります。
ジェイミーは、北部に来て真っ先に、こんなところは嫌いだと学んだそうです。
嫌味を混ぜてブライエニーをからかいながらも、トアマンドへの対抗心と嫉妬をちょっとだけ見せます。
「この部屋は暖かいな」
そう意味深に語るジェイミー。
そして、ブライエニーの服を脱がせにかかるのです。
なんだか慣れてるね〜、いい男だね〜、と思いますか?
それはどうですかね。ティリオンほど遊び人じゃないからね。
実はサーセイ以外とは、初めてこうなっている。そんなジェイミーです。
「俺は騎士と寝たことはないんだ」
「私は誰とも寝たことはない」
そう語りつつ、結ばれる二人でした。
アリアとジェンドリー。
そしてこの二人も、ファンでは定番かつ人気のカップルです。みんなやったね、よかったね!
あ、アリアとジェンドリーは壊れたか……。
言うなよ、いいか、絶対言うなよ!
デナーリスは、ジョンの元へ向かいます。
ここで出てくるのが、ジョラーの名前でした。や、やめてあげてよぉーっ!
「ジョラーの愛は知っていたけれど、あなたのようには愛せなかった」
残酷すぎる。
海外での彼のあだ名が【ズッ友公】だと思い出すと、泣けてきます。
※追悼ズッ友公
そんなふうに名前を出されながら、チュウされるジョラー。
ジョラーが救われなさすて辛いものがあります。
しかし、あのことを知ったからにはもう進めない。そう語りだすデナーリス。
死者との戦争は終わった。そんな今、皆はジョンを見ている。
期待を込めた周囲の目。いくら彼が無欲でも、北の王と言い、周囲が持ち上げたらどうするのか?
もしも、アリアではなくデナーリスがナイツキングにとどめを刺していたら、状況は異なったはず。
しかし、現実は厳しい。
ナイツキングに決定打を与えたのは、アリア(実行者)とブラン(囮)、戦争前のインフラ管理主担当者はサンサでした。
デナーリスとジョンが、決戦前夜にいちゃついていたという噂が広がれば、決定的な憎悪になるはず。
さらにジョンがスタークではなくターガリエンと名乗ったら、北部諸侯はどれだけ激昂することでしょうか
冒頭で葬られたジョラーとリアナの二人。
このモーモントの不在も痛いかもしれない。
リアナにきょうだいなり、イトコがいて、家そのものは存続している可能性があります。
原作ではそうです。
家そのものはさておき、大きな存在が消えました。
デナーリスにとってのジョラーは大きな存在でした。
彼ならば北部と彼女をとりなすこともできたかもしれない。
ジョンにとってのリアナもそう。ジョンこそが北部の王だと推戴した立役者です。
生来の弁舌と聡明さで、何らかの役割は果たせたことでしょう。
そんな危険を、デナーリスはわかっているのか。
デナーリスは、ブランとサムを口止めし、ジョンの正体を絶対に漏らすなと誓わせるのです。
「今までの私たちでいたいの!」
しかし、それはもう無理かもしれない。
だってジョンは、サンサとアリアには伝えるというのだから。
サンサはやめて。
そうデナーリスが警戒心とサンサの変化を告げても、ジョンには通じない。
「真実を話さないといけない。君は俺の女王だ。それが変わることはない。でもあの二人は家族なんだ。俺たちは一緒にいられる」
「いられるわ。言わなければ」
何本フラグ立ったのこれ?
そんなおそろしい会話です。
こういうことを言うのは気が引けるんですけど、ジョン……君は自分を信じていたはずの兄弟から腹をブスブス刺されて死んでも、何も学べなかったのかな?
あのときも、自分が助けた少年だから大丈夫と思っていたオリーに、やられたじゃないですか。
お互い、愛しているから大丈夫ということでもなく、証文一筆くらい書けやと言いたくもなります。
サーセイ討つべし!
半数が崩壊した北部。
そして【ゴールデンカンパニー】が到着。ラニスターが有利です。
それでもサーセイ討つべし!
そうデナーリスは語り始めます。
キングスランディングには手を付けずに、サーセイだけを殺すこと。それこそが目標です。
それならアリアあたりが得意そうですけどね。
うーん、デナーリスさん!
暗殺者雇用は検討しませんか?
そういう方向には行かないらしい。
グレイジョイもドーンも、ラニスターから離反しています。それでも、サーセイは倒さなければならないとデナーリスは主張するばかりです。
冬が来れば、食料も尽きる。
このままですと、状況変化は避けられません。
サンサは不満があります。
兵士は疲れています。傷ついています。回復を待つべきだと言うわけです。
北部諸侯はかなり傷ついています。党首とその嫡子が損害を受けた家も多いことでしょう。ここで立て直しをしなければ、危険な状況です。
しかし、デナーリスは理解できていない。
せっかく北までわが軍を率いて来てやったのに、進軍を遅らせるのか? 恩義に欠けているぞと詰ります。
デナーリスが、一致団結を終えた後、崩壊していく愚将の典型で、見ていて辛いものがある。
これは【生者】と【死者】の最終決戦だ、人類存亡を賭けたわけでしょうが。
それで戦功一番、決定打を決める。流血も多い。宿舎や食料も提供。
そこまでしても、こんな扱いを受けて、北部が忘れると思うのか、アアン!?
そうイラつきたくなるほど、デナーリスがダメです。
これは結構大事なことだと思います。
デナーリスは、ジェンドリーをストームズエンド公に任命しましたよね。
名案のようで、ちょっと危うい。領主としての教育を受けていないとジェンドリーが不安をアリアにこぼしましたが、その通りです。
人の上に立つ教育。
ウェスタロスの貴族がどういうパワーバランスの元で生きているのか。
デナーリスはあまりに無知すぎる。
だからこそターリー父子を気持ちのままに殺すようなこともしてしまう。
サンサはその点違います。
リトルフィンガーの薫陶もあったでしょうし、デナーリスよりはるかに上でしょう。
ティリオンは、そこを教え込むべきでした。そんな不満を抱えたまま、軍議は進みます。
ジョンとダヴォスが陸路。
デナーリスは船で海路。
ドラゴンで空路。
そしてジェイミーはいずれ王都へ。
正統なる女王の元で、最終決戦だ! そうデナーリスは言い切ります。
ここで必要なのは、正統な血統ではなく知略じゃないか。
そう突っ込みたくなってきた。
「信賞必罰」が大事だろう
このあと、ウィアウッド前で一騒動が起こります。
デナーリスへの支持を誓うジョンに、サンサは不満そうです。
前述の通り、サンサと北部全体の不満が背景にあります。
ここでデナーリス支持しか言えないジョン。本当にお前はダメだ!
「信賞必罰」と言う言葉がある。出典は『韓非子』ですね。
功績を挙げた者はきっちりと報い、失態を犯した者には罰則を与えること。
この点、サンサのほうがよほどセンスがいい。
サンサがラムジーを犬の餌にしたことに賛否両論があるようですが、彼を生かしておくメリットはありませんし、悪事をした者には報いが必要なのです。
ラムジーは、北部全体に打撃を与えかねない悪事をやらかした。
犬の餌にするくらい、もっともなことです。
生かしておくメリットが十分にある。そんなターリー父子を処刑したデナーリスとは、センスが違うんです。
サンサには、信賞必罰を考えているような場面は結構ある。
机に座って、北部諸侯といろいろ話している場面で、それをきっちりとこなしていると思えます。
ですから、ジョンにそういうセンスがあるのであれば、サンサの不満に寄り添うべきですよ。
女の子がぶーたれてる。
そういうレベルで見ていないか? ジョンよ。
そうではなく一人の将として、多くの配下を持つ主君として、サンサは不満なんだよ!
アリアも、デナーリスの援軍に感謝しつつも、ジョンに反対します。
あいつは家族じゃないのに。私たちこそ最後のスターク家なのに。あんたはあっちの女ばっかだな。そういうのです。
ここでジョンは、戸惑いつつこう言います。
「俺はスタークじゃない」
サンサとアリアは戸惑い、真相を知るブランは、好きにすればいいと投げます。
ここで誰にも言うなと口止めしたうえで、ジョンは告白します。
「ウィアウッド前で誓え」
そう言い切ってから、ジョンは語り出すと見せかけ、ブランに任せます。
せめて自分の口で言おうよ!
一応、ジョンなりに考えたとは思います。
スターク家が信仰する、その象徴であるウィアウッド前で誓うならいいだろう、って。
あんた何も知らないんだね、ジョン・スノウ……と思わず突っ込みます。
「俺はスタークじゃない」って言ったじゃないですか。
しかも、よりにもよってウィアウッド前で、スターク家の生存者の前で。
もう、あなたとスターク家の神々との縁は切れましたよ。
ならば、他の三人が誓いを裏切っても、それはそれでありだと言うことになりませんか?
サンサの知能であれば、神を説得するくらいの理屈を思いつくことでしょう。
ジョンは、スターク家の象徴前で、そのスタークの庇護から離れました。
しかし、そんな彼を、デナーリスが受け入れるのでしょうか?
ジョンは、もうこの世界の全てから切り離されてしまったのかもしれません。
兄弟よ、俺をいくらで買うんだ?
一方で、ラニスター兄弟は、ダラダラと会話をしております。
ここでティリオンは、ブライエニーのアレどんな感じだったか言えよ〜と兄に迫ります。
金髪長身同士でいいじゃん〜、だって。おいおいおい。
そして颯爽とブロン登場。
おいっ、お前は殺しにきたんだよね? 減らず口をペラペラと叩きます。
ブロンはいきなりティリオンを殴りながら、こう言います。
「あんたらの姉貴は、リヴァーランをくれるってよぉ」
キャトリンの実家であるタリー家の領地ですね。
キャトリンの叔父たちが守るものの陥落し、フレイ家の領地となっています。そのフレイ家も、アリアがパイにしちゃってあの状態ですから。
「おめーはそれを真に受けてんのかよ?」
「いや、あの姉貴だってドラゴンには勝てねえよ。俺にはわかる」
ここでティリオンはこう言い出します。
「昔、言ったよな? 俺を殺す依頼があれば言えよ。俺はその倍払うって」
「倍ぃ? 証拠出せや」
「ハイガーデンでどうよ」
ハイガーデンは、ティレル家の領地です。ティレル家の強みはその財力でした。
そのティレル家を大聖堂ごと爆破し、最後に残ったオレナを自害に追い込んだのがサーセイでしたっけ。
ウェスタロスで一番の金持ち、お金がザクザクのハイガーデン! そう聞かされて、ブロンは心が揺らぎます。一生遊んで暮らせるどころの話じゃねえ!
ここでブロンは、ボウガンを振り回しつつ、カッコいいセリフを言います。
「数人を殺せばよぉ〜、殺人者扱いよ。それなのに数百人単位だと英雄で、数千人だと御領主様だ。おめえらだって、そういうクソッタレの子孫だよなぁ。クソッタレの末裔どもが争いやがって、ゲスにもほどがあるぜ。まぁいい、これから戦いが終わろうが、殺し合いは終わらねえぜ。いいか、死ぬなよぉ」
どうやら買収成功のようです。
サーセイの予言と、ジェニーの踊り
さて、ここでサーセイの弟二人と予言についてでも。
原作にはあったものの、ドラマ版ではどこまで有用であるかはわかりません。
サーセイは少女時代、【森の子供たち】とつながりがあるとされる【森の魔女】であるマギーから予言を受けています。
「ねえ、私は王子(※レイガー・ターガリエンのことジョンの父、デナーリスの兄)のお妃になりたいの!」
そんな彼女は、衝撃的なことを言われたのです。
・お前は王子(レイガー)ではなく、王(ロバート)と結婚する→◯
・王の子は20人、王妃の子は3人生まれる→◯
・お前の子は黄金の冠と屍衣を着るだろう→◯
・お前はクィーン(王妃、女王)になるだろう。しかし、より若く、美しいクィーンにその座を追われる→???
テレビではここまで。
原作ではもう一つ加わります。
・お前の弟が、お前の首に手を巻きつけて息の根を止めるだろう→???
サーセイがブロンに弟二人を殺せと命じた理由。
裏切りへの怒りもあるでしょうが、予言を恐れてとのこととも言えます。
さて、この予言を実行するのは誰なのでしょうか?
サーセイより若く美しいクィーンとは、デナーリスとサンサが該当します。
そして弟。
左手のないジェイミーは、サーセイの首に手を巻き付けられない(複数形)……とも考えられます。
そしてもうひとつ、考えたいこと。
ジェニーは、マギーと同じ【森の魔女】の予言を使い、愛する人との結婚を実現させました。
その結果生まれた【運命の子】が、デナーリスとジョンなのです。
特に意味のない歌を、わざわざエンドロールで流したとも考えにくい。
これは重要な伏線でしょう。
ジェニーは、壁が崩れて落ちるまで、歌い続ける。
つまり、もう彼女は歌っていないのです……。
やり残したことがあるんでな
ハウンドが朝、一人ウィンターフェルから去ろうとすると、アリアがいるのでした。
気が合わないようで、あう二人。群衆が嫌いだと言うあうのでした。
アリアはあの宴会で、主役でもよかったはず。
それなのに、弓矢の特訓ですからね。飲みニケーションとかぶっ潰すぞタイプなのでしょう。
英雄なんて呼ばれたくねえし。そう言うアリアです。
ナイツキング殺しは楽しかっただろ、そうハウンドに言われるとそりゃそうだとは言います。
殺されるよりはマシだもんな、だってさ。
二人は「王都でやり残したことをやらねえとな」と言い合うのでした。二人とも、ウィンターフェルに二度ともどらないと言いあいます。
さて、そのやり残したこととは?
ハウンドはマウンテン殺害でしょう。
人ではない何かになった、兄であり宿敵。これを始末しないとおさまらない。
アリアは?
まだ殺すリストが残っています。
◆生存かつ免罪
マウンテン(マイカー殺害):ブライエニー戦で死にかけたところを放置したし、気が済んだ
◆死亡、アリア以外による
メリサンドル(ジェンドリー誘拐):【死者との戦い】のあと自害
ベリック・ドンダリオン(ジェンドリー誘拐):【死者との戦い】で戦死
ミアのソロス(ジェンドリー誘拐):【死者との戦い】前哨戦で戦死
ジョフリー・バラシオン(エダード処刑命令その他諸々):ティレル家による暗殺
タイウィン・ラニスター(宿敵):ティリオンによる暗殺
◆アリアが暗殺
ウォルダー・フレイとその家族(家族の仇):パイにしたり、そのパイを食べさせたり
マーリン・トラント(師匠の仇):娼館で暗殺
ポリヴァー(友の仇):ニードルで刺殺
◆生存
サーセイ・ラニスター(家族の仇):生存
イリーン・ペイン(父の斬首):生存、ちなみにポドリックと親戚にあたる
まだ2名残っています。
そして先週、メリサンドルはアリアに「茶色の目(該当者多数)、緑の目、青い目(ナイツキングが該当)を殺す」と言いました。
緑の目とは、本作ではラニスター家に該当者が多いのです。
ドラマだとわかりにくいのですが、ラニスター家は金髪と緑の目が特徴です。
ただ、これも結構一致しないと言いますか。
ジェイミーとティリオンは、髪型の変化もあってか、シーズンがくだるにつれて茶色の髪の毛に見えていますよね。
まぁ、実際に一致しなくても、設定上は金髪緑眼ってことです。
つまりアリアが殺す緑の目とは、ラニスターである可能性があります。
他に候補者がいたらどうするのか?
ドラゴンを手なずけるデナーリス。
そんな空を飛ぶ二頭を見るサンサ。彼女に、ティリオンが語りかけて来ます。
「閣下」
レディではなく、そう言ったこと。彼なりにサンサの変化を感じているのでしょう。
サンサは、断固としてデナーリスを嫌っている。そう悟っているティリオン。
そんなサンサに、ティリオンは和解を解きます。
私と和解しなくたって、ジョンを北部総督にすればいい。そうそっけない返事のサンサです。
ティリオンはジョンとデナーリスの共同統治を提案します。
「サンサ、俺を見ろ。ジョンが王となれば、北部の支配者はきみだ」
デナーリスに従えばいい。挑発しなくていい。逆らうことはない。
北部はきみのもの。
そう言い切るのです。
ティリオンは、サンサの北部支配への野望を感じているのでしょう。ブランではない、サンサにそれがあったのです。
しかし、サンサはそっけないものです。
「スターク家の男は、首都に連れて行きたくない。ろくな目にあわないから」
はい、ここでちょっとその具体例でも。
サンサの祖父・リカードと嫡子ブランドン:エイリス2世に逮捕される。リカードが【炎素】で生きたまま焼き殺される中、ブランドンは前進すると鎖で喉を締め付けられるように縛られる。父を救おうと前進して、ブランドンは縊死
父・エダード:斬首
サンサって、最近こういうセリフが増えてきましたね。
相手が「それを言われたら何も言えんわな」となる系のセリフです。
ジョン相手には、相手が鈍すぎてまるで通じていないんですけど。ティリオンにはわかっているようでして。
「けどねえ、デナーリスは信頼を寄せる民が大勢いるんだ。あれ以上の王となり得る候補はいない」
しかし、サンサの顔は厳しい。
「ティリオン、もし他にいるとしたら? もっといい候補が」
そう彼女は言い切ります。
それって彼しかいませんよ。
親友との別れ
ジョンは、ドラゴンのレイガルではなく、馬で移動するといいます。
3頭いるドラゴンですが、結構象徴的な運命になっています。
ヴィセーリオン:デナーリスの兄ヴィセーリスが由来。ナイツキングが乗り、乗り手ともども死亡
レイガル:ジョンの父であり、デナーリスの兄であるレイガーが由来。ジョンが乗る
ドロゴン:デナーリスの亡夫・ドロゴが由来。デナーリスが乗る
ブライエニー相手に失恋してしまったトアマンドは、もう【自由の民】は住んでいた場所に戻ると言い出します。
冬の嵐のあと【黒の城】を抜けて戻る。そう言うのです。
それならばゴーストも連れて言ってくれ、そう頼むジョンです。
あのダイアウルフは、元は向こうにいるべきものだからって。
えー!
ゴーストそうなっちゃうの?
ずっと行方不明で、やっと出てきたらそうなの?
寂しすぎるでしょう。
実は、飼い主と連動していると思われるダイアウルフの運命でも。
グレイウィンド(灰色の風):ロブとほぼ同時に殺害。ロブの死体はこの頭を縫い付けられ、辱められた
レディ(淑女):サンサ。アリアがジョフリーと諍いを起こした際に、アリアのものの身代わりになって殺害される
ナイメリア(伝説の女戦士):アリアがジョフリーと諍いを起こした際に、アリアが逃す。のちにアリア再会するが一瞬だけ。狼の群で君臨している
サマー(夏):ブランを庇って死亡
シャギードッグ(ふさふさの犬):リコン捕縛時に殺害
ダイアウルフは、役割を終えて去っているのかもしれない。でもゴーストまで不在になるのは寂しいぞ。
トアマンドに、自分も同行したかった、そう語るジョン。
「お前には北部がついている。真の北部が」
そう励まし、去って行くトアマンドでした。
もうトアマンドとゴースト外伝をやろうよ。そんな意見も出ているようです。
サムとジリは、オールドタウンに向かうようです。
生まれた子が男ならば、ジョンという名前ににすると告げるジリ。ジョンは複雑そうな顔をしています。
「女だといいな」
うーん、ジョン……本名そうじゃないよオーラが出ていて危険じゃないか?
一番の親友だったとサムが告げる中、俺にもそうだとジョンは答えます。
抱き合い、別れる親友同士です。
ゴーストも、ジョンをじっと見守っているのでした。
ヴァリスにバラしたらいかんだろ
ターガリエンの旗をかかげ、海を進む艦隊。
その船上には、グレイワームとミッサンディの姿があります。
ここでティリオンは、ヴァリスに衝撃の情報を語ります。
ジョン・スノウこそエイゴン・ターガリエンだということです。
あ、サンサが早速ティリオンに話していたのか。
何人が知っているのかと、ヴァリスは言います。8人です。
1 ブラン・スターク(※嫡出かどうかは未確認)
2 サムウェル・ターリー(※嫡出と確認)
3 ジョン・スノウ
4 デナーリス・ターガリエン
5 サンサ・スターク
6 アリア・スターク
7 ティリオン・ラニスター
8 ヴァリス
「これではもう情報だ」
ヴァリスは断言します。
8人では、もう多すぎます。デナーリスが漏らした人間を追い詰め殺そうとしても、特定が難しくなりました。
そしてヴァリスは、スパイ網を持っています。
子供たちにその情報をばらまくように言えば、それで終わりです。
「これでもう北部は手に入らない。ジョン自身は無欲でも、魅力がある。野人と北部の人にも慕われています。女王を愛していようが、こうなっては危険です」
「結婚して統治すればいい」
ティリオンはそう反論します。
近親結婚が当然であったターガリエン出身のデナーリスはともかくとして、北部育ちのジョンには認められないはず。そうヴァリスは断言します。
「女王は、王位に嫌疑がかかるだけでも嫌なのです。今はもう精神状態が最悪でしょう」
「ま、それはそもかくとりあえず都を征服せんとな。サーセイに全員殺されたら、ある意味解決だ」
そう皮肉を言うしかないティリオン。
これほどの知略の持ち主でも、そう話をそらすしかない。彼自身が、難題だと認めている証拠ではないでしょうか。
落龍の海
デナーリスが二頭のドラゴンで飛んでいると、衝撃の展開が起こります。
レイガルにいきなり矢が刺さりまくってしまうのです。
ドラゴンが海に落ちて行く。なんてこった!
なんと、ユーロン・グレイジョイ艦隊が接近し、射撃してきたのでした。
怒り、ドラゴンとともに突っ込んで行くデナーリス。しかし、それはあまりに無謀です。
グレイジョイ艦隊は、しかもデナーリスの艦隊を挟撃してきます。
海戦での彼らはほぼ最強です。
時代背景的には、大砲はありません。そういう時代に、ドラゴンすら落とす大型の弩があれば、強いに決まっています。
一度目の惨敗のあと、ラニスター家ではあの新兵器を量産していたのです。
ティリオンの乗船すら、大打撃を受けてしまいます。
次の場面では、浜辺に這々の体で上陸するティリオンとヴァリスグレイワームが映ります。
ここで、悲痛な叫び声がグレイワームの喉から漏れるのです。
「ミッサンディ! ミッサンディ!」
彼女はいませんでした。
【ドラゴンストーンの戦い】
◆When(いつ)
305
◆Where(どこで)
ドラゴンストーン、ブラックウォーター湾
◆Who(誰が)
女王デナーリス・ターガリエン艦隊
vs
ユーロン・グレイジョイ艦隊
◆What(何を)
キングスランディングに迫るデナーリス迎撃
◆How(どのように)
ユーロン艦隊の奇襲により、レイガル死亡。ミッサンディは捕虜に。デナーリス艦隊壊滅
それにしても、デナーリスには学習能力ってもんがないんですか。
ドラゴンに乗るスキルは、事実上、ジョンも習得したと言えども、ほぼ彼女一人のものとはいえ。
以前、あの兵器は見ていました。
ヴィセーリオンがああなったのも、地上からの狙撃に気づかなかったからでしたよね。
対策の練り用はあったのではないでしょうか。
あんな上空を、何にも気づかずに飛び回っていたって、無防備にもほどがあるでしょうが!
デナーリスが地上から艦隊に気づいて、先制攻撃を仕掛けていれば、こんなことにはならなかったでしょうに……薄々感じていましたが、いかにドラゴンが強かろうと、乗り手の能力が低くては台無しです。
そして、ドラゴンはもう絶滅あるのみです。
一頭だけでは、生殖できません。
サーセイは、この報告を嬉しそうに聞いています。
ブロンもしみじみと語っている通り、ドラゴンの強さは圧倒的でした。それが、倒せると証明されました。もう二度と、あんな運用はできません。
このあと、我が子こそが支配者となる。そう腹を撫でるサーセイ。
父が誰かは判明しませんが、数ヶ月くらい誰相手でもごまかししそうですね。
彼女が来ても、戦ってやる。都の民を殺してみろ、何が奴隷解放者だ。
そう吐き捨てるサーセイ。
何が怖いって、この言葉が罵りでも強がりでもなく、結構な正論に聞こえてくるところでしょうか。
私の忠誠心は王には向けられていません
「これは過ちです」
ヴァリスは、そうデナーリスに諫言します。
本気で言う時は目を見る。その言葉通り、じっと女王の顔を見つめ、そう言うのです。
「ミッサンディは連れ去られ、ドラゴンは死にました。それでも、民を殺してでも、進軍するのですか? 王都を破壊してまで、進むのですか?」
「世界を暴君から救うために、私はここにいる」
デナーリスはそう断言します。
ティリオンは「進軍ではなく、降伏を勧めたらいかがでしょうか?」そう進言します。
「虐殺が起きたとすれば、それはサーセイのせいだ!」
憤然とそう言い返すデナーリスでした。
彼女のいないところで、ヴァリスはこうこぼします。
「人生の大半を暴君に仕えてきたもの。その末路は知っていますとも」
「彼女は石を抱えて炎に飛び込み、ドラゴンを腕に抱えて出ていたんだぞ。運命を信じていたって仕方ないだろ」
ティリオンはそう言い返すしかありません。
デナーリスのどこがよいかではなく、仕方ないと突き放すティリオン。内心、あるいは無意識のうちで、彼女に呆れ果てていることでしょう。
「しかし、もうジョンの方がよいのでは?」
「ジョンは無欲だ。その気はない。それにこんなことは叛逆だぞ」
「彼はウェスタロスの血を引く男性です」
「ナニがついているかどうかなんて、暴君には関係ない。ジョフリーはナニがついてたぞ。夫婦統治って手もある」
「しかし、妻が強すぎます。あれでは夫でも制御できない。ドラゴンと狼の血を引くジョンこそ、真の支配者でしょう」
「ともかく、デナーリスがいいんだよ」
「私は国そのもの、そこに生きる人々そのものに忠誠を誓っているのでして」
「そんなことをすれば、彼女はどうなると思っているんだ」
ヴァリスの表情を見て、ティリオンは当惑します。
「嘘だろ、それだけは……」
「懸命に選びましょう、それこそが大事です」
ヴァリスはそう言うと、静かに去って行くのでした。
これはもうでかいフラグが立ちましたね。
「主君という個人ではない。国のために忠誠を誓っているのだ」
これはもう、完全に裏切りのフラグです。
歴史上の人物でも、同じようなことを言った人物がいます。
ナポレオンを支えた敏腕政治家のタレーランです。ナポレオンが彼の策を用いなくなり、無謀な戦争を繰り返すようになると、敵国に情報を流し始めます。
そして敵国の政治家と手を組み、まんまと主君を滅ぼすために動くのです。
そんな背反ぶりを問われても、こう言って平然としていた。そう言う人物です。
ヴァリスはもう、デナーリスの味方ではないとみなしましょう。
キングスランディングで、彼が情報を流せば一巻の終わりです。
ターガリエン王朝は大迷惑、しかも悪化
ここでヴァリスの動機を、ちょっと掘り下げてみましょうか。
ターガリエンはヴァリリア人という侵略者が、ドラゴンを用いて武力制圧したという歴史があります。
ウェスタロスに住んでいる者の王ではない。そういう反発心があり、特に北部では顕著です。
ロバート・バラシオンの武力放棄まで、ウェスタロスの内戦はターガリエン家同士の争いでした。
大規模な流血は、彼らによりもたらされて来たのです。
エイリス2世の残酷な統治、レイガー王子によるリアナ・スターク強奪という引き金は、長い年月をかけてたまっていた王朝への憎悪を燃料にして爆発したのです。
しかも、この状況をデナーリスは悪化させています。
デナーリスの父であったエイリス2世のために戦ってきたターリー家が、デナーリスに敵対した理由も、まさしくここなのです。
ドラスク人のような異民族を連れて来たデナーリスは、文明の破壊者に他なりません。
ターリー家の目からすれば、鎌倉幕府にとっての「蒙古襲来」のようなものでした。
それではジョンは適任者なのか?
かといって、ジョンが支持を得られるとも限りません。
彼自身の無欲さは横に起きまして。
何度か指摘しましたが、ジョンの出生秘話そのものが、ウェスタロス全土を巻き込んだ戦火の引き金と言えるのです。
今にして思えば、ジョンを私生児扱いして、【壁】に送ったエダードは賢明でした。
そうではない扱いとなれば、波紋は広がります。
ロバートならば彼を殺すつもりだったことでしょうが、それは果たしてロバート一人だけの問題でしょうか?
ジョンを恨んでいる人間は、ウェスタロス全土にいます。
そして、憎悪が危険であること。忠誠が絶対でないことは証明済みです。
スターク家はじめ、北部諸侯は憎悪の結果、ボルトン家に配下についた過去があるのです。
双子の運命
ウィンターフェルで、ジェイミーは、サンサとブライエニーからデナーリスの敗報を聞きます。
「あなたの姉の処刑を知りたかったけど、叶いそうもない」
そう言いつつ、サンサはどこか軽い足取りでジェイミーの前から去るのでした。
その晩、眠るブライエニーを残し、ジェイミーはどこかへ向かう準備をしています。
「これから破壊される都に、向かうというのか?」
ブライエニーがその気配に気づきました。
「あなたはいい人だ。姉を救うことはできない。姉と一緒ではなくて、私のそばにいてくれ」
そう涙ながらに訴えかけるブライエニー。
「俺がいい奴だと?」
ジェイミーはそう反論します。
幼いブランを、窓から突き落としたこと。
イトコ(アルトン)を殺し、逃れようとしたこと。
リヴァーランの人を全員殺してもいいと思っていたこと。
全てはサーセイへの愛ゆえに。俺はそうする。
そう言い切ります。
「彼女は卑劣だ。俺も同じ」
そう語り、立ち去るジェイミーです。
ブライエニーは泣くしかありません。
この二人の愛は、なかなか難しいものがあります。
同じ胎内にいた二人。よく似た美貌の二人。自分自身を愛するように、惹かれあってきた。
ジェイミーをそこから救うものがあるとすれば、それはブライエニーの愛でした。
何度か指摘してきましたが、ブライエニーはロマンチックで夢見る乙女です。
それが叶わなかっただけ。それを叶えた理想の相手が、こんな辛い運命にあった。
なんて残酷なんだろう。アリアとジェンドリーどころじゃなかった。
恋愛も地獄だった。何のドラマか忘れていましたよ。
ハッピーエンドのカップルがいたことがあるかああ!
あ、サムとジリがいたか。あの野郎……幸せになれよ。
王都での対峙
そしていよいよ、サーセイの守備軍とデナーリスの攻撃軍が、王都で対峙するのでした。
扉が開き、そこからクァイバーンがでてきます。
ティリオンが使者として迎えに出ます。
ちなみにここで使者を殺すと、あとが地獄なのでやらないルールがあります。王の手同士の面会です。
デナーリスの条件は、ミッサンディの解放。
そしてサーセイの条件は、全面降伏を。でなければ、ミッサンディは死ぬ。そう告げられます。
ティリオンは、こう相手に切り出します。
「貴殿は合理的だ。これは、虐殺を避けるための最後の機会だ。生きたまま子供が死ぬ悲鳴を、耳にしたくはあるまい……」
サーセイの伝言を語るクァイバーンを無視して、ティリオンは進みます。
矢で狙われる中、進んで行くティリオン。サーセイは片手をあげ、狙う弓兵を止めさせます。
「あなたに人々を救う気がないことは知っている、救うべきではないとすら思っている。あなたは人を嫌い、人から嫌われているから。しかし、あなたは怪物ではない。俺は知ってっているんだ。この目で見てきたから。あなたが子供達をずっと愛してきた姿を、自分自身よりも、ジェイミーよりも、何よりも。君の治世は終わった、だからといって人生を終わらせなくてもいい。もう、子供を殺さなくてもいいんだ」
そう語るティリオンに、動揺を見せるサーセイ。
しかし、踵を返します。
「最後に言い残す言葉は?」
ミッサンディにそう語りかけるのです。彼女は叫びました。
「ドラカリス!」
「やれ」
サーセイは、マウンテンにそう命じます。
グレイワームの目の前で、ミッサンディの首が飛びました。この流血は、この先の悲劇の前ぶれに過ぎないのです。
デナーリスは背を向け、その場から立ち去るのでした。
MVP:ユーロン・グレイジョイ
豪華吹き替え声優のわりには、悪いイカくらいの印象しかなかった。
そんなイカの兄貴がやりましたぜ。
いやぁ、グレイジョイ強いわ。
あの艦隊を、そっと動かして忍び寄る。ドラゴンを落とす。これはかなりすごい話です。
艦隊戦で相手を全滅にまで追い込むことって、なかなかできることではありません。しかも、あの弩の使い方が惚れ惚れするほどうまい!
相手がこれでは……とは言いません。
上空から見られるのに、能天気に飛び回っていたデナーリスは、いくら反省しても追いつきません。ドラゴンを我が子と呼ぶわりには、大事にしていないでしょ!
まずはコメント欄でのご指摘から。
人名の凡ミスありました。
ややこしいので、クレゲイン兄弟はあだ名で書きます。
あとダヴォスが火傷顔の少女をみたところ。ジンと来ましたね。
ジェニーの歌詞へのご意見も、ありがとうございます。感謝しています。
今回は、ジョンもデナーリスもまとめてダメだなと確認しました。
むざむざとレイガルと艦隊を失うデナーリスの、指揮官としての無能さにはもう開いた口が塞がりません。
サーセイもそこまで有能には思えなかったものの、デナーリスがこれでは……。
デナーリスが勝利をおさめたとしても、長期政権を維持できるわけがないと思います。
なんという皮肉なドラマだ!
ここで、予習をしましょう。
◆鉄の王座:サーセイ・ラニスター
ユーロン・グレイジョイ艦隊、ゴールデンカンパニーを支配下に。
死者との戦いで北部や他の勢力は大打撃。ジェイミーとティリオンは離反したので、殺すことにする。このまま守り抜くぞ!
王の手:クァイバーン
長所:ラニスター家の謀略と軍事力、グレイジョイ艦隊
短所:軍資金枯渇の可能性大。敵があまりに多すぎる。「サーセイは弟によって絞殺される」という予言もある(原作だけかもしれませんが)
◆王座への挑戦者:デナーリス・ターガリエン
ターガリエン家の末裔として、王座を要求。長い逡巡を経て、いよいよ王座に挑戦する若き女王。しかし……
王の手:ティリオン・ラニスター
長所:ドラゴンの圧倒的な力、過去形になりつつあるか?
短所:ドーン、ティレル、ヤーラ・グレイジョイの離脱、デナーリスの判断力と知識不足、民が抱くターガリエン家やドラスク人への反感、王位継承権への疑義、ターリー父子処刑の波紋、ティリオンの不満、死者との戦闘で戦力激減
◆ターガリエン朝王太子:エイゴン・ターガリエン(ジョン・スノウ)
王の手:該当なし
長所:血統正統性、人気、スターク家の血
短所:あまりに多い
◆北の女王? 北部総督?:サンサ・スターク
ジョン・スノウ離脱ならば、彼女が王になります。北部の民は、それを望んでいるはず……。
王の手:該当なしあるいは不明
長所:死者勝利におけるスターク家の戦功
短所:死者との戦闘で戦力・家臣・人口激減、冬到来による天候悪化、食料不足
ターガリエン朝は存続できるのか?
前回、ターガリエン後継者両者共倒れもありかもなあ、と考えて思い出したのですが。
わかりきっていたことかもしれません。
王朝存続のためには、王位継承者が継続的に生殖できるという根本的な条件がありまして。
・王位継承者が成人にまで達すること
・その王および継承者、そしてその配偶者が、生殖能力を持っていること
これが条件です。
保てるかわからないために、こういうルートがあるわけですが。ターガリエンの場合、どうかと言いますと。
・他家との婚姻を結ぶ→王朝後期に若干あるが、ほぼない。基本的に王朝同士の近親結婚を繰り返して来た
・女系継承を認める→他家との婚姻がないため、あまり意味がない
・本家断絶時、分家からの相続を認める→反乱を起こされた結果、他家はほぼ断絶
もしもターガリエン朝に継続性があれば、ここまであっさり滅亡しなかったでしょう。
デナーリスが、自分だけがターガリエンの末裔と信じていた理由も、ここにあるのです。
そして、ターガリエン朝には独特の問題があります。
・正気への疑念:
ターガリエン家の人間が生まれることは一種のギャンブル。
ナゼならば、際立った名君か、暴君しかいない→デナーリスが前者、ヴィセーリオンは後者と解釈されますが。ウェスタロス出身で歴史に詳しいティリオンは「デナーリスが暴君でないとどうして保証できるん?」モードに突入している可能性が……。
ジョンは、死からの復活を遂げています。
同じ境遇の人間といえば、あのマウンテンです。メリサンドルも死した今、ジョンの正気がどこまで保たれるのか。誰にも保証はできないのです。
・生殖能力への疑念:
デナーリスは、ミリ・マズ・ドゥールの呪いにより、ドロゴとの間に生まれるはずであった男児を死産してしまいました。これに、実はかなりの問題がありまして。
あの呪いは、妊娠中の子供だけではなく、デナーリスは未来永劫出産できないというものであったのです。当たるかどうかはさておき、不吉な話です。
つまり、デナーリスが女王になったとしても一代限りになると。
ジョンも、前述のとおり死者から復活しております。
その蘇生術を行ったメリサンドルは、人間としての生殖ではなく、呪いの装置として用いておりました。
そういう経緯を経ているからには、ジョンが人間としての生殖ができるのか。
疑念が残るところです。
王位継承者が二人しかいないうえに、訳ありでは……ターガリエン朝に未来があるとは思えないのでした。
しかも、レイガルが死亡し、ドラゴン滅亡も確定です。
ターガリエン王朝は、もう実質的に滅亡でしょう。
北部は黙っていられるのか?
そして北部も、独自の動きを見せつつある。
危険な兆候があります。
サンサは、戦争前夜でもずっとデナーリスに敵対心を見せていました。
それもやむを得ない感情です。
サンサの不満は、非常時でもデナーリスといちゃついているジョンがいらつく……そういう単純なものでもない。
【落とし子の戦い】で、感情に任せて大敗しそうな戦闘を指揮したジョン。
彼が逆転できたのは、サンサが交渉力を発揮して、アリン家の騎兵援軍を読んできたからこそでした。
そのサンサの功績は、正当に評価されていますか?
北部の王は、エダード嫡出であり功労者である彼女をさしおいて、ジョンとされました。
もしここで、サンサが北部の王として君臨するのに、最適解があるとすれば?
「北の王であることを、色香にかまけて捨てた。そもそもあれは我が父エダードの子ですらない。思い出せ、北部の民よ! 我々の祖先は、ターガリエンに蹂躙されて来たではないか。奴は所詮、北部の民ではない。侵略者ターガリエンの者よ。北の女王の名において、王位僭称者ジョン、もといエイゴンを死刑に処す。アリア、やれ!」
というのはどうでしょうかね。サンサならできるんじゃないかな。
それは極端にしても、サンサはジョンの誓いをあっさりと破り、ティリオン経由でヴァリスにまでジョンの正体を拡散させました。
彼女の中には、もうデナーリスもジョンへの敬愛もないのかもしれません。
次回がもう既に怖い……。
シーズン1~8や前史も含めて全部で14本の解説記事!
- ゲームオブスローンズ シーズン8第6話 あらすじ相関スッキリ解説【最終回】
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【参考】
『剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)』(→amazon)

