ドラマそのものがあと一話。
こうなってきますと、超展開からは逃れられません。
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密書を書き、一服盛る宦官
デナーリスよりもふさわしい王はジョン・スノウ――。
そう確信したヴァリスは、彼こそが真の継承者だという密書をせっせと書いています。
情報網が彼の特技ですからね。
そこへ、誰かがそっとやって来ます。
まだ幼さを残した少女でした。
「彼女は何も食べません」
「また今晩も様子を見よう」
「誰かに見つめられているんです!」
そう切々と娘は訴えます。
このマーサという娘は、任務のハイリスクハイリターンを説明されてから、厨房に戻ってゆくのでした。
これは一服盛っていますね……相手はあの人でしょう。
そのあと、ヴァリスはティリオンやジョンと北部軍の到着を待っています。
トライデント川を渡り、二日後に到着予定とのことです。
ターガリエンの狂気
ストームズエンドの一室。
以前は、オレナやエラリアと軍議をした場所でもあります。そこでデナーリスは一人になって、何も食べずに引きこもっているのだそうです。
あの軍議の場面と比較すると、なんだか不安になります。
あそこにいてデナーリスに味方した者たちは、酷い死を迎えた者も多いもの。その復讐をデナーリスが考えているともさして思えません。
ミッサンディのことはあるのでしょうけれども、デナーリスって長期的なことは考えずに、目の前のことに向かっていくタイプですからねえ。
ヴァリスはデナーリスの懸念を募らせております。
ターガリエンが一人誕生したとき、その人物は狂気か正気しかいないと語ります。
これはよく言われていることです。
近親結婚を繰り返した結果なのか。中間の人間がいないのです。
正気:レイガー(ジョンの父、デナーリスの姉)
狂気:エイリス2世(ジョンの祖父、デナーリスの父)、ヴィセーリス(デナーリスの兄)
※ヴィセーリスは黄金の冠で消えましたっけ
この正気判定のレイガーにせよ、リアナ・スタークと突発的な結婚をして、全土を戦乱に巻き込んだわけでして。
ジョンはターガリエンとスタークの血を引いていますが、デナーリスはターガリエンのみです。
この時点で、ヴァリスが誰を選ぶかわかるというもの。
ヴァリスはジョンに立つように勧めてきているのです。
ジョンは、誰を推戴するかは自分が決めるとヴァリスに言います。
彼女の善悪はさておき、その資質で決めるとジョンに言うのです。
「王座は欲しくない、望んだことはない」
ヴァリスは、ここで何人もの王に仕えて来た経験を語ります。
その目から見ると、ジョンには資質があるものの、彼女はどうかと口を濁すのです。
これはヴァリスの失敗かもしれません。
ジョンはデナーリスよりも無欲で、ティリオンほど人命の損失を考えてもいない。
中途半端です。
ヴァリスの意見には半分だけ賛成します。
ジョンにもさして資質があるとは思えません。
ナイツウォッチ時代には油断しきって腹を刺されていますし。その結果、今は亡きメリサンドルに復活させられて、頭のチューニングが狂っていないとは言えません。
「彼女こそが女王だ」
ジョンはここで、ハッキリと言い切るのです。
裏切り者は許さない
ティリオンは、ここでデナーリスとの面会へ向かいます。
報告があると告げると、デナーリスはこう言い切ります。
「私を裏切ったものがいる」
「はい」
「ジョン・スノウ」
「ヴァリスです」
ティリオンは、ジョンではなくヴァリスが漏洩していると言い切ります。
「ヴァリスに伝えたのはお前、それを聞いたのはサンサ。その出どころはジョン。つまりジョンが裏切ったのだ」
しかし、デナーリスには通じません。
ティリオンは、サンサに聞けてよかったし、参謀であるヴァリスにも伝えるべきだった弁解しますが、デナーリスにはもはや通じません。
「情報漏洩」
これは全員事実です。動機は違うにせよ。
ジョン:家族には隠し事なしで!(善意、誠実)
サンサ:ティリオンに言わなきゃ(悪意、疑念あり)
ティリオン:ヴァリスと情報共有しなければ(善意、慎重)
ヴァリス:これは広めなければ(悪意、明らかな謀叛)
サンサが間に挟まることを知り、デナーリスはメラメラと悪意を燃やしています。
サンサの目的は何か。サンサから聞いたとは。
これはどういうことだ。猜疑心がグツグツと煮えたぎっています。
ヴァリスから狂気への疑念を聞いたあとですと、恐ろしさが増すというもの。
ティリオンは訴えます。
「あなたのもとで、ヴァリスともどもよりよい世界を目指したいのです!」
「そうね……」
これはもうあかん。
厨房にいるマーサは監視されている。ヴァリスは一服盛りかねない。
ヴァリスは絶対に何か企んでいます。
デナーリスは学ばない
そのあと、デナーリス、ジョン、ヴァリス、ティリオンが勢ぞろいします。
ヴァリスは逮捕、そして処刑へと向かって行きます。
あーあ……人間生き字引レベルのレジェンドを、活かせぬままにこれか。
しかもお約束の生きたままドラゴン焼き。
この手段は、エイリス2世がスターク父子にやらかした悪名高いやり口です。
ウェスタロスの人々は恐怖と反発を感じることでしょう。ターリー父子という悪しき前例もあります。
このドツボだって、ある意味ターリー父子を発作的に処刑したことが原因でしょうに。
それでサムが怒り、悪意を込めてジョンに出生の秘密を漏らしたわけですから。
もしもデナーリスに柔軟性があり、ティリオンの声を聞いていたら、歴史はここまでこじらなかったでしょう。
女性による残虐行為だから、デナーリスは叩かれているわけではありません。
サンサによる犬の餌。
アリアによるミートパイ。
サーセイの大聖堂大爆破。
女性の残虐行為ですが、後顧の憂いをきっちり絶つ処置です。
私はあれはあれでよいと思っています。ジェイミー曰く、今は戦争中です。
デナーリスの発作的な殺害は、リスクが大きすぎるからいけません。
サンサ:ラムジーを生かしておいてどうなるの? 惨殺により、ボルトン配下についた北部諸侯に警告できる
アリア:動機は復讐であり、北部の理解を得られる。フレイ滅亡で、母方の親族タリー家の領土を取り戻契機にもつながる
サーセイ:タイレルと雀聖下(ハイスパロウ)を殺す最も効率的なやり方
デナーリス:ターリー一族の怨みを買う、ヴァリスの知識を失う
また生きたまま処刑とは、ターリー父子の大失敗から何も学んでいないのです。
それに、この処刑にデナーリスがスッキリする以外の意味ってありますかね?
持ち上げた側ではなく、持ち上げるだけの大義名分の持ち主を始末せねば、何の意味もありません。
情報が広まった可能性がある以上、ジョンを生かしたままではヴァリスを殺す意味がありません。
それに、この処刑の動機は隠蔽されますから、世間からすればわかりません。
気まぐれに父祖に仕えた功臣を焼き殺す。完全に暗君の愚行です。
こういう時は、派手に処刑をするのではなく、自殺用の毒を送るなりしてもっとやりようがあるものですがねぇ……。
デナーリスは本当に何も考えていません。
あんた何も知らないんだね、デナーリス。
先週殺害されたミッサンディを思い出そうが、もうデナーリスにはついていけない気持ちになりますって……グレイワームは気の毒ですが。
お前の女王じゃない、ウェスタロスの女王だ
そこへ、ジョンがやって来ます。
「どうして妹のサンサに伝えたの?」
とデナーリスタが問い詰めて来ます。サンサへの怒りを切々と語るのです。
その怒りでヴァリスを生きたまま焼きましたからねえ。
錯乱気味のデナーリスは、自分よりもジョンのほうが民から愛されていると語ります。
そこまで自覚があるなら、ナゼ人間を丸焼きにし続けるのか?
ジョンはどうしようもない言葉をつぶやくのみ。
「愛している。きみは永遠に俺の女王だ」
「それだけ? あなたの女王?」
ここでキスをするのですが、まったく盛り上がらない!
そりゃ、そうだ、そういう問題じゃないだろう!
ティリオンに今すぐ聞いて。軍師を連れてきて。
もう全然ダメだ。
「分かったわ。恐怖を選ぶのね」
そう言い切りおった。
ここでティリオンがやっとこさ進言します。
「王都の民は敵ではありません。いわばサーセイの人質なのです」
「しかし、暴君に従っているからには、仕方ないこと」
デナーリスにはまるで通じていません。
それどころか……。
「民という弱みを利用するサーセイには負けない! 穢れなき軍団と北部を進軍させる! ともかく進軍あるのみ!!」
「無実の子供達まで犠牲にするのですか!」
ダメです。
聞く耳ゼロでした。
軍師は苦しむ
これはデナーリスが、ウェスタロスに愛着がないこと、内政センスゼロであることも大きな要因だと思いますよ。
ここでちょっと歴史上の人物で、ティリオンと同じ考え方の例をあげましょう。
「最上義光歴史館」のこどもページ(→link)から引用します。
ワシはたくさん戦争をしたが、ムダな命はとらなかった。降参(こうさん)した人やかしこい人は自分の家来(けらい)にしたりしたゾ!
「だましてあいてを殺したズルイ殿様」だって?
ノー!!ノー!!そのやりかたが一番死ぬ人が少ないんだゾ!!
たくさんの兵隊があつまって戦うよりも、あいてのえらい人だけやっつけた方が、死ぬ人の数が少くないし、大切な町や田畑がこわされなくてすむのダ!!そんなことも知らないのか!?
ワシは人の命が一番大切なものだと思っている。
最上義光といえば、謀略を駆使したというイメージがあります。
しかし、それこそが一番犠牲が少ないからだという理屈でして。ティリオンなら「それだよ! 俺らってなんだか話が合うね!」と頷くことでしょう。
これは性格だけの問題でもありません。
攻める土地への愛着の問題です。
最上義光の領土拡張戦争は、あくまで元最上領でした。
もともと最上家が「羽州探題」として治めていた土地に、国衆が割拠してきたという認識です。
いわば、自宅によくわからんものが住み着いたから、追い出すという感覚です。
それならば、家ごとぶち壊さずに、住み着いた侵入者だけを最低限のダメージで排除するという考え方になるでしょう。
ティリオンもそうなのです。
彼にとって、王都は長らく住んでいた場所。
どういう人が住んでいるのか。何を食べているのか。どこに行けば綺麗なおねえちゃんといやらしいことができるのか。
何もかも、知っています。そういう麗しの都を壊すことに、彼は耐えられないのです。
だから策を!
謀略を!
しかし、デナーリスには通じません。
コーエーのゲームなら、知略は一体いくつになるだろうか……。
ラニスターの兄弟愛
しかも、ここで恐ろしい話が告げられます。
王都に向かう途中のジェイミーが、デナーリスの軍勢に捕まっているのです。
「サーセイを見捨てなかったのね。また私を失望させたら次はないわ」
次はない、って……デナーリスはもう、処刑を脅迫に使う暴君になりつつあります。
かくしてティリオンは、兄とデナーリスの板挟みになりました。
地獄だーーーーー!!
そんな中、ジョンとティリオンは味方を待っています。
夜明け前には後衛がつく、夜明けには進軍開始。そういう状況です。
ティリオンは、ダヴォスにウェスタロス一の運び屋として頼みがあると言い出すのでした。
そんな中、アリアとハウンドが王都間際に到着。
サーセイを殺せば終わると言い出します。なんだかんだで彼らが切り札かもしれません。
このあとティリオンは、拙いヴァリリア語で囚人と話しと頼んでいます。
共通語に切り替えて、誰の命令かと聞かれるのですが、【女王の手】だからとティリオンは頼み込むのでした。
そこにいたのは、捕虜となったジェイミーです。
一番愚かなラニスター。姉のサーセイからそう呼ばれてきたジェイミー。
「愚かと言い切ったその姉のために死ぬのか?」
ティリオンは訴えます。
「姉を説得したことはあるのか。できるのか?」
兄にに訴えるティリオン。
サーセイが生きる理由とは、胎内に宿されている子である、と。ジェイミーとの間にできた子供達を守るために、悪事をしてきたのだと兄弟は姉を振り返ります。
確かにその通り。
ブライエニーに切々と語った通りの事実がそこにはある。
「勝率はもはや半々だ、ドラゴンも一頭になった」
ジェイミーはそう言い切り、王都陥落の危険性を訴えるティリオンに反論します。
そこで彼は諭すのです。
「逃げるんだ。レッドキープにあるドラゴンの頭蓋骨をたどると、そこから小舟に乗れる。ペントスに向かって、そこから新しい人生を生きろ」
なるほど、ダヴォスに依頼したのはこのことですね。
「鉄諸島の水軍が海にいるのに? サーセイの勝利を信じた方がいい」
ジェイミーはそう聞き入れません。
そんな兄をティリオンは説得するのです。
「約束を守れ。王都降伏の合図を出せ。そうしろ。そうすれば借りを返せる」
かつて、ティリオンはジョフリー殺害の冤罪により、死罪寸前でした。そこをジェイミーに救われているのです。
これが発覚したら、デナーリスはティリオンを殺すことでしょう。
それでも、ティリオンは王都を守るために命をかけるのです。
「王都の民と小人の命。公平な取引ではないかもしれないが、この小人は命がけだ」
ティリオンはここで、切々と兄弟愛への感謝を訴えます。
タイウィンにとって最愛の妻に産褥死をもたらした、ティリオンの誕生。
タイウィンはそんな息子を愛さず、サーセイも母の命を奪ったと憎みました。そしてこの小人という外見です。
それでも、ジェイミーだけは弟を愛しておりました。
「小さい頃、孤独でなかったのは兄のおかげだ。あんただけが俺を怪物扱いしなかった、あんたしかいなかったんだ」
そう言い合い、抱き合う兄弟なのでした。
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